ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

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囲い込み

「恥ずかしがらないで、アリィ。ほら、もっと脚を開いてよく見せて……」
「いや……だって、こんなっ……」
 クレイの自室から、直に繋がった浴室にて。
 シャボンの浮いた湯に身を沈めたクレイは、浴槽の縁に腰掛けさせた全裸のアリーシャに、猫撫で声で囁いた。
「大丈夫。アリィのここがこんなに恥ずかしいことになってるのは、俺だけしか知らないよ。だから、ねぇ、この手をどけて」
「あっ……!」
 股間を覆い隠すアリーシャの両手を、クレイは無理やり引き剥がしてしまう。
 アリーシャが羞恥の涙を浮かばせ、せめてもの抵抗のように顔を背けた。
 その恥丘は、クレイが剃刀を使って丹念に剃り落したせいで、もともと淡い叢が、一本残らずなくなってしまっている。
「ふふ、我ながらよくできた。小さかった頃みたいに、すべすべだね――」
 無毛になったその場所に、クレイは頬をすり寄せた。
 顔を真っ赤にしたアリーシャが、恥辱にきゅっと唇を噛む。
 その様子はいかにも可憐でいじらしく、クレイの下肢は湯の中でたちまち力を帯びた。
「どうしてこんなことするの、叔父様……」
「わかってるだろう? 『お仕置き』だよ。アリィが世間体を気にして、俺の誘いを拒もうとするから」
 近親相姦のスキャンダルで立場をなくした貴族の話を聞いて以来、すでに何度も身を任せてきたくせに、アリーシャは『恋人』のクレイから距離を置こうとしたのだ。
(やっと俺のものにできた君を、こんなことで失うわけにはいかないんだよ)
クレイの執着と狂気に彼女が怯え、「やめて」と泣き叫んでも、華奢で清らかなその体を貪ることは止められない。
嫌がる彼女の一挙一動が、クレイを苛立たせると同時に、暗い興奮をいっそう煽り立てるから。
「……あれ? これはどういうことかな」
 アリーシャの蜜壺に指を差し入れながら、クレイはわざとらしく首を傾げた。
 ちゅぷんと濡れた音がして、溢れた蜜が指の股にまで伝っていく。
「俺に毛を剃られてる間、興奮してここを濡らしたの? 嫌だ嫌だって言いながら、本当は恥ずかしいことをされるのが好きなのかな?」
「違っ……叔父様が……ずっとそこ、擦ってたからぁ……っ」
 剃刀を使いながら、クレイがくちくちと秘玉を捏ねていたせいだと、アリーシャは上擦る声で言い訳した。
 不用意に動けば怪我をしてしまうかもしれないから、身悶えもできず刺激に耐えていたのが、いっそう秘処を潤わせたらしい。
「こんなにぐちゃぐちゃだったら、前戯はもういらないね。ほら、アリィの好きなのを、ずぶずぶって奥まであげる――っ……」
 立ちあがったクレイは、反り返る欲芯に手を添えると、濡れそぼった蜜口に、ぐちゅんっと一気に押し入れた。
「やぁぁあ、あ――……っ!」
 湯を跳ね散らしながらの力強い抽挿が始まり、アリーシャはクレイの腕の中で、たちまち我を忘れて乱れた。
「はぁ、気持ちいいよ、アリィ……俺のを必死にしゃぶり立てて、君のここは本当に食いしん坊だよね……」
「んんっ、あ、叔父様……ぁぁは、あぁん……っ」
 濃密な愉悦で焦点のぼやけた菫色の瞳を見ていると、次はどんな手で彼女を追いつめてやろうかとぞくぞくする。
 また手足を縛めて、羽箒で気絶するまで乳首と陰核をくすぐってやろうか。
 目隠しと猿轡をさせて張り型を咥えさせてもいいし、裸で夜の庭を歩かせ、獣のように土の上で後ろから犯してやってもいい。
 アリーシャは怖がって泣き叫ぶだろうが、最後には骨まで恍惚に染められて、狂おしくクレイを求めることになるのはわかっている。
 快感でも恐怖でも、いっそ憎悪でも構わない。
 彼女の身も心も自分に向けさせて、縛りつけて、永遠に離してなどやりはしない。
(それにね、アリィ。俺が君のお祖父さんから受けてきた仕打ちに比べれば、こんなのはまだまだ優しいんだ――)
 そろそろ計画を、次の段階に進めてもいいかもしれない。
 ルシオという、医師志望のあの青年。彼の抱えた秘密はすでに調べがついている。
目的のために利用するには、実にうってつけの人物だ。
(アリィ、アリィ……――君だけが、俺の天使で救世主なんだ。逃がさないためになら、俺はなんだってしてみせる)
「あぁぁ、もう駄目……だめ、だめ……ゃあああっ……――!」
 子宮を突き上げられてぶるぶると痙攣するアリーシャの奥処に、熱い精液を注ぎ込みながら、クレイの唇は陶然と歪んだ笑みを刻んだ。

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