ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

私と離婚させられそうになった王子が国を滅ぼしそうです

私と離婚させられそうになった王子が国を滅ぼしそうです

著者:
最賀すみれ
イラスト:
もんだば
発売日:
2025年04月03日
定価:
858円(10%税込)
Twitter
Facebook

好きって言って。僕の顔を見るたびに言って

反乱を起こした土地の領主となったキアラは、国に恭順の意を示すため第二王子ルシウスと政略結婚することに。冷めきった夫婦生活になる覚悟を決めていたが、予想に反してルシウスは四六時中そばを離れず隙あらば独占しにかかる、まるで妻過激派な溺愛ぶり! 挙式までの白い結婚期間にも淫らな「準備」を仕掛けられ、王の手先の籠絡だと言い聞かせるもキアラは次第に身も心も許し始めてしまう。しかしその時、王軍がルシウスを返せと攻めてきて!?

妻至上主義な過激派王子×仕事人間な女領主、
溺愛が過ぎる権力の塊を御しきることはできるのか!?

オンライン書店
  • amazon
  • 楽天ブックス

登場人物紹介

キアラ

キアラ

真面目でしっかり者の領主。普段は誰にでも優しく公正だが、ルシウスに対してはそっけない態度を取りがち。

ルシウス

ルシウス

表向きは紳士で洗練された貴公子。だがキアラの観察が趣味で、特技はストーカー、好きな食べ物はキアラのくちびる。

お試し読み

 長いキスが終わる頃には、キアラはすっかり身体から力が抜けてしまっていた。「何か飲む?」と訊ねてくるルシウスを、とろんと見上げる。
「今日はいらない」
 キスに昂った身体が熱い。ルシウスも目尻を上気させて見つめてくる。言葉にせずとも、互いに相手を欲しているのが伝わってきた。再びくちびるが重なる。際限なく舌を絡め合う官能が、下腹の奥をたまらなく疼かせてくる。
 ふいに敏感になった胸をまさぐられ、キアラはキスをしながら息をのんだ。ドレス越しにとはいえ、硬くなった先端を指先でくすぐられ、「ふんぅ……」と甘えた声が漏れてしまう。
 ルシウスは顔を離し、青灰色の瞳に期待をにじませてささやいた。
「直接さわっていい?」
「……えぇ……」
 うなずくキアラに目元をほころばせると、彼は広く開いた胸元に小さく口づけながらドレスを脱がしてくる。果実の皮をむくようにボディスやコルセットをひとつひとつ取り除いていき、キアラの上半身を開放してしまう。こういう時の彼は驚くほど器用だ。
 露わになった胸をまじまじと見られ、赤く染まった顔を背けた。キアラの胸は大きいほうだ。異性に関心があるわけでもない身としては恥ずかしいかぎりである。
 しかしルシウスは食い入るように見つめてきた。
「きれいだ……」
 彼と再会した頃にはここまで大きくなかったと思う。彼に戯れに揉まれるようになり、その感覚に浸っている間に、気づけば育ってしまったのだ。
「あんまり見ないで」
「無理だよ」
 彼はそっと直に手でふれてきた。
「あ……」
 豊かなふくらみが彼の手によって形を変える様が目に入り、キアラは息を詰める。手のひらの感触も、服の上からさわられるのとは全然ちがう。ドキドキしすぎて訳が分からない。恥ずかしいのに、もっとさわってほしいと感じてしまう。
 色づいた部分に指先がふれ、きゅっとつままれれば、甘い愉悦が弾けて身体がひとりでに震えた。
「はぁっ……」
 切なく吐息を漏らした、次の瞬間。
「ダメだ──」
 ルシウスは勢いよく起き上がり、自分を引き離すようにしてソファに座り直した。天井を仰いで目頭に手を置く。
「ほんのちょっとのつもりだったのに。目の毒すぎてくらくらする……!」
 何やら我慢をしているようだ。キアラはといえば、彼がもたらす甘い感覚の先を知りたい気持ちが尾を引いていた。欲求に引っ張られるように、のそのそと身を起こし、彼の肩に額を押しつけると、顔が見えないようにしてささやく。
「……もうちょっと進んでも、いいわよ」
 きっと耳まで赤くなっているにちがいない。自分でも信じられない。
(私がルシウスにこんなことを言うなんて!)
 いちおう、夫婦になったら何をするのかフレイアから聞いている。最終的な行為だけで、途中どんな過程があるのかまでは定かではないものの、どうせ三日後には誕生日兼結婚式だ。彼が思う通りにしてくれてかまわない。
 そんな思いで羞恥に耐えていると、頭の上でルシウスが「夢?」とつぶやくのが聞こえた。
「お酒の入っていないキアラが僕にそんなことを言うなんて……きっと夢にちがいない」
「どうしてよ」
 真っ赤に染まったふくれっ面を、彼は指ですくうように持ち上げる。目を細めて見つめられ、ますます頬が火照る。
「うそうそ。信じられないくらい嬉しいってこと」
 そう言うと、彼はキアラを自分の膝に乗せ、後ろから抱擁するように手をまわしてきた。
「もうちょっとだけ、ですむように細心の注意を払うから、君もあんまり煽ってこないでね」
「何よそれ──あっ……」
 ルシウスの手が胸を包み、揉みしだく。先ほどよりも強く、力を込めて捏ねられる感覚に息が上がった。ハァハァと呼吸を乱すキアラのうなじに、彼は情熱をこめて口づけてくる。敏感な首筋にも熱いキスをくり返し、時折甘く歯をたててくる。
「あっ、ぁっ……」
「ここ、こりっとしてて、かわいい……」
 胸の先端をくりくりとつまみ出され、湧きあがる歓びにキアラは頤を上げて身を震わせた。
「はぁ、……ぁぁン……!」
 反応を受けて、彼の右手が、まだ脱げていなかったドレスのスカートの裾に差し込まれてくる。形をたどるように膝をなでた後、意味ありげに、いやらしく内股に手を這わせてくる。
「あっ、いや、くすぐったい……」
 柔らかさを味わうような手のひらの感触にわななき、キアラは思わず身をよじった。ひどく敏感な場所を焦らすようになでまわした手が、ついに脚のはざまに到達する。
 ドロワースの上から指でひっかくように刺激され、上体がびくっびくっと跳ねる。
「あっ、……あぁ……っ」
「キアラ、これ好きだよね」
「あなたが、ぁンっ、……イタズラするから……っ」
「そう。僕が君にイタズラして、君はこれが好きになった。気持ちいい?」
 耳にキスをしながら、彼の指が小刻みにそこを嬲る。
「ぁっ、ぁっ。んっ、ぁン……!」
 性感を刺激され、気持ちよすぎるあまり腰が揺れてしまう。
「反応がかわいい。もっと感じて。声も出して」
「声って……ぁっ、ぁ、そんな、あぁ……!」
 ひときわ鋭い歓びが弾け、手のひらを大腿が強くはさんだ。ハァ、と彼の熱い息遣いをうなじに感じる。彼も興奮しているのだ。ここまでは今までの「イタズラ」でも経験したことだった。キアラは彼のもたらす快感に翻弄されつつも、心地よい陶酔に浸る。
 しかし今日、ルシウスはまた一歩先に進もうとした。ドロワーズの中にするりと手が忍び入ってくる。
「あっ……!?」
 キアラは涙にぬれた鳶色の瞳を大きく瞠った。下着の中の、その部分を直にさわられたのだ。
「待って。そんな……、ダメ……っ」
 キアラの動揺を楽しむかのように、ルシウスの指は割れ目をつぅっとなぞり上げた。
「あぁっ……!」
 布越しにさわられるのと、直にさわられるのとでは、感触が全然ちがう。何か、ひどくいけないことをしているような心地に、高い声を張り上げる。恐ろしいほど愉悦をかき立ててくる指先から逃れようと、キアラは腰をくねらせた。と、お尻に何か硬くてびくびくと震えるものが当たる。
「え……?」
 ルシウスの声が耳の傍でささやく。
「こっちに集中して」
 割れ目の中にもぐりこんだ指先が、あまりにも感じすぎてしまうものをぬるぬると押しまわす。そのとたん、目の前が真っ白になった。痺れるような快感がつま先まで響く。
「あっ、あぁっ……! いやっ、ダメ……!」
「大丈夫だから。まかせて」
「でも……っ」
「力を抜いて、僕の指を感じて」
 そう言いながらも、指先はぬるぬると円を描くようにそこを転がす。そのたびにキアラは今までにない喜悦の際へ追い詰められてしまう。力を抜くなんて無理だ。こんなにも指の動きをはっきりと感じているのに。
「あっ、はぁっ、ぁっ、ダメ、ダメぇ……!」
 腰の奥に淫らな熱が溜まり、下腹がきゅぅっと切なく疼く。
 首を左右に振って悶えるキアラに、ルシウスは押し殺した声で言った。
「怖くないよ。君にひどいことなんてしない。するはずがない。そうだろう?」

関連書籍

Search

キーワード

カテゴリ

キャラ

シチュエーション