ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

二百年後に転生したら、昔の恋人にそっくりな魔導士に偏愛されました

二百年後に転生したら、昔の恋人にそっくりな魔導士に偏愛されました

著者:
蒼磨奏
イラスト:
すらだまみ
発売日:
2024年07月03日
定価:
869円(10%税込)
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ようやくだ…ようやく、君と一つになれる

幼い頃から何度も見る夢の中の少年「イヴァン」。ミーリアは彼が前世の恋人だと確信していた。女癖の悪い王の庶子として美しくも冷遇されてきたミーリアにとって、いつか彼に会いたいという希望だけが唯一の生きる理由だった。ある日、異母姉フラヴィアに救われ侍女となった彼女は、姉の嫁ぎ先ウルティム王国で、イヴァンにそっくりの魔導士アレクシスに出会う。前世を確かめるまでもなく二人は惹かれ合い結婚し、待ち望んだ濃密な初夜を迎えるが――!?

謎めいた最恐魔導士×前世の夢を見る侍女、運命のあなたともう一度恋をする。

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登場人物紹介

ミーリア

ミーリア

ルドラド王の庶子として、美しくも意思を尊重されない境遇にいた。幼い頃から前世の夢を見る。

アレクシス

アレクシス

ウルティム王国の魔導士。端正な顔立ちだが無口で近寄りがたく、周囲から距離を置かれている。

お試し読み

「ミーリア。今夜から一緒に眠りたい」
直球で誘われて、ミーリアはひゅっと息を呑んだ。
「体調もよくなった。新婚夫婦は一緒に眠るものなんだろう」
アレクシスは細い銀糸のような髪に口づけると、身を乗り出して見つめてきた。
熱っぽい黄金色の双眸に射貫かれて、ミーリアはどぎまぎしながら頷く。
「え、ええ……そうね。一緒に寝ましょう」
アレクシスが目元を緩めて立ち上がり、ミーリアの肩をトンッと押した。
背中からベッドに押し倒されて、覆いかぶさってきた彼で視界がいっぱいになる。
「念のため言っておく。寝るだけじゃない、抱くから」
「……分かってるわ」
アレクシスがミーリアの唇を甘嚙みしてから、むくりと起き上がり、寝間着のシャツを豪快に脱ぎ捨てた。
細身なのに腹筋が割れていて、思いのほか引き締まった身体つきだったから、ミーリアは顔がじわじわと熱くなるのを感じた。
アレクシスはシャツを脱ぐ際にぼさぼさになった金髪を無造作に払い、ミーリアの視線に気づいて首を傾げた。
「ミーリア、どうした?」
「ちょっと、びっくりした。あなた、男らしいんだなと思って」
「はぁ……いまさら何を言っているんだ」
呆れたようにしかめっ面をして、やれやれと首を振る彼の姿には既視感があった。
この仕草はどこで見たんだっけと記憶を辿っていたら、アレクシスがネグリジェに手をかける。
すでに緩めてあった襟元を引き下ろされて、張りのある乳房に吸いつかれた。
「あ、っ……う……」
「今まで、私は男らしく見えていなかったか」
「……んっ……そういうわけじゃ、なくて」
「じゃあ、男として見ていなかったのか」
「そんなことないわ」
ミーリアは赤らんだ顔を両手で押さえた。
男として見ていなかったどころか、ずっと意識してばかりいる。
身を屈めたアレクシスがじっくりと彼女の反応を観察して、額に口づけていった。
「ミーリアはかわいいな」
「……アレクシス。それ、やめて」
「それ?」
「かわいいって言うの」
前世のイヴァンは素直じゃなくて、かわいいなんて一度たりとも口にしなかった。
横を向きながら「照れるからやめて」と告げるが、アレクシスはかぶりを振る。
「やめない」
「アレクシス」
「私は思ったことを、その場で言う」
「う……」
「君の顔、リンゴみたいだ」
「そんなに赤い?」
「ああ、かわいい。……いや、間違えた。赤い」
わざと間違えたなと、赤面しながら睨んでも威力は半減らしく、アレクシスが口の端を持ち上げた。
また、あの意地の悪そうな笑い方だ。
これは勝てないと悟ったので、ミーリアは潔く説得を諦める。
そこからは緩やかな愛撫が始まった。右の乳房をねっとりと舐められて、唾液に濡れた先端を舌の先でくるくると弄られる。
しきりにそれを繰り返されると下腹部がきゅんと熱くなり、足の間が疼くような感覚に呑まれていった。
ミーリアは熱を孕んだ吐息を零し、アレクシスの肩に手を添えた。
彼は乳房にしゃぶりつき、空いた乳房を手のひらで揉みしだいている。
蕾のごとく尖った胸の頂を爪でカリカリとこすられて、ぴりりとした痛みが走ったが、すぐに甘い疼きが増した。
「はっ……はぁ……」
少しずつ肌が汗ばんできた。呼吸も乱れてくる。
ミーリアは上で動くアレクシスの肩を撫でて、その手をうなじに滑らせた。
首の裏を指で辿り、背中へと下ろしていく。背筋は硬く、肌はすべすべとしていた。
──今日、あんなことがあったのに本当に傷一つないのね。
手のひらであちこち触れていたら、アレクシスがもどかしげに肩を揺らした。しゃぶっていた乳房に悩ましげな吐息を吹きかけながら言う。
「ミーリア。その触り方やめてくれ」
「どうして?」
「堪らなくなる」
薄らと頬を染めたアレクシスがくすぐったがる獣みたいに顔を振ったので、ミーリアは手を止めた。
彼は強引で頑固なところがある。先ほど、やめてくれと言っても聞く耳を持たなかったのがいい例だ。
屋敷へ来た日に押し倒された際もそうで、ミーリアも最後のほうは色々とどうでもよくなってきて、何をされても受け入れていた。
しかしアレクシスとのやり取りに慣れてきた今では、こちらが従順だと一方的にやられっぱなしになるだけだと分かった。
というわけで、ちょっとした反撃を試みる。
「アレクシス。わたしだって、あなたに触れたい」
獣を宥めるようにもう一度うなじを撫でてみたら、いきなりその手を摑まれた。
アレクシスはそのまま手首を捻り上げ、強めにベッドに押しつけて口を塞いでくる。
「んっ、はぁ、っ……アレク、シス……」
「……ふ……は……」
口内に舌がねじこまれて、眩暈がするほど甘ったるいキスをされた。
ネグリジェ越しに身体をまさぐられながら、息も絶え絶えになるまで口づけを交わしていたら、ゆっくりとアレクシスが起き上がった。
彼はミーリアのネグリジェをすばやく捲り上げると、ドロワーズを下ろしてしまう。
驚いている間に太腿を持たれて爪先からドロワーズが引き抜かれた。
「っ……!」
あっという間に下半身が露わになり、太腿をぐいと押し開かれた。
アレクシスが身体を下にずらして前屈みになったので、ミーリアは何をされるか察して身震いする。
「っ、アレクシス……」
ぬるりと秘部を舐められたので喫驚し、制止の代わりに甘い声が零れた。
「ひっ……あ、ぁっ……」
あまりにも生々しい感触だったから足を閉じそうになったが、咎めるように内腿を甘く齧られる。
「君がいけないんだ、ミーリア」
「はっ……あ、んっ……」
「あんなことを言って、私に触れるから」
アレクシスが掠れた声で言い、しどけなく開かれたミーリアの足の間に顔を押しつけて、濡れた舌で割れ目をなぞっていく。

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