五龍国戀夜
- 著者:
- 白ヶ音雪
- イラスト:
- 津寺里可子
- 発売日:
- 2023年10月05日
- 定価:
- 825円(10%税込)
――ただひとりのつがいとして、傍にいてほしい
龍の血を色濃く継ぐ皇帝・雷零は過去のトラウマのせいで“女嫌い”。后を迎えることが決まったが、女性の扱いを知らない彼のために、閨の指南役として選ばれたのが、氷雪族の族長・氷咲だった。長として、そして戦士として誇りを持っているが、女らしさに欠ける自分がなぜ? と氷咲は困惑する。だが、倹しく暮らす民のため様々な支援を報酬として受けられると説得され引き受けることに……。王城で煌びやかに着飾られた氷咲は雷零と対面するが――。
女嫌いの初心な龍帝×凛々しい佳人、不器用で一途な想いの先にあるものは――。
氷咲(ひさき)
氷雪族の族長。閨の指南役として選ばれてしまう。倹しく暮らす民のため引き受けるが……。
雷零(らいれい)
五龍国の若き龍帝。過去のトラウマのため女嫌い。そろそろ后を迎えねばならないが……。
突然、ぎゅう、と乳を搾り出すかのように強く先端を抓られ、氷咲は背筋を弓なりに戦慄かせた。鋭い刺激が背筋を走りぬけ、きゅっと締まった足の間から、どっと蜜が溢れ出すのがわかる。数日ぶりの感覚だ。
「すまない、痛かったか?」
「痛くない、大丈夫だ……、ぅ、あ……」
否定したにも拘らず、彼が労わるようにその場所を舌でくすぐる。
強く摘まれたせいで充血したそこは、普段より少しだけ赤く、珊瑚色に染まっていた。
艶やかに色づいたその場所を、雷零は執拗に弄んだ。舌先で転がし、舌の腹で下から上へ舐め回し、軽く押しつぶす。
濡れた刷毛でくすぐられるような感覚に、氷咲はたまらず身をよじった。けれど快感は、決して氷咲を逃がしてはくれない。
腹の奥の痺れは強まる一方だ。どろりと重く、熱いものが身体の中にたまっていく。
「んぁッ、らいれ……っ、吸って……」
自分でも信じられないほど甘ったるい、愛撫をねだる声が溢れた。
雷零はその願いを躊躇いなく叶えてくれる。
音がするほどきつく吸い立てられ、しゃぶられ、頭の中で白い閃光が幾度も弾ける。
(気持ちいい。もっとほしい……)
快楽に押し流されては駄目だとわかっているのに、理性が快楽に絡めとられ、もうそれ以外考えられなくなってしまう。
「気持ちいいのか?」
「あ……ッ、悪くは、ない……」
翻弄されている状況が癪で少し意地を張った氷咲だったが、雷零はそれでも嬉しそうに笑っていた。
「ならば、もっと気持ちよくなってもらわねばな」
荒い呼吸を繰り返す氷咲を見下ろしながら、雷零は彼女の下衣に手をかけた。
「腰を浮かせてくれるか?」
雷零の熱い視線だけで、じりじりと肌が灼ける感覚を覚えた。
氷咲は目をきつく瞑り、己の身を守るように抱きすくめながら従う。そうでもしなければ、とてもまともでいられないと思った。
腹から臍、腰から太ももにかけて、徐々に肌が空気にさらされていく。布が肌を撫でる感触にすら快感を覚え、ぞくりと背筋に痺れが走った。
「綺麗な足だ」
氷咲の右足首を唐突に掴んだ雷零が、そう言いながら足を持ち上げる。
あまりにも突然で、抵抗する暇すらなかった。
爪紅を塗った足先にそっと口づけを落とした雷零が、あらわになった秘部をじっくり見つめている。痛いほど熱烈な視線だった。
「……本当に綺麗だ」
下半身を形容する台詞として、それは正しいのだろうかという疑問は置いておくとして、さすがにそんな場所をまじまじと見られて平気でいられるほど女を捨ててはいない。
「放せ、雷零……」
身をよじって彼の拘束から逃れようとするが、がっしりと掴まれた足はびくともしなかった。
「放さない」
きっぱり宣言した雷零が、氷咲の薄い腹に唇で触れる。
むずがゆいような感覚に身体が勝手に跳ねてしまい、氷咲は必死で懇願した。
「ぅ、……はぁっ……、やめ、雷……っ」
「これは、してはいけないことなのか?」
そうだと言えば彼はきっとやめてくれるだろうが、氷咲は元来噓のつけない性分である。
「そ、ではないが……っ」
「ならば問題ないだろう」
つ、と舌が臍の窪みに潜り込み、その場所をくすぐった。
皮膚の薄いその場所を舐められると、たまらない愉悦が全身を駆け巡り、手足から力が抜けていく。
やがて雷零の舌は明確な意思を持って、臍から足の付け根を目指して下っていく。
舌がその場所に近づくにつれ、恥ずかしいと思う気持ちとは裏腹に、身体はますます熱を帯びた。胸の奥が甘く疼いて、どうしようもないほど切ない心地になった。
そしてとうとう、雷零の唇が秘めた場所を暴く。
「ひっ……あぁッ!」
甘い嬌声に気をよくしたのか、雷零の舌はなおも妖しく蠢いて、氷咲を追い詰め始めた。溢れる蜜を舌先ですくい、舐めとり、入り口に時折舌を差し込んでは、ぐるりと円を描くように舐め回す。唾液と蜜が絡み合う淫猥な水音が耳を犯し、足の間で揺れる雷零の赤い髪が視界を犯す。
「あ、あ……っ、あぁん……!」
口を開けばみっともない声がこぼれ、必死で唇を押さえるけれど、もう堪えることなどできはしない。
自分でも恥ずかしくなるほど甘ったれた喘ぎ声を上げながら、それでもこの快感からなんとか逃れようと、雷零の頭に手を伸ばした。
しかし、ささやかな抵抗は失敗に終わった。
氷咲の手は彼の髪を掻き乱すだけに留まり、端から見ればまるで、自ら雷零の頭を秘部に押しつけるような形になってしまったからだ。
やがて雷零が、ふっくらと熟れたつぼみを覆う包皮を剝き、秘されていた花芽をあらわにする。赤く充血した真珠のような粒を、舌先でおずおずと撫でる。
氷咲の身体の中で恐らく一番敏感なその場所は、そんな些細な刺激ですら、何倍もの愉悦として拾い上げてしまう。
「あっ、あぁッ……!! 雷、雷零……ッ、い、やだ……っ」
「痛くないならやめない」
内ももをぶるぶる震えさせながら必死で紡いだ拒絶の言葉は、即座に切り捨てられた。
剝き出しの花芽に与えられる強い刺激は耐えがたく、抗いがたく、氷咲はたちまち天上まで昇り詰める。
目の前が白く弾け、視界がかすむ。頭の中で、小さな熱の塊が爆ぜたかのようだ。
視界も、思考も、何もかもがぼんやりとしているのに、鼓動だけは力強く脈打っている。
「氷咲、大丈夫か氷咲……!」
軽く意識を飛ばしかけたが、身体を揺さぶる熱い手のひらの感触によって現実へ引き戻された。自分が情けないほどに無防備な状態であることに、ほんのわずかな照れくささを覚える。
「ん……大丈夫。達しただけだ」
「気持ちよかったということか」
「……ああ、とても」
飾り気のない言葉で素直に告げれば、ぼやけた光景の中、深い緑色の瞳が間近まで迫ってくる。あっという間に、唇を塞がれた。
「ん……ふ……」
上り詰めた後の優しい口づけが、こんなにも心地よいなんて。
舌を絡ませながら雷零の背中を指で辿れば、筋肉が緊張して硬くなるのが伝わってきた。