死に戻ったら、夫が魔王になって溺愛してきます
- 著者:
- 春日部こみと
- イラスト:
- 天路ゆうつづ
- 発売日:
- 2022年12月05日
- 定価:
- 847円(10%税込)
拒まないで。悲しすぎて国を滅ぼしてしまうから。
敗戦国の王女として敵国に嫁いだマージョリー。夫となったのは、魔導術が上手く使えず周囲から蔑まれている第五王子のギードだった。膨大な魔力を持ちながら他人を傷つけることを何より恐れる彼。マージョリーは、そんな優しい彼との暮らしに幸せを感じていた。だが、慈しみ合って迎えた初夜、彼に突然、剣で身体を貫かれ――!? 目を覚ますとなぜか結婚前に時間が巻き戻っていた!! しかもまだ会う時期でないはずのギードが“魔王”になって迫ってきて……。
最強魔王になっていた最弱王子×夫に殺され(?)死に戻った王女、今世は死亡フラグを回避! するはずが、元夫から逃げられません!?
マージョリー
最愛の夫に殺されたと思ったら三年前に戻っていた。結婚を回避しようと思うのにギードにぐいぐい迫られて困惑気味。
ギード
穏やかな性格だったが、今はマージョリー以外どうでもいい様子。マージョリーの前では、じゃれつく犬のよう。
「抵抗しないでと言ったでしょう? 僕のお願いを聞いてくださらないのですから、仕方ありません」
魔導術で身体の自由を奪われたのだと分かり、マージョリーは愕然とした。
ギードがそこまでするとは思わなかったのだ。
一度目の時はもちろん優しかった。魔王になってからは、強引な真似もするけれど、マージョリーが嫌がれば無理強いはしなかった。それなのに──。
「君がいつまでも僕から逃げようとするからいけないんですよ」
イタズラをする子どもを咎めるような口調で言って、ギードがマージョリーの首筋に食らいついてきた。大きく口を開いた彼の尖った犬歯が垣間見えて、身体が竦む。
だがその尖った歯は柔肌を食い破ることはなく、わずかな痛みを与えた後、また別の場所へと移動してガブリ、ガブリとマージョリーの肌に歯型をつけていく。
まるで大型犬に甘嚙みされているみたいだ、と思ったが、この男が犬なんかであるわけがない。実際に彼の甘嚙みはただ嚙むだけでなく、嚙みながらマージョリーの肌をいやらしく舐り上げている。熱い舌に肌を撫でられると、快感がビリビリと身体中に流れた。自分の内側が、ギードの愛撫に合わせて蕩け始めるのが分かってしまう。
ギードの大きな手が、肉を掬い上げるようにしてマージョリーの乳房を鷲摑みにした。マージョリーはパッと視線を逸らす。自分の白い肉に彼の指が埋もれるようにしている様に、妙に恥ずかしさを覚えてしまった。
「……柔らかいな。白くて、赤い実がのっていて……美味しそうだ」
乳房をまじまじと見下ろしていたギードがぽつりと呟いて、頂きをパクリと口に含む。
「ぁっ……!」
胸の先に、熱く濡れた口内の感触を直に感じて、マージョリーは悲鳴を上げる。
そんなことをされたのは初めてだ。一度目の時、ギードはあまり胸を触らなかった。
彫像のような完璧な美貌が自分の胸を吸っている様子に、マージョリーは妙な心地になってしまう。恥ずかしいような、愛しいような……ギードの頭を叩きたい気持ちと撫でたい気持ちの両方に苛まれ、ぎゅっと目を閉じた。見るのはやめておこう。
だが目を閉じた瞬間、乳首を強く吸われてまた目を開く。
「あっ、吸っちゃ……ああっ」
マージョリーが反応したのを喜ぶように、ギードは吸うだけでなく、舌を絡めたり嚙んだりして、乳首で遊び始める。もう片方も指で捏ねられ、マージョリーは頭がおかしくなりそうだった。
思えば一度目の時も、彼はマージョリーが反応した場所をしつこく攻めてきていた。
「あ、も、やぁっ……そこばっかり……、もう、痛いから……!」
もうどのくらい乳首ばかり弄られているか分からない。
ギードに執拗に吸われたり嬲られたりして、マージョリーの乳首はすっかり赤く腫れあがってしまっていた。それだけでなく、白い乳房にはいくつもの歯型がついている。
(……そういえば、一度目の時もそこら中に嚙み痕をつけていたわね……)
もしかしたら嚙み癖があるのかもしれない。
ギードはまだ指でクリクリと両方の乳首を捏ねていたが、痛いと訴えられたことで残念そうに手を放した。
「すみません、あまり長い時間触ると痛いのですね」
そう言うと、まるで乳首に謝るようにしてキスを落とし、今度はマージョリーの両膝に手をかけた。
「あっ……!」
がばりと脚を開かされ、マージョリーは全身に力を込める。阻止したかったけれど、やはり四肢に力が入らなかった。丸見えになったその場所に、ギードの視線を感じる。
「や、いやだ、見ないでください……!」
「どうして?」
「は、恥ずかしいからですっ……!」
「今更ですよ」
泣きそうな声でお願いしたのに、ギードに短く却下される。もう泣き真似も効かなくなってしまった。