堅物王太子は愛しい婚約者に手を出せない
- 著者:
- 小山内慧夢
- イラスト:
- 中條由良
- 発売日:
- 2022年12月05日
- 定価:
- 836円(10%税込)
君の言葉を借りるなら……『今、ここでまぐわいたい』のだが
辺境伯の父から自分が十二歳年上の王太子ローデヴェイクの婚約者だと聞かされたティルザは憤慨していた。幼い頃に誘拐されたティルザを助けてくれた騎士を想っているからだ。婚約破棄するため初顔合わせの舞踏会へと臨んだが、ローデヴェイクこそが初恋の人だと判明! 舞い上がったティルザは「すぐにまぐわい、子作りしましょう!」とぐいぐい迫るも、ローデヴェイクに素っ頓狂な言動をすることで婚約を回避したいのだと誤解されてしまい……。
隠れ野獣のお堅い王太子×箱入り辺境伯令嬢、初恋を拗らせた年の差恋愛の行方は――!?
ティルザ
ボルスト辺境伯令嬢。好奇心旺盛で明るい性格。ある理由から辺境領から出ずに育った。
ローデヴェイク
グリーデル国の王太子。騎士団で剣の腕を磨いている。十二歳年下の婚約者に気遣い……。
「あっ、ローデヴェイク様……っ」
「いいかいやか、言ってくれ。私も不慣れなので君の嫌がることはしたくないのだ」
胸の先へ口を寄せたり、喘ぐティルザの唇を塞いだり、ローデヴェイクは初心者と思えないほどに様々な方法でティルザを翻弄する。
そうなるとティルザの口からは意味をなさない言葉の切れ端しか出てこない。
自分は一体どうなってしまったのか、と不安になるが空気に溶けそうになる意識は他でもないローデヴェイクにもたらされる刺激で再びひとまとめになる。
彼は絶え間なくティルザの肌に触れた。優しく触れていても手のひらには剣を握る者特有の皮膚の硬さがあり、不意にティルザを悶えさせる。
「あっ……、ふ、ぅ……ん、んっ」
ローデヴェイクが触れるところに順に熱が灯されていく。熱は引くことなく上昇する一方でティルザの本能をむき出しにしていく。そしてとうとうローデヴェイクがティルザの下腹を撫ぜた。
「……っ!」
反射的に内腿に力が入るティルザの腿を手の甲でそっと撫で、ローデヴェイクが囁く。
「脚を閉じないで、すべて私に見せて」
それは無理だ、恥ずかしすぎる! と即座に首を振ろうとしたティルザは、彼を見て腹の奥がずきりと痛むほどに疼いた。ローデヴェイクは目の際を赤く染め、暗褐色の瞳を潤ませてなにかに耐えていた。
荒い息を時折詰めるようにするのも我慢している証だろう。
(なにかって……あれよね、……しゃ、射せ……わ、わぁっ!)
ちらりと視線を下げるとローデヴェイクの前立てが窮屈そうに膨らんでいる。知識でしか知らないそれが、今目の前で確かに息をしている。
それも、ティルザに性的な魅力を感じて。
ティルザは恥ずかしさを堪えて脚を持ち上げ、ローデヴェイクの進むべき道を示すようにゆっくりと開くと、既にたっぷりとあわいを濡らす蜜が、つとシーツに落ちた。
ローデヴェイクの喉が鳴ったのを見て、ティルザの身体の中をゾクゾクとしたものが駆け抜けていった。
「ロ、ローデヴェイク様……っ」
「……触れても?」
低い声になんとか頷くと、慎ましく閉じた花弁をなぞるように優しく、しかし徐々に大胆に指を動かされ、ティルザは堪らず声を上げた。
「ふ、あ……、あぁっ」
びくびくと腰が戦慄くのを止められない。指は襞に分け入り雫を纏って蜜洞を探る。ローデヴェイクが痛くはないかと尋ねてくれた気がするが、何層もの膜の外から聞かれたようでティルザはよくわからなかった。
訳もわからず、何度も首肯したような気がする。ただ、身体の制御がきかず、あわいを甘く苛むものをきゅうきゅうと締め付けていることはわかった。
(あぁ、もうなにがなんだかわからない……!)
上下も不確かな中で、一つだけ確かな感覚……蜜洞の奥をぐに、と押された瞬間にティルザの中で鮮烈な快感が弾けた。
「ひゃ、あ、……あぁっ!」
自分を覆っていた膜がシャボンのように破裂した気がした。夢から醒めたような気分でローデヴェイクを見上げるとすぐに唇を塞がれた。
「あの、わたしいま……?」
口付けに応えながらもやけに身体が怠い。独り言のつもりだったがローデヴェイクがそれに答えた。
「ああ、極まったね。大丈夫か?」
額にかかった髪を撫でつけて額にもキスを落とすローデヴェイクの言葉に、ティルザがぼんやりと思考する。
(極まった……わたし、きわま……?)
「イッたのですか? 今のが?」
シルケが言っていた。
秘密の花園を殿方が指や舌でくすぐると『イクイクイッちゃう!』……というふうになるらしい、と。
ああ、言われてみればそんな感じだった、とティルザが頷いているとローデヴェイクが再び唇を塞いでくる。舌を絡ませあうキスにもずいぶん慣れた。時間をかけて隘路を慣らしたローデヴェイクはおもむろに指を抜き、シャツを乱暴に脱いだ。
「ローデヴェイク様……っ」
鍛えられた騎士の身体は見惚れるほどに美しかった。
ティルザも領内の兵士が訓練で上半身裸になっているところを見たことがあるが、こんなにも目を引き付けられる裸体は初めてだった。
「はぁ……、ローデヴェイク様綺麗……っ」
「なにを言う。君のほうが何倍も綺麗だ。それにとても可愛らしい」
脱いだシャツをベッドの下に無造作に落とすとティルザの唇を奪う。ねっとりと舐め、舌を差し込む。絡ませた舌を吸い上げ、最後にちゅう、と唇に吸い付いて微笑むとローデヴェイクはトラウザーズの前を寛げた。
前立てを押し上げていた昂ぶりはぬらぬらと透明な雫を纏い淫らに濡れていた。耐え難い快感を何度耐えたのだろうか。それを考えるとティルザの蜜洞がひくり、と反応する。開いているのに固く閉じているような感覚は、いかにも物欲しげだ。
「ティルザ……いいか?」
ローデヴェイクはクッションを掴むとティルザの腰の下に宛がい、雄芯を擦り付ける。淫らな水音に鼓膜を犯されながら、ティルザは恐怖なのか期待なのかわからない感覚にびくびくと腰を揺らした。
「あっ、は……はい……」
待ち望んだものがとうとう与えられるのだ、と思うと喉が引き攣って声が震えた。恐れているのではない、期待に打ち震えているのだと思うのに、どこかで怯んでいる自分もいたことに、ティルザは純粋に驚いた。
「少し痛いかもしれないが、優しくする……」
触れるだけのキスをして、ローデヴェイクが猛る雄芯をティルザの濡れそぼつあわいに擦り付けた。タイミングを窺うように上から下まで割れ目をなぞる切っ先が柔らかい肉襞をゆっくりと押し開いていく。
「っ!」
息を呑んだティルザに対する配慮だろう、あやすように入口を何度も行きつ戻りつする動きはじれったくもくすぐったく、ティルザは身動ぎした。
「痛いか?」
ローデヴェイクが腰を引くとティルザの裡から雄芯が出て行った。あまりの素早さにティルザは驚きの声を上げた。
「あんっ! ローデヴェイク様……抜いちゃダメ!」
「しかし痛いのだろう? 無理をしては……」
ローデヴェイクが心優しい人物で、自分が大事にされていると十分にわかっているティルザだったが、この場面では強引に来てほしかった。
「痛くないです! それに、どうせ破瓜のときは血が出るのですから、いいのです!」
そう断じるとティルザはどこで覚えたのか、両脚を交差させてローデヴェイクの腰を逃がすまいと固定した。
「お願いローデヴェイク様、もう一度……今度は奥まできて……っ」
「……っ、ティルザ、君って人は、もう……っ」
必死な様子に苦笑したローデヴェイクだったが、ティルザの脚を撫でて外させると細い腰を両側から掴んだ。
「あぁ……っ!」
「ティルザ。そこまでしたからにはもう途中で止まってやれないぞ。覚悟はいいか」
挑むような視線にティルザはゴクリと喉を鳴らした。
「もちろんです!」
さあ来い、と腕を伸ばしてローデヴェイクの首にしがみつく。
二人は何度目かわからないキスをして、そして身体を重ねた。
先端だけではなく、ローデヴェイクの全てをその身に収めきるのは生半可なことではなかった。逞しい身体に見合った雄芯はミリミリと華奢なティルザの蜜洞を犯す。
限界まで広げた股関節周りが軋んで悲鳴を上げたし、受け入れた箇所がやはりとても痛かった。
あまりの痛さに入れる場所を間違えているのではないかと疑ったティルザだったが、奥まで突き入れられ腰骨がごつ、とぶつかったことで間違いではなかったようだと安堵した。
安堵したはいいが、とてもではないが身動きできるとは思えなかった。
なにしろ華奢な作りのティルザの狭い蜜洞に、無理やりに入れたローデヴェイクの雄芯はもはや抜けないだろうと思うほどに隙間なく埋め込まれていたからだ。
「ティルザ、大丈夫か……」
「……っ、あ、うぅ……」
大丈夫だとにっこり笑ってローデヴェイクを安心させたい。しかし蜜洞は意識とは別の回路で動いているのか、ローデヴェイクを咥えこんでひくひくとうねり、まるで何かをねだるように彼を締め付けた。