年下御曹司の執愛
- 著者:
- あさぎ千夜春
- イラスト:
- 炎かりよ
- 発売日:
- 2022年06月03日
- 定価:
- 814円(10%税込)
とろとろに甘やかして、ぐずぐずになるまで愛してあげる
祖母との生活のためにバイトを掛け持ちしている津田朱里。ある日、浪費家の両親に人身売買オークションに出され、見知らぬ青年に助けられる。極上の美貌を持つ青年は朱里が高校生の頃に勤めていた杠葉家の御曹司・冬季哉で!? 媚薬を飲まされていた朱里は冬季哉に触れられ、初めて経験する快楽に翻弄されてしまう。
翌朝「嫌いにならないで!」と冬季哉に土下座されたあげく側にいてと懇願され、朱里を守るためだと軟禁されて……。
一途な年下御曹司×アラサー清純派美女、溺れるほど極甘な愛を刻み込む独占欲――。
津田朱里(つだ・あかり)
28歳。高校生の頃に杠葉家で幼い冬季哉の世話をしていたことがあるが……。
杠葉冬季哉(ゆずりは・ときや)
20歳。杠葉の御曹司。初恋の人である朱里を自分のモノにするために……。
「だから朱里ちゃんは、俺と結婚するんだよ。もう決まっているんだ」
甘いことをささやくその声色には、抗えない凄みがあった。
「っ……」
朱里は蛇ににらまれた蛙のように体がすくんでしまい、息をのむ。
こちらを見つめる冬季哉の目は、至極まっとうで澄んでいた。
これが狂気に満ちた眼差しなら、なんとか正気に戻ってほしいと訴えかけるところだが、そうではない。冬季哉は落ち着いているし、冷静だった。
それが余計、朱里の恐怖を煽っていく。
「……私の気持ちはどうなるの?」
結婚にはお互いの同意が必要だ。いくら『決まっている』と言われても、朱里は冬季哉と結婚なんてできないし、するつもりもない。
「今は無理でも、いずれ俺を愛してもらう。大丈夫、きっと朱里ちゃんは俺を好きになってくれるはずだよ」
冬季哉はふふっと笑って勝手なことを言い放つと、そのままその端整な顔を近づけた。
「まぁ、とりあえず今の朱里ちゃんにはわからせないといけないけど」
甘やかな声に艶と凄みが増していく。
「わか……え……? なに、を……?」
ぱちくりと瞬きを繰り返す朱里の体が、ゆっくりと押し倒される。冬季哉の右手が朱里のワンピースの裾を持ち上げ、手のひらが太ももを撫で上げた。
「あっ……!」
朱里は慌てて冬季哉の手の動きを止めようとしたのだが、冬季哉は手錠をはめた左手で朱里の両手首をつかむと、そのまま頭上に縫いつけるように押しつけてしまった。
「や、やだ、どうしてこんなことするのっ!?」
恐怖のあまり、胸の真ん中に大きな穴が開いて、冷たい風が吹き抜けたような気がした。いきなり体の自由を奪われた朱里は、なんとか冬季哉の下から逃れようと体をばたつかせるが、圧倒的に体の大きい冬季哉に押さえ込まれてビクともしない。
「冬季哉くん、やめてっ……!」
「どうして? 朱里ちゃん、あんなに俺のモノをねだって、入れてほしいって、泣いてお願いしてくれたじゃないか。だからまた入れてあげる、たくさんね」
とびっきり甘やかな声色で、冬季哉は卑猥な言葉を口にする。発言の内容と相まって、朱里は冬季哉に『スイッチ』が入ったようなそんな気がした。
「あ、あれは、変な薬のせいだからっ……!」
朱里はこちらの顔を覗き込もうとする冬季哉から目を逸らして、顔を横に向ける。
そう、薬のせいだ。頭がぼうっとして、なにも考えられなくなって、ただ目の前の快感が欲しくてたまらなかった。だから目の前にいて、飢えと渇きを癒してくれる冬季哉にすがってしまっただけ。
「そうなんだ?」
耳元に近づく冬季哉の声は色っぽく、意図せずとも朱里の耳や首筋にどんどん熱が集まっていく。
「じゃあ、オクスリなしだと、朱里ちゃんは濡れないってこと?」
「ひ、あんっ……!」
「ここ、指でこすられても平気なんだ。へぇ……そうなんだ」
冬季哉の指が朱里の下着のクロッチ部分を優しく撫で始める。
「あ、やっ、や、あんっ……だめっ……」
痺れるような快感が、腰に集まり始める。これ以上触れられたくなくて、朱里は太ももに力を込めて冬季哉の侵入を拒もうとした。
だが、それはかえって冬季哉の手を固定するのを手伝ってしまったようだ。冬季哉の指が下着越しでももっとも敏感なところに軽く爪を立てて、弾き始める。
「んっ、あ……んっ……」
「声、出てるよ」
冬季哉がクスクスと笑う。
「だって……ひあっ……」
朱里はいやいや、と首を振る。布一枚を挟んでいるはずなのに、もうそこがぐずぐずに蕩け始めているのが自分でもわかった。
(どうして……? もう媚薬の効果なんてないはずなのに……!)
我慢しなければと唇を噛むが、声が出ずとも冬季哉の指の動きに合わせて腰が跳ねてしまう。
「自分で気づいてないの? あのね、朱里ちゃんはすごく感じやすい、かわいい体をしてるんだよ。だから俺に触られたら、すぐにとろとろになっちゃうんだ」
冬季哉はそんな朱里を見て、満足そうに切れ長の目を細めると、そのまま朱里の耳の中に自分の舌を差し込み、くちゅくちゅと音を立てて舐め始めてしまった。
「は、ああっ……!」
耳の縁を丁寧になぞる冬季哉の舌先の感触に、朱里はぶるぶると体を震わせる。自分で耳を触ったところでなんともないのに、なぜこんなに気持ちがいいのか、意味がわからない。
「朱里ちゃんの耳、おいしいな。ふわふわして柔らかくて……お菓子みたいだよ。んー……」
「ああっ……!」
冬季哉にちゅうっと音を立てて吸われた瞬間、朱里の体にしびれが走った。のけぞる背中に力がこもる。足の指先まで電流が走って、その快感に抵抗しようと朱里は息をのんだが、冬季哉にはすべてお見通しだった。
「耳にちゅーされて、軽くイったみたいだね。朱里ちゃん」
「うぅ……」
冬季哉はふふっと満足げに笑いながら、下着越しに敏感な部分を撫でていた指でクロッチ部分を横にずらし、じかに差し入れる。そして指で的確に花芽をつまみ上げて、軽く左右に揺さぶり始めた。
「あ、やん、あっ……! や、やめ、あッ……」
布越しとは違う、直接的な快感はあまりにもよすぎる。
自然に腰が揺れ膝が跳ねた。
「やだ、だめぇ……!」
だが、いくら嫌だと言っても冬季哉はやめてくれなかった。それどころか、少し押し込んだり、指先で弾いたりと、変化をつけてくる。
「あ、やっ、また……」
このままではまたすぐにイってしまう。
朱里が必死に快感から逃げるように唇を噛みしめていると、
「すごく感じてくれてるのは嬉しいけど、ぬるぬるでちょっとつまみにくいなぁ……」
しばらく指でそこをいじめていた冬季哉はちょっと思案顔になったかと思ったら、別れの挨拶でもするように頬にちゅっと音を立ててキスを落とすと、上半身を起こしてシーツの上を後ずさった。
「脱がせるね」
そして朱里の下着に指をひっかけると、するすると足元まで下ろして抜き取り、朱里の膝を左右に割って、とろとろに蕩けきったそこに、いきなり口づける。
「あ、うそ、ああっ……」
とろりと絡みつく舌の感触に、朱里は悲鳴を上げた。初めて彼と体を繫げたときも指で何度もイカせられたが、口で愛撫されるのはこれが初めてだった。
冬季哉の舌が花弁をかき分け、大きく膨れ上がった花芽を舐めあげる。絡みつき、吸い上げ、ほんの少しだけ甘嚙みして、また優しく舌先で包み込む。
「あ、あっ、あんっ、あ!」
それはあまりにも強烈な体験だった。必死に声を抑えようとしていたのにそれもままならず、朱里は首を振りながら甘い嬌声を上げる。
「おねが、やめて、あ、あんっ、あっ……!」
押さえつけられていた手首はもうとっくに自由になっていた。
朱里は秘部に顔をうずめている冬季哉の頭をなんとか外そうと、彼の髪に指を指し込む。だが太ももを抱えるように抱き込んだ冬季哉の体はびくともしない。それどころか、潤みきった蜜口へ尖らせた舌先を押し込んでいく。
指とも違う柔らかい感触に、朱里の背筋に、ぞぞぞと快感が走り抜けていった。
「あ、あんっあ、ひ、あ~……ッ……」
「ん……」
舌を押し込んだ冬季哉は、太ももを抱えていた手を伸ばし、上から立ち上がった花芽をぎゅうっと指先でつまみ上げる。その瞬間、朱里の目の前に激しい火花が散った。
「ひっ、あ、あ、あん、あ、だ、めッ……!」
激しく痙攣しながら朱里は悲鳴を上げていた。水からすくいあげられた金魚のように全身が跳ねる。
「あ、ああ、イクッ、やぁ……ッ!」
朱里の細い悲鳴が、部屋の中に響く。心臓が早鐘のように鼓動を打ち、全身が火をつけられたように赤く染まった。
「はっ、はあっ……あ……っ」
眩暈がする。息が苦しい。
荒い呼吸とともに、朱里の白い太ももが張り詰めて震えるのを確認した冬季哉は、無言で舌をゆっくりと抜き、濡れた自分の唇をぺろりと舐めながら手の甲で口元をぬぐった。