森の隠者と聖帝の花嫁
- 著者:
- 富樫聖夜
- イラスト:
- 春野薫久
- 発売日:
- 2022年04月04日
- 定価:
- 792円(10%税込)
お前はバカだ。もう、逃がしてやれない。
不可思議な痣のせいで不吉な王女と忌避されて育ったアリーシェ。“神の子”とされる聖帝の妃候補となるが、嫉妬した義母から命を狙われ、“魔の森”へと逃げのびる。人を喰う獣が跋扈すると恐れられるその森で助けてくれたのは、人間離れした美貌を持つ森の管理者グラムだった。アリーシェは、ぶっきらぼうながらも世話焼きで優しい彼に惹かれてゆき、このまま穏やかな生活が続くことを願う。だがあることがきっかけで、彼に抱かれる必要が出てきて……!?
謎を秘めた寡黙な隠者×虐げられた王女、“神の庭”で育む運命の恋。
アリーシェ
生まれつきの奇妙な痣のせいで不吉な王女として隔離されて育つ。義母に殺されそうになり、魔の森へ逃げのびる。
隠者グラム
聖帝に任じられ、魔の森や神の庭などと呼ばれる不思議な森を管理している。ややぶっきらぼうだが面倒見がよい。
ヴィラント
とても賢くてかわいい小鳥。元々はグラムと一緒にいたが、今はアリーシェの護衛をしている。
「さて、ここから少し進んだ場所に森の中心──『神域』がある。けれどそこに行く前に保険をかけておこう。アリー、こちらへ」
小川のほとりに立ったグラムがアリーシェに向かって手を差し伸べた。アリーシェは不思議に思いながらもグラムの手を取る。するとグラムがいきなりニヤリと笑ってアリーシェの身体を抱き寄せた。
「アリー、保険というのはな、お前のここに子種を注ぎ込むことだよ」
グラムの片方の手のひらがアリーシェの下腹部を意味ありげに撫でる。
「え? え? それは一体どういうことでしょうか?」
「万が一お前が『神域』に流れる神力に耐えられなくなった場合、俺の体液に込められた魔力を使って防御する。そのために、今は大人しく俺に抱かれておけ」
「こ、こんなところでですか!?」
アリーシェは仰天した。
「こ、ここ、お外ですよ!?」
「外だろうが家の中だろうが、誰も見ていないんだから構わないだろう?」
言いながら、グラムは慣れた手つきでアリーシェのワンピースのボタンを次々と外していく。支えを失った服はするすると下に滑り落ちていった。
「構います! あっ、だ、だめです!」
両腕を胸の前でクロスさせて最後の砦でもあるシュミーズとドロワーズを死守しようとするも、抵抗空しくグラムの手によってはぎ取られていく。アリーシェは、自分では抵抗しているつもりでも、身体は無意識にグラムのすることを受け入れてしまっているため、まったく妨げにならなかった。
「ああ、見ないでください!」
全裸にされたアリーシェは、顔を真っ赤に染めてグラムの視線から自分の身体を隠そうとした。もっとも、豊かにはり出す乳房も、すでに蜜をたたえ始めている脚の付け根も、アリーシェの細い二本の腕ではまったく隠せていなかったが。
「ヴィラントは先に神域に行かせたから、誰もいない。恥ずかしがることはないさ」
「誰もいなくてもっ、恥ずかしいものは恥ずかしいんです!」
「どうせすぐに恥ずかしさも忘れるさ。たまに外でやるのも新鮮でいいと思わないか?」
グラムはアリーシェの素肌に手を這わせながら囁いた。
「そ、そんなっ、あ、あんっ、だめっ」
すっかり硬く立ち上がった胸の飾りを摘ままれてアリーシェは鼻にかかった声を出した。
グラムはアリーシェの乳房に唇を押し当てると、そのまま胸の頂や膨らみにキスをして触れ、舌や歯で嬲って舐めつくし、滑らかな肌を堪能しながら下に滑り下りていく。
「んっ……っ、あ、だめ、やめ……ぁあ」
おへそを過ぎ、下腹部に到達したところで、グラムはアリーシェの前に跪き、更に下へとたどっていった。アリーシェはただただ震えながらそれを受け入れている。
──ああ、変になるっ。おかしくなってしまうっ。
欲望の炎が肌をちりちりと焦がしていくようだ。恥ずかしくてたまらないのに、それに相反して身体の芯が激しく疼いていく。
「いつもより花の香りが強い。興奮しているんだな、アリー。だめと言いつつ外での行為が気に入ったか?」
揶揄するように言われ、アリーシェは恥ずかしくて顔を覆った。
グラムの言う通りだ。だめだと思うのに、どうしてかいつもより感じてしまう。拒否したい気持ちはあるのに、いつもと違うシチュエーションに、身体はますます興奮を覚えていく。
「ここも、すごく濡れているな。脚を開いて見せてくれ。ああ、いい子だ。そう」
「あっ、あ……ぁあ」
言われた通りに脚を開いたアリーシェの割れ目に鼻先を押しつけたグラムは、そのまま舌を伸ばして欲望の泉から溢れる愛液を啜り始めた。
「ひゃ、あ、……んく、あ、はぁ、だめ、おかしく、なるっ」
敏感な花弁や花芯に舌や歯が触れるたび、痺れるような快感が突き抜ける。奥から絶えずあふれ出てくる愛液をグラムが舌で掬っては舐め取っていく。その淫靡な感触に脚がガクガクと震えて、自分を支えられなくなった。
──ああ、もう、だめっ……!
膝が力を失い、ガクンと崩れおちる。
「おっと」
グラムはとっさに自分の身体でアリーシェを受け止めた。
グラムの膝の上に座り込む形になったアリーシェは、素肌に触れるトラウザーズのざらざらした生地の感触にぶるっと身を震わせる。
「あ……ン……、ん……」
「ちょっと弄りすぎたかな。まぁ、いいや、このままで」
ゴソゴソと衣擦れの音がした。重い瞼を開けて見下ろしてみると、ちょうどグラムがトラウザーズの前を寛げたところだった。窮屈な場所に押し込められていたものがピンと飛び出してくる。それはずっしりと重そうな怒張だった。反り返って天を向き、先端からは先走りの液がにじみ出ている。血管の浮いた凶暴なまでの性器に、アリーシェの喉がコクンと鳴った。
「欲しいんだろう? ならやることは分かっているな?」