俺様陛下はメイド王女を逃がさない
- 著者:
- 貴原すず
- イラスト:
- 炎かりよ
- 発売日:
- 2022年03月03日
- 定価:
- 814円(10%税込)
おまえを妻にする。俺はそのために王になった。
嫡出の王女でありながら父に疎まれ、母とともに離宮に追いやられていたエステル。病床の母の世話をしながら慎ましく暮らしていたが、隣国の王マテウスと異母妹の政略結婚が決まり、侍女として付き添うよう命じられる。だが、赴いた隣国で現れた王は、数年前、エステルが命を助けた男で――!?「俺が欲しいのは、エステルだ」異母妹との結婚を棚上げにしてエステルに熱く迫り、快楽を教え込むマテウス。何やらこの政略結婚には裏があるようで……?
俺様紳士な若き王×薄幸の王女、一途すぎる執着愛に翻弄されて……。
エステル
妾に傾倒する父に疎まれ、離宮に追いやられる。怪我をしたマテウスを助けるが、お互い身分を知らぬままだった。
マテウス
異母弟から王位を奪い、王となった。侍女としてやってきたエステルに自分専属になるよう命じるが……?
「もう終わりにしましょう」
下品ないたずらに、いつまでも付き合ってはいられない。
エステルは浴槽から湯をすくうと、彼の肩からかけてやる。
せっかく泡で隠した男根がまた姿をあらわしてしまうが、知るものかという気持ちになっていた。
だが、泡を流してしまったあと距離を置こうとしたら、またもや抱きすくめられる。
「陛下!」
いたずらばかりする子をたしなめるように叫んだが、マテウスは耳元で熱っぽくささやいた。
「俺はおまえが好きなんだ」
心臓を摑まれた気になった。告白されても、どうにもならないというのに。
「おまえを妻にしたい」
ささやきに胸が痛くなる。
(もうわたしの心を乱さないで)
これ以上追いつめられたら、彼にすがりそうになる。
誰も裏切りたくないのだ。
「……ルイーズ王女との結婚の日取りはいつになさいますか?」
冷静になってほしくてたずねたら、身体を離した彼が顔を強ばらせた。
「エステル」
「陛下と結婚するのは、ルイーズ王女です」
容赦なく現実を突きつけて、夢想に似た発言を止めようとしたのに、マテウスは何を思ったのか、エステルにくちづけしてきた。
舌を差し入れられて、めまいがする。
マテウスはエステルの舌を念入りに舐めてくる。先端から奥まで舐められて、身体の芯が熱くなった。
強引にくちづけをしてきながら、マテウスは体重をかけてエステルをタイルに押し倒す。
ひんやりとしたタイルとマテウスの熱い身体に挟まれて、鼓動が跳ねた。
「ん……んんっ……」
マテウスはエステルの口内を散々になぶった。
歯をくすぐり、上顎や頬の粘膜を舌先で攻撃する。呼吸が止まるほどのくちづけから逃げようと身をよじるが、まったく逃げられない。
マテウスはくちづけを続けながら、乳房を揉んできた。両手で下からすくうように持ち上げられ、先端を押し回される。
「ふ……ふぅっ……」
初めて胸に触れられて、大混乱に陥る。だが、エステルをもっと混乱させたのは、彼の手の感触の気持ちよさだった。マテウスの手は大きくて骨ばっている。その手が肌を滑るたびに腰が震えるような感触が生まれていた。
(だめ……こんな……)
気持ちいいと思いたくない。しかし、双乳をこねるように揉まれ、乳首を乳暈からつまみだされれば、心地のよさに頭の中がじんと痺れる。
「ふ……ふうっ……」
マテウスはエステルの口内を舌でまさぐりながら、容赦なく乳房を揉んでいる。決してしてはいけない行為なのに、エステルの肌は上気していくばかりだ。
「……エステル」
マテウスはくちづけをやめると、反応を確かめるように顔を覗いてくる。
「……陛下、あんまりです。やめてください」
涙でかすむ目で睨んだが、彼は満足そうに微笑む。
「よかった、気持ちよさそうだ」
全身で羞恥を感じながら、首を左右に振った。
「き、気持ちよくなんかありません」
「噓をつけ。俺に触れられて、快楽を得ているはずだ」
「か、快楽……」
信じがたい言葉に、激しく動揺した。
(快楽なんて、感じてはいけないことなのに……)
自制がきかない肉体に失望してしまう。
「悪いことじゃない。エステルが気持ちよくなってくれているなら、俺はうれしい」
マテウスは乳房をゆったりと揉みながらつぶやいた。我慢しなくてはと思うのに、唇から漏れる息は官能を帯びている。
「だめ……だめです……やめて……」
「そんなに色っぽく拒否しても、俺の手は止められないぞ」
マテウスは喉にくちづけを落としてから、鎖骨に唇を這わせてきた。柔らかな唇が肌をかすめていく感触に背が跳ねてしまう。
「もう、やめてください……!」
形を変えるほど胸を揉まれて、恥ずかしさと罪悪感に涙が盛り上がる。
しかし、マテウスはエステルの懇願を聞いても、行為をやめてくれなかった。
それどころか、ぷくりと尖った乳首を口に含んで、吸い立ててくる。
「くっ……!」
マテウスは頂を吸い、舌で巻き込んでくる。温かな口内で湿った舌をからめられれば、鋭敏になった乳首が快感を生み出した。
「あ、あっ……だめっ……」
下腹が奇妙にうずきだして、エステルは内股をこすり合わせた。
(いや、なぜ、こんなふうになるの?)
身体が勝手に熱くなるし、おかしなところが快美な刺激を得ている。
強引に触れられたら、もっと不快な思いをするはずだ。それなのに、エステルは心地よさにあえいでいる。
深呼吸をしても、湯の熱気にあてられているせいなのか、身体も心も冷えてくれない。
「んんっ……」
マテウスはちゅくちゅくと音を立てて乳暈から吸っている。そうしながら、右手は身体の線を辿っていった。
腰にくだった手はくびれを撫で、へそのくぼみで円を描く。
「や……やっ……」
くすぐったさに身をよじるが、彼の手は止まらない。下腹の繁みを撫でられて、羞恥と危機感に悲鳴をあげた。
「そ、そこはだめ……」
「ここから下に俺は触れたいんだが」
「だめです。陛下、わたしは、こんなことしたくないのです」
さすがにこれ以上触れられるのは耐えがたかった。戯れでは済まされなくなってしまう。
「残念だが、俺はこんなことをしたいんだ」
マテウスの手がなだらかな恥丘から狭間に潜り込む。一撫でされたら、腰が揺れてしまった。
「ああっ……」
ろくに見たこともないところを指が往復する。恥ずかしさと同じくらいに甘美な刺激を得てしまう。
「はぁ……はぁっ……」
狭間を守っていたはずの花びらを押し開かれて、月に一度血が流れでる孔をこすられる。
他人に触れられたことがない部分を刺激され、背をそらした。
「や……いや……」
彼がこすりたてるたびに、もどかしいような快感が生まれる。加えて、なんだか濡れているようなのも気にかかった。
(なぜかしら……)
粗相でもしたのだろうかと不安になる。マテウスはともすれば閉じかける股を開いて、触れているところを覗いた。
「エステル、ちゃんと濡れてるぞ。よかった、やはりおまえも気持ちいいんだな」
安心したように言われ、思わず問い返した。
「濡れているのはいいことなのですか?」
「もちろんいいことに決まっている。エステルが俺の指に悦んでくれているとわかるわけだから」
そんなふうに話しながら、指を孔の上で押し回す。ため息がこぼれるほど心地いい。
「はぁ……はっ……はぁ……」
「エステル。おまえをもっと悦ばせたい」
マテウスは指をついっと動かして、尿道口の上にあるつけねに指を潜らせた。きゅっとひねられただけで、たちまち鋭敏な快感が生まれる。
「あっ……ああっ……いやっ……」
「ほら、ここはすごくよくなるはずだ」
指先で転がされると、勝手に腰が跳ねるような強烈な快感が生まれる。初めて味わう感覚に振り回され、エステルはあえぎをこらえることもできなくなった。
「あ……ああっ……だめ……だめっ……」
腰を揺らしながら、初めて味わう刺激をこらえようとする。しかし、エステルが全身を震わせて訴えても、マテウスの指は止まらない。くりくりといじられれば、顎をそらして声を漏らす。
「い……いや……やぁっ……」
「ああ、やっぱり気持ちいいんだな。エステル、もっとよがってくれ。俺が欲しくてたまらなくなるほどに」
下肢の刺激で、乳房の頂は開花する寸前の蕾のように膨れてしまう。それを指先でねじりながら、快感の粒をこねまわされる。
腕に傷を負っているはずなのに、マテウスの指の動きにはなんの支障もない。感じるところを同時に愛撫され、エステルは腹の奥にたまった熱が膨張していくような錯覚を覚えた。
「あ……だめ……変……変に……」
この熱が弾けてしまったら、とんでもないことになると思えてならなかった。しかし、マテウスはエステルの悲鳴を聞いても、うれしそうにするばかりだった。
「エステル、変になっていいんだ。気持ちよくなって、本心をあらわにしてくれ」