傲慢御曹司は愛の奴隷
- 著者:
- 月城うさぎ
- イラスト:
- 芦原モカ
- 発売日:
- 2021年11月04日
- 定価:
- 792円(10%税込)
もっと俺に甘えてこいよ。
人類は男女の他にα、β、Ωの三つのバース性を持つ。両親の死後、突然変異でβからΩになってしまった妃翠。見つかれば国に管理され、αとの子供を産む道具にされてしまう。唯一の協力者も亡くし、絶望していたとき、圧倒的な存在感を放つαの男・大雅と出会う。その途端、妃翠の身体は急に熱くなり……? 「俺と番になるか、無差別にαを誘惑し、犯されるか。今すぐ選べ」情欲に濡れた目で見つめられ、なぜか喜びを感じた妃翠は、彼を奥深くまで受け入れて――。
傲慢なαの帝王×ひとりぼっちの幻のΩ、抗うことのできない運命の恋!
乙女系オメガバース!
真鶴妃翠(まなづる・ひすい)
元々βだったが突然変異でΩになる。将来に絶望していた時、偶然大雅に出会い囲われる。
皇大雅(すめらぎ・たいが)
代々優秀なαを輩出する皇家の御曹司。支配者気質で傲慢だが、妃翠の世話を焼くのは楽しい様子。
「いいんだな」
最後の確認をされて、妃翠は頷いた。
妃翠を見下ろす顔が近づいてくる。吐息まで熱く感じた。
「あ……っ」
悩ましげに眉を顰めたまま触れてくる唇は柔らかくて甘い。そっと触れられただけなのに、妃翠の背筋に電流が駆けた。
──なに……っ?
唇が合わさっただけなのに、脳髄まで痺れたような感覚。視界がチカチカして、相手から香る濃厚な匂いが濃くなった。
恋とは無縁に生きてきた。βだった頃は、普通の少女と同じく憧れの先輩やかっこいい同級生に惹かれたこともあったが、告白するまでには至らなかった。
Ωになってからは人と関わる機会を極端に減らして、常に孤独に生きてきた。恋愛する余裕などなかったと言っていい。
無理やり奪われるのではなく、合意の上で誰かとキスができるとは思ってもいなかった。相手がこんな大物なαだというのが予想外だったけれど。
「息、止めるなよ」
大雅が頤に指を添えたまま唇を離して呟いた。
甘く濡れた声だ。自分のようなひ弱なΩなど一瞬で狂わせる。
うっすら唇を開くと、すかさず肉厚な舌がねじ込まれた。他人に口内を暴かれることは初めてで、妃翠の心臓がひと際大きく跳ねる。
「んぅ……ッ!」
縮こまった舌を引きずり出される。粘膜をざらりと舐められて、妃翠の腰がビクンと反応した。
──なに……これ……?
大雅の唾液が甘露のように甘く感じられる。先ほどより体温がさらに上昇したようだ。身体が熱くて服を脱ぎたい。素肌で触れ合えたら、どれだけ心地いいだろう──。
「クソ、甘い……なんだこれは」
ふいに唇を離した大雅が呟きを落とした。
その声につられるように、妃翠も閉じていた目を開ける。
至近距離から見上げた彼の表情はひどく艶っぽかった。柘榴色に光る目がしっとりと情欲に濡れていて、ガーネットのように見える。頬も上気して、ギュッと寄せられた眉根から苦悩が察せられた。
「こぼすなよ。俺の唾液は全部飲め」
唇の端から垂れたものを親指で拭われた。その指を妃翠の口に突っ込んでくる。
理性が薄れて本能が勝った今、妃翠はなんの抵抗もなく大雅の指を丹念に舐めた。
──甘い、もっと……。
自分がどのような顔をしているのかさえわからない。
だが妃翠が顔を上げると、大雅は息を呑んだ。突っ込んでいた指を引き抜いて、荒々しく口づけてくる。
室内にぴちゃぴちゃと響く唾液音がいやらしい。頬の粘膜を彼の舌先でなぞられるのが気持ちいい。
衝動のまま食べられてしまうのではないか。貪るようなキスに呼吸も奪われそうになる。
「あ……ンァ……ッ」
キスをしながら、汗を吸い込んで湿ったタートルネックのノースリーブがめくりあげられた。
大雅の手が剝き出しになった臍の上を撫でる。少し汗ばんだ手が生々しい。
たっぷりと互いの唾液を交換し、唇が赤く腫れた頃。大雅がようやく満足そうに顔を離した。胸までめくりあげられていたトップスを頭から脱がされる。
「ん……っ」
汗をかいて濃密な香りがしみ込んでいるだろう。
大雅はそれを一嗅ぎしてからベッドの端に放った。
「たまらねえ。媚薬か?」
独り言のように呟かれた。先ほどよりも追い詰められているのか、大雅の呼吸も荒々しい。
肌に張り付いたジーンズも慣れた手つきで脱がされる。腰を上げさせられて足首から抜かれると、下着だけの頼りない姿になってしまった。
「……見ないで」
「できるか、そんなこと」
なんの飾り気もない上下の下着は機能性優先で選んだものだ。
ノンワイヤーのネイビーのブラジャーとショーツ。同じデザインで揃えていただけよかったかもしれない。
「これはこれで悪くねえが……もっとお前に似合うものを贈ってやるよ」
そう言いながら、大雅がブラジャーのホックを外した。
異性に下着を贈られるなんて経験したことがない。どう受け止めていいのかわからないまま、妃翠はただ彼の手に翻弄される。
「ン……ッ」
手早く脱ぎ取られたブラジャーもベッドの端に放られた。咄嗟に両腕をクロスさせて胸を隠す。
「なんだ、谷間を強調してるのか」
「ちが……っ」
もちろん違うけれど、手を離す勇気がない。
軽口を叩いているが、大雅には余裕は一切なさそうだ。荒々しい手つきでシャツを脱いでベッドの下に放った。
まだ上半身だけとはいえ、男性の裸を見たことはほとんどない。くっきりと線の入ったシックスパックからして、彼が身体を鍛えていることがわかる。
雄のフェロモンが濃厚に漂ってくる。この逞しい肉体に抱きしめられたらどんなに……。
──私が私じゃいられない……。
ふわふわとした心地から抜け出せない。自分の奥底に眠る欲望がずっと声を上げている。
早く触れてほしい、触れたい。
濃密な香りを堪能して、堪能されたい。
ひとつに繫がりたい。ぐずぐずに蕩けて、そのまま首を嚙んでほしい……。
これがΩとしての本性であるのははっきりわかった。首裏が熱を持ったようにそわそわして落ち着かない。
「妃翠、今まで男に抱かれたことはあるか」
妃翠は緩慢な動きで首を左右に振った。
「ならここに入るのは俺が初めてだな」
下腹を撫でられる。
その動きと彼の体温を感じて、妃翠の子宮が強く収縮したのを感じた。
「あ……っ」
蜜が零れる。下着はキスをされる前から濡れていて気持ち悪い。
「匂いが濃くなったな」
両脚を立てられ、ショーツを脱がされた。蜜を含んだ布はきっと重い。
大雅は妃翠の膝を広げさせて、その中心に顔を埋めてきた。
先ほどまで唇にキスをしていた肉厚な舌があらぬところを舐めている。
「や……ダメ……ッ」
ズズ……と愛液を啜る音が淫靡に響いた。いやらしくて逃げ出したいのに、しっかり脚を固定されているため逃げ場がない。
固く閉ざされている蕾をほころばせるように、大雅の舌が蜜口をこじ開ける。
丹念に蜜を舐めとりながら、時折花芽も舌先で刺激した。
「んぁ……っ」
妃翠の両手がシーツを握る。ぞわぞわとした震えが止まらない。
快楽の逃がし方を知らないため、胎内に燻る熱をどうしていいのかわからない。
「舐めても舐めても止まらねえ……」
──そんなところで喋らないで……。
些細な刺激すら敏感に感じ取ってしまう。大雅の吐息も快感を高めているようだ。
控えめな花芽に強く吸いつかれた。そのまま軽く歯を当てられて、妃翠は声にならない悲鳴を上げる。
「──ッ!」
身体が浮遊するような感覚。一瞬、頭が真っ白になり、高みから落とされる。
絶頂に達したのだと気づくが、四肢が重怠くて動かせそうにない。
「軽くイッたか」
潤んだ泥濘に指が一本挿入される。
痛みはなくすんなり入ったのは十分潤っているからだろう。大雅は妃翠の様子を窺いながら、二本目の指を挿入した。
「ア……ッ」
異物感があるが、痛みはない。ただ少し引きつれているような気がする。
妃翠は胸を隠すこともすっかり忘れて大雅の前に裸身を晒していた。膣内に彼の指を挿入されたまま反対の手で胸を揉みしだかれる。
「アァ……ッ」
ぐちゅぐちゅと下肢から淫靡な水音を響かせながら、胸を弄られ、頂を舐められる。そのいやらしい光景を目の当たりにしただけで、妃翠は無意識に膣内の指を締め付けてしまった。