ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

狂犬従者は愛されたい

狂犬従者は愛されたい

著者:
春日部こみと
イラスト:
炎かりよ
発売日:
2021年02月03日
定価:
770円(10%税込)
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ちゃんと俺を見て。もう子どもではないんです。

圧政を敷く父に反旗を翻し、帝国を打倒した皇女ライネリア。その後は独り静かに隠居暮らしをするはずが、ある事情で7歳年下の少年ウルリヒを養うことに。感情が薄く、小鹿のように細く小柄な彼。守らねばと思うライネリアだったが、それから約8年、彼は筋骨隆々のヒグマのような大男に成長していた! 一人前の男になった彼を見て、子離れせねばと思うライネリアだが――。「愛の押し売りに来ました」獰猛な目をしたウルリヒに、寝室で突然迫られて……!?

年下番犬従者×鈍感アラサー(元)皇女、養い子の激重な想いに囚われて――!?

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登場人物紹介

ライネリア

ライネリア

親友を殺されたことをきっかけに父に疑念を持つようになり、反旗を翻す。孤独に生きていくと決めていたが……。

ウルリヒ

ウルリヒ

ライネリアに養われ、感情を表に出すようにはなったが、ライネリアのこと以外はどうでもいいと思っている。

お試し読み

「……ライネリア様。もうやめないと言ったはずですが」
 脚を閉じようと力を込めたことに、ウルリヒが低い唸り声を上げる。
「わ、分かっているわ」
「分かっているなら、無駄な抵抗はしないでください」
「怖いことを言わないでちょうだい」
 なんだ、無駄な抵抗って。
「俺の理性の箍が外れます」
「だから怖いことを言わないでってば!」
 この筋肉ムキムキの猛獣のような大男が理性を失ったら、さすがのライネリアでも制御不能である。
 ライネリアは深呼吸をして、四肢の力を抜いて目を閉じた。まさに今から猛獣に食われんとするネズミの気分だった。猛獣の方は得物が抵抗をやめたことが嬉しいのか、いそいそと先ほどの続きに取り掛かる。ライネリアの膝の裏を舐め、柔らかな内腿へと移動すると、あちこちに吸い付いたり嚙んだりする。
「……っ、ん、……ぁ、っ……」
 ライネリアは声を殺すのに必死になった。
 太腿がこんなにも敏感な場所とは知らなかった。自分の身体だというのに、知らなかった事実が多すぎて、本当に自分の身体なのかこれはと言いたくなる。
 愛撫はどんどんと脚の付け根へと下りていく。
 そこに辿り着くと、ウルリヒは一度動きを止めた。見られているのだと肌で感じて、また狼狽える。今日は何度狼狽えればいいのだろう。
 ライネリアとていい歳の大人だ。未経験とはいえ、性行為の具体的な内容くらいは知っている。だからそこをウルリヒに見られるのは致し方ないことだと理解はしている。してはいるが、やはり恥ずかしさは拭えない。
 訳もなく罵りたくなる衝動をグッと堪え、ひたすらじっとしていると、ウルリヒの指が優しく恥毛を撫でた。
「……っ」
 何か堪え切れない恥ずかしさが込み上げてきて、上体を起こそうとしたライネリアは、次の瞬間、身を強張らせる。
「ウルッ……!」
 ウルリヒがそこに口を付けたのだ。なんとなく流れから予想はしていた。なにしろ足の指を舐める男だ。だが、まさか本当にそこを舐めるとは。
 ぬとり、と温かい感触が入り口を這う。ライネリアの頭の中は真っ白になった。入り口を舐められた。入り口と言うが、どちらかと言うと出口だ。排泄をする場所でもあり、経血が出てくる場所でもある。やはり出口だ。間違いない。
「ウルリヒ、やめ、やめてっ……! 汚いから!」
 悲鳴のような声を上げてもがくが、ウルリヒの太い両腕に脚を抱えられていてままならない。というか渾身の力を込めても下半身がまったく動かせない。なんだこれは。拘束具なのか。ライネリアの渾身の力を顔色一つ変えずに押さえ込んでいる化け物は、サラリとした口調で答えた。
「汚いからどうだと言うのです」
 いやそこは噓でも「汚くない」と言うべきなのではないか。だが自分の言葉を肯定された上で「だからどうした」と言われてしまえば、それ以上何が言えようか。
「……いやあの、汚いから……」
「少し黙ってくれますか?」
 それでも通そうとした理屈をため息で一蹴されて、やや呆然としてしまう。
 ライネリアがようやく口を噤むと、ウルリヒが改めて入り口を舐め始めた。
「……っ! ふ、ぅ……!」
 肉の花弁の形を辿るようにねっとりと舐め上げられた後、尖らせた舌がその奥の粘膜に潜り込むようにして入ってくる。違和感を伴う奇妙な感触に、ライネリアは顔を顰めた。
 今日ほど人の舌の感触を身体のあちこちで感じた日はなかった。
(こ、こんなに舐めるものなの!?)
 比較しようにも他を知らないのでなんとも言えないが、普通でない気がしてならない。
 だが「これは普通なの?」とウルリヒに訊くのもなんだか悔しい。
「う、ぁっ!?」
 ぐるぐると考えていると、割れ目の上の突起を撫でられて、甲高い声が出た。これまでの愛撫の中で最も分かりやすい快感に、ライネリアは目を見開く。
 その反応に、ウルリヒが気づかないはずがない。
「ここがいいんですね」
 玩具を見つけた子どものような声で言って、執拗にそこを攻め始める。
 舌先で捏ね繰り回したかと思うと、唇を使って柔らかく食んだりと、捕まえた小鳥を甚振る猫のように弄り倒された。
「ひぁ!」
「ああ、膨れ上がってきた。……なるほど、勃つと包皮から顔を出すのか。小さいけれど男の一物と同じなんですね。……ああ、ちゃんと感じてくれているようだ。こんなに蜜が溢れてきて……嬉しいな」
「ぁっ、ん、ん……ぅ、〜〜ぁあっ、ひ、ぃ!」
 弄る側は嬉々として大変楽しそうだが、弄られる側は堪ったものではない。
 ジンジンとした快感に心臓と下腹部を炙られているみたいだ。血が沸騰したように熱く、この熱をなんとかしたいのに、その方法が分からない。これ以上快感を得たくないのに、思いとは逆に、ライネリアの身体はもっと快楽を得ようとより敏感になっていく。
「ああ、零れてしまう、もったいない……」
 ウルリヒがそう呟いて、割れ目から漏れ出る粘液をべロリと舐め取る。その動きでウルリヒの前歯が陰核を掠め、硬い刺激にライネリアの身体の中に溜まっていた快楽の熾火が爆発した。
「ぃ、ぁっ……!」
 バチバチ、と目の裏に白い光が瞬き、ライネリアは腰を浮かせて四肢を引き攣らせる。
 鮮烈だった愉悦は、あっという間に霧散した。その名残の甘い気怠さで、ライネリアは投げ出すように手足の力を抜く。どこか眠気に似たその気怠さが全身に散らばっていくのを感じていると、ウルリヒが脱力したライネリアの顔に口づけを降らせながら、蜜口に指を宛てがった。
「……ウルリヒ?」
 絶頂の余韻で上手く働かない頭で、何をしているんだろうとぼんやりと思っていると、少し緊張した声でウルリヒに宣言された。
「指を挿れます。まずは一本から」
 え、と思った瞬間、にゅるりと長いものが自分の内側に入り込んでくる。
「んぁっ」
 はからずも嬌声が出てしまったが、もう今更過ぎて恥ずかしさは感じなかった。
「ああ、一度達してくださったから、膣内が濡れていて、無理なく入りました。ありがとうございます」
「…………どう、いたしまして?」
 お礼を言われるような話なのだろうか。語尾が疑問形になったのは仕方ないことだろう。
「ああ、濡れているからか、さっきよりもずっと柔らかくなっていますよ」
 中に入れた指を動かしながら、ウルリヒが嬉しそうに感想を述べてくるが、ライネリアの方はそれどころではない。
 達したばかりで敏感になっているせいか、硬い指で蜜襞を引っ搔くように擦られると、身体の熱がぶり返してきてしまった。男性を直接受け入れる場所だからか、与えられる快感は酷く生々しい。
 これまで意識したことのない身体の奥が、とろとろと溶け出してしまうような感覚だった。ウルリヒの指が動く度に、奥から淫液が溢れ出てきて、酷く淫靡な音を立てる。
 ごくり、とウルリヒが唾を呑む音が聞こえてきた。
「……指を増やしますね」
 ウルリヒがまた宣言する。その声は少し掠れていた。
「……ぅ、んっ……」
 長い指がもう一本入り込んでくる。今度は入り口に少し突っ張るような感じがあって、ライネリアは眉根を寄せた。だが身体は精神よりも柔軟なのか、違和感はすぐになくなる。それよりも二本の指が膣内で蠢く感覚の方に気を取られた。
 二本になると動きに変化をつけられるからか、一本の時よりもずっとその存在感がハッキリとする。バラバラと交互に前後し、蜜筒の中を押し広げるような動きをされて、ライネリアは熱い息を吐いた。気持ち好いのか悪いのか、自分でもよく分からない。ただ、身体の熱がどんどんと上がっている感覚だけは分かった。
「もう少し解せば、俺のものも受け入れられそうですね」
 膣内を弄りながら、ウルリヒが心からホッとしたような声で言ったので、ライネリアはなんとなく視線を下げる。
(そうか……。私のここに、ウルリヒの男根が入るのよね……)
 指が二本入っている今でも結構な圧迫感があるのに、まだ解さなければいけないのか、と不安になって、無意識にウルリヒのものを確認しようとしたのかもしれない。
 そして悲鳴をあげた。
「ひぃっ!」
「どうしたんですか!?」
 悲鳴に驚いたのか、ウルリヒが険しい顔でライネリアを見る。
 ライネリアは顔を真っ青にして下を指さした。
「おおおおおおお前! なななななんだその、化け物のような大きいのは!!」
 ライネリアの指の先に視線を向けたウルリヒは、そこに天を向いて隆々と聳え立つ己の一物を確認してはにかんだ。
「ありがとうございます」
「褒めてない!」
 ライネリアは切って捨てるように否定する。恐れ慄く自分の姿が見えていないのか、この頓珍漢。
「そ、そんなもの、入るわけないでしょう! 物理的に無理だわ!」
 ライネリアは叫びながら、ウルリヒの股間を凝視した。
 幹が長く太く、笠が張り出した形は昔森で見た茸にそっくりだ。だがあの茸は物言わぬ植物のようなものでしかなかったが、この赤黒いものはどう考えても動物だ。幹に太い血管が数本浮き出ていて、笠の部分には涎のような透明な水滴が浮かんでいる。何か未知の生物で、今にも勝手に動き出しそうだった。その証拠に、ライネリアの声に合わせるようにピクンピクンと揺れている。
 こんな凶暴そうで凶悪な生き物を、誰が好き好んで自分の身体の中に入れると言うのか。
「私はお前の指だけでもいっぱいいっぱいなのに、そ、そんな大きいもの、壊れるに決まっているでしょう!」
 ウルリヒのそれは、彼の指三本分よりも大きいように見える。
 大きいし、謎の生物だし、これは無理だ。裂ける。
 その結論を必死に伝えたつもりだったのに、ウルリヒはにっこりと笑顔で頷いた。
「大丈夫ですよ。俺のは一般的な大きさですから」
 衝撃の事実に、ライネリアは仰天した。
「え!? そ、そうなの!?」
「ええ」
 なんてことだろう。こんなものが世の大半の男子についているなんて。
「そもそも、女性はここから赤ん坊を産むわけですから」
「あっ……!? そ、そうか!」
 確かに、この生物の笠は大きく見えるが、その直径は赤ん坊の頭ほどではない。納得のいく説明に感心していると、ウルリヒが微笑みを浮かべたまま続けた。
「女性の身体は、これくらいの大きさのものは受け入れられるようにできているのです。ご心配なく」
「なるほど!」
 すっかり安心したライネリアの手を取って、ウルリヒがその甲に口づける。
「……もう、心配はありませんか?」

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