ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

軍人は愛の獣

軍人は愛の獣

著者:
最賀すみれ
イラスト:
白崎小夜
発売日:
2020年12月03日
定価:
770円(10%税込)
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お傍に置いてください、この先もずっと……。

ある日突然、国王の愛妾となるよう命じられたジゼル。けれど彼女には想い人がいた。兄の命の恩人である軍人ウォレスだ。元奴隷という生い立ちのせいか、ジゼルを女神と崇め、下僕のようにふるまう彼。縮まない距離に落ち込みつつも、ジゼルは彼と過ごす日々に幸せを感じていた。だが王命には逆らえない。悲痛な想いで彼を諦めようとするジゼルだが……。深夜、部屋に忍んできた彼に縋るように見つめられ、罪と知りつつ彼と一夜を共にしてしまい――!?

元奴隷の軍人×国王の愛妾、背徳の主従愛!

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登場人物紹介

ジゼル

ジゼル

親から結婚を急かされている下級貴族の娘。異国出身のウォレスに言葉などを教えているうちに恋に落ちる。

ウォレス

ウォレス

意思を持たぬよう教育されたため、基本は誰にでも従順。ジゼルと出会い、少しずつ自我が芽生えるが……。

お試し読み

「ジゼル様の望みをかなえるのが、私の無上の喜びです」
「ウォレス……っ」
 申し訳ない思いと、彼の優しさにすがる思いと。両方を感じながら彼の胸に顔を埋めた。
 そんなジゼルの身体を軽々と抱き上げ、ウォレスは寝室へと移動する。そっと寝台に横たえると、彼は腕の中にジゼルを閉じ込め、先日と同じ深いキスをしてきた。
「────……」
 彼と交わす最後のキスだと思うと、胸がぎゅっと締めつけられる。
 丁寧で優しい舌の愛撫を延々と続けられたジゼルは、心ゆくまで甘やかな陶酔に浸った。口蓋をくすぐられ、舌の根を舐めまわされ、痺れるような愉悦に身体から力が抜けていく。
「……ん……っ、ん……っ」
 口づけの心地よさにとろんとしていると、彼は身を起こし、ドレスをいじってきた。どうやら脱がそうとしているようだ。しかしうまくいかず、もたもたしている。
 ロワディの女性のドレスの作りがわからないのだろう。そう気づき、ジゼルは自ら脱ぐのを手伝った。リボンを解き、複雑に重ねた生地を一枚一枚、取りのぞいていく。静まりかえった寝室の中に衣擦れの音が響く。ゆっくりと身軽になっていくその作業は、ジゼルをひどくドキドキさせた。
 ややあってキャミソールとドロワーズという、下着だけの姿になる。
 これまで異性には見せたことのない下着姿になるのも恥ずかしいというのに、ウォレスはそれすらも?いでしまおうとした。
 いつもならそんなこと、なかなか応じられなかったはずだ。しかし誰も知らない宵闇の中、想いがあふれてもどかしいほどふれ合いたいと望んでいる今は、羞恥よりも衝動が勝った。
 互いに一糸まとわぬ姿になると、ウォレスはふたたびジゼルを横たえ、首から鎖骨に吐息まじりのキスを落としてくる。
「ぁ、……ん……っ」
 柔らかいくちびるの感触はくすぐったい。思わず身をくねらせると、熱いキスは胸の膨らみに到達した。柔肉にちゅっ、ちゅっと口づけながら、淡く色づいた先端にそっと吸いついてくる。
「あ……っ」
 敏感な部分を口に含まれ、思わず声がもれた。
 ざらついた舌で舐めまわされ、甘く痺れてしまう。ムズムズする感覚にとまどううち、そこが硬くなってくる。すると舌はそれを転がすように絡みついてきた。
「……ん……っ」
 反対側の乳首は指ではさまれ、糸を縒るようにすり合わされる。さらに大きな手のひらで押しまわされ、淫らに形を変えられる。
 卑猥な光景から視線を逸らした瞬間、ふいに舐められていたほうの突起が吸い上げられ、胸の奥が熱く疼いた。
「ぁっ……」
 ねっとりとした愉悦が腰に伝わり、全身を甘い熱で満たしていく。
 自然に甘ったるい吐息がもれた。
「はぁ……っ」
 ウォレスの琥珀色の隻眼が、そんなジゼルをじっと見つめているのが恥ずかしい。思わず両手を持ち上げて枕をにぎりしめたところ、彼はふいに、無防備に晒されたジゼルの脇の下へ首をのばしてきた。
「ひゃっ……」
 脇の下をねろりと舐められ、くすぐったさに息を詰める。すると、身を竦めるジゼルから反応を引き出すように、彼はさらに脇の下や腕の柔らかい場所を舐めまわす。
「あっ、……あ、……ぁン……っ」
 くすぐったさのあまり大きく身をよじった。しかしさらに舌を這わされ、くすぐったいのを通り越してしまうと、今度はなまめかしい心地よさに、ふにゃふにゃになってしまいそうになる。
「ぁふ……ぁ、ぁっ……、は……っ」
 首を振って身体をくねらせていると、舌は次に脇腹へと下りていった。それもまた、ひどくくすぐったく、淫靡な疼きが腰のまわりに募っていく。
 ウォレスはといえば、しきりに身をよじるジゼルの反応を喜んでいるようだ。
「ジゼル様の肌は……舐めたら溶けてしまいそうなほど、柔らかくて……甘いですね……」
 その手のひらは、ジゼルの無垢な胸を際限なく揉みしだいていた。指先で先端をくにくにと刺激しながら、ゆったりと捏ねまわされる。かと思うと、感じてしまい、ひくつく身体を愉しむように舐められる。
 淫靡なくすぐったさと、皮膚の下で粟立つ快感のさざ波にじっとしていられず、ジゼルは蛇のように絶え間なく身体をのたうたせた。
 儚い声を上げ続けるうち、肌がじっとりと汗ばんでくる。すると、彼はますます熱を込めて全身に舌を這わせる。背中から腰、そして内股の柔らかいところをたどり、足首まで。耐えられないほど入念に、彼はじっくりとジゼルの肌を堪能してきた。
「あ……っ、ぁんっ、ウォレス、くすぐったい……あっ、や、ぁん……!」
 甘い悲鳴が跳ね上がったのは、彼が足の指までしゃぶってきたからだ。
 くすぐったさに跳ねまわる足首をつかんで放さず、彼は恍惚とした表情で、飴玉のように足の指を口に含んでくる。指と指の間にまで舌を這わされ、下腹部がずぅんと甘く痺れる。
「やぁ、それ……だめ……っ」
 切なく訴えると、彼はハッと我に返ったようだった。
「も、申し訳ありません……」
 ウォレスは目元を上気させ、息を乱している。
 ジゼルも同じだった。涙を浮かべてハァハァと大きく胸を上下させている。まるでお湯に浸かったかのように熱くてたまらなかった。胸から生まれた熱を煽るような、じわじわとした淫戯を受けて全身が火照っている。
 脚の付け根がうるんでいるのを感じ、ジゼルは大腿をすり合わせた。するとウォレスは、すっとそこに手を置いてくる。
「ン……っ」
 熱く熟れた局部にひんやりとした手の感触を受け、大腿が震えた。
 指がくちゅりと割れ目に沈み込んでくる。指先で溝を縦に刺激されただけで、得も言われぬ快感が身体の芯を走り抜ける。
「あぁ……っ」
 お腹の奥がひどく熱かった。背筋をしならせて悶えるジゼルを、ウォレスが欲望を湛えた目で見下ろしてくる。
「どうか快楽に身を委ねてください」
 言葉の通り、彼は敏感な花びらを慎重に暴いてきた。たっぷりと蜜をまとった指が、二、三度往復しただけで、ジゼルはビクビクと身体をのたうたせる。
 さらには膨らんで芯を露わにした雌しべを擦られ、たちまち絶頂に追い上げられる。
「あぁ……ッ!」
 くちくちとした指の動きに脳裏が真っ白に染まってしまう。ジゼルは息を詰めて全身を痙攣させた。

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