毒皇子の求婚
- 著者:
- 貴原すず
- イラスト:
- Ciel
- 発売日:
- 2020年08月03日
- 定価:
- 770円(10%税込)
大丈夫。邪魔者は、すべて俺が取り除くよ。
父が大罪を犯したために両親を処刑されたエルナは、得意の薬づくりで民を助けながら、修道院でつつましく暮らしていた。だがある日、自分のつくった薬のせいで、皇太子ユリアンの具合が悪くなってしまう。彼はエルナにとって、元婚約者の弟で、大切な幼なじみ。責任を感じるエルナにユリアンは、自分が回復するまで専属の薬師になるよう命じるのだが……。「俺と結婚してくれ」深夜、寝室に忍んできた彼に、まっすぐな言葉で求婚されて熱烈に求められ――!?
腹黒策士な皇太子×健気な令嬢、“無邪気な幼なじみ”の仮面に隠した獰猛な執着愛!
エルナ
父が大罪を犯したために両親を処刑され、自身は修道院で暮らすことに。ユリアンを心の支えにしていたが……。
ユリアン
エルナの婚約者でもあった兄が亡くなったため、皇太子となる。エルナのことを幼い頃からずっと気にかけていた。
「あ……だめ……あっ……」
「だめだったら、やめようか」
淫芽に触れるのをやめるどころか、ドロワーズからも手を抜かれ、物足りなさだけが身体に残る。
「……ひどい……」
身体は勝手に熱くなっていて、これ以上の刺激を求めている。それなのに、ユリアンは愛撫をやめてしまうのだ。
「さ、言って、エルナ。続きをしてほしいなら、もっとしてって言わないと」
ユリアンが微笑みを浮かべて無情に迫る。けれど、そんなはしたない言葉を口にできるはずがない。
渇きにも似たうずきに耐えていると、ユリアンがエルナの腰を抱いてくちづけてきた。
「ん……んんっ……」
彼に導かれるようにして舌をからめていると、それだけで花芯がきゅんと熱くなってしまう。
ユリアンはくちづけをやめると、やさしくささやいてくる。
「言いたくなかったら、自分から全部脱ぐんだ。そうしたら、俺がエルナの熱を冷ましてやる」
誘惑されて、彼の瞳を覗く。ユリアンは意地悪く笑って、さらに追いつめる。
「うーん、じゃあ、こう言おうか。俺の具合が悪くなったのは、エルナのせいだったよね。だから、償いに俺を気持ちよくしてくれなくちゃ。あの薬酒には手伝ってもらっただけだよ」
残酷な言葉に、エルナは唇を?む。
(そんな……)
しかし、彼の言うとおりだった。肺が焼けるようだと言っていたユリアンの咳をさらに悪化させたのは、エルナの処方した薬だ。直接診て処方できなかったからだという言い訳など胸を張って言えるはずもない。償いだと言われたら、エルナは彼の望みどおりにするしかなかった。
ひとつ息を吸って覚悟を決めると、震える手でシュミーズを脱ぐ。白い乳房はすっかり上気して紅が散っている。
さらにはドレスを爪先から脱ぎ捨てて、ドロワーズをも脱ぐ。感じやすくなった狭間から布を引きはがす感触にすら腰が震えて、みっともなくてならない。
全裸で膝立ちの姿勢をとる。裸身を余すところなくさらして、エルナは屈辱の極みにあった。
「……エルナ、すごくきれいだ。俺も素肌で抱きあいたいよ……」
感嘆の息を吐いたあと、彼は自らのシャツのボタンをはずしていく。
「ユ、ユリアン」
恥ずかしすぎて直視できない。顔をそむけ、ちらりと目の端で確認すると、シャツを脱いだ彼が脚衣をも引き下ろしていた。
(……病み上がりとは思えないわ)
筋肉がほどよくついた肉体は彫像のように美しかった。胸も腹もはっきりとわかるほど張りがある男らしい身体つきに鼓動が速くなる。
(お、おまけに下半身が大変な事態になっているわ)
へそにつくほど反り返った男根は、威嚇のために鎌首を持ち上げた蛇に姿形が似ていて、とてもまともに見ていられないという気にさせられる。
ユリアンはエルナの腰を抱き、深く抱きしめてくる。なめらかな彼の肌に全身を包まれていると、緊張と安堵が同時に押し寄せてきておかしな具合になってしまう。
「エルナの肌はすごくすべすべしているな。それに、やっぱり甘くていい匂いだ」
首筋に顔をうずめて満足したような息を吐く。
「エルナの裸体は、本当にきれいだな。すごく欲情するよ」
「よ、欲情……?」
「エルナはどう? 俺の身体を見て、抱かれたいと思う?」
髪を一房手にとられ、くちづけされる。エルナは赤面してうつむいた。
本気で嫌なら、彼を突き飛ばしてでも逃げるはずだ。そうしないのは、やはりユリアンが好きだから。とはいっても、今結ばれるのは性急だという気持ちがあった。だから、やはり否定を口にしてしまう。
「……そんなこと、思わないわ」
「ふうん、でも、ここはどうだろうね」
ユリアンがエルナの股間に手を伸ばしてくる。閉じようとする内腿を難なくすり抜けて、秘裂を撫であげる。
「は……ふぅ……あぁ……」
ユリアンの指がすべるたびに悦楽の波に襲われて、全身が他愛もなく震える。下腹の奥が甘いうずきを放ちだす。
「……すごく濡れてる。早く挿れてほしいみたいだ」
「んんっ……い、挿れるのは……」
破瓜を示唆しているのだろうが、エルナにはなお抵抗があった。
「……怖いわ」
愛撫のせいで、声がしっとりと艶めいてしまう。これでは、ユリアンに抵抗の意思が伝わったかどうか、わからない。
「怖くないよ。いっぱいやさしくするから、むしろ俺が欲しいと思うはずだよ」
ユリアンが肩を押してエルナを仰向けに寝かせる。それから、膝を曲げたまま脚を大きく開かされた。
「エルナ、自分の膝の後ろを、自分で抱えて固定して」
「え、そ、そんなこと……」
そんな恥ずかしい姿勢などできるはずがない。ユリアンに性器をさらすことになるではないか。
「ほら、早く」
ユリアンに迫られても、なかなか実行できない。ちゅくちゅくと音をさせて指を動かしている彼が、切なげに訴えてくる。
「エルナ、俺はまた病が再発するかもしれない。その前に、エルナと結ばれたいんだ」
そんな懇願をされたら、拒否することなんてできなくなってしまう。
エルナは恥ずかしさに泣きたくなりながら、自らの腕で膝を抱えて開いた。股間を彼の眼前にさらす体勢をとる。
「うれしいよ、エルナ」
ユリアンがそっと指を這わせてくる。尖った陰芽をこすりたてられ、あふれる蜜を撫でつけるように指を秘裂にすべらされ、呼吸が乱れるほどに感じてしまう。
「は……ああ……あん……ああん……ああ……」
「一回達っておこうか」
肉玉をめちゃくちゃにこすられて、エルナは瞬く間に絶頂に至った。
全身をびくびくと痙攣させ、声もなく快楽を味わい尽くす。
「ひ……ひぁ……はぁ……」
肩を上下させて絶頂の余韻にひたる。身体が震えるたびに、蜜孔から愛液がとろとろとあふれた。
「エルナ、脚をしっかり広げておくんだ」
釘を刺したユリアンが蜜孔に中指をそっと入れる。
「は……あぁ……痛い……だめ……」
エルナは眉間に皺を寄せて指の侵入に耐える。この前と同じく、やはり痛みがこみあげてくる。
「痛い?」
指を半分ほど挿れたところで、少しずつ抜き差ししだした。奥歯を?んで耐えねばならぬような痛みが走る。
「う……うん……」
「痛いか……ここと同時にしたらどうかな?」
ユリアンが新しい発見をしたような声を出して、陰芽を転がしだす。人差し指で陰芽を前後左右に動かされ、エルナは喉を反らした。
「あ……んあ……ああ……いい……」
油断して、ぽろりと本音をこぼしてしまう。陰芽をくすぐられて得られる快感は強くて鋭く、抗いがたい力がある。
「両方一緒にすると、中がもっと気持ちよくなるよ」