凶愛に啼く獣
- 著者:
- 宇奈月香
- イラスト:
- 芦原モカ
- 発売日:
- 2020年02月03日
- 定価:
- 726円(10%税込)
いやらしくて、綺麗で――穢したくなる
第一王子の妃候補に選ばれた嵐の夜。伯爵令嬢エステルは義兄ジェラルドへの秘めた想いを遂げ身籠ってしまう。侍女の策略でジェラルドから見放され、激高した養父によって急遽、老富豪へ嫁がされて五年。未亡人となり莫大な遺産を得たエステルは悪女と呼ばれるようになっていた。そんなエステルの前に軍服を纏ったジェラルドが現れる。ある事件の容疑者として地下倉庫に監禁されたエステルはジェラルドに清純な身体を執拗に嬲られ――。
傲岸不遜な軍人×貞淑な“悪女”、理性が灼き切れるほど獰猛な執愛。
エステル
ルヴィエ伯爵家の養女。義兄への想いを秘めたまま老富豪に嫁ぎ、悪女と呼ばれているが……。
ジェラルド
狂犬と呼ばれる軍人。エステルを大切にしていたが、苛烈な怒りと憎しみを抱くようになり……。
「いやらしい女だ。もう濡れているじゃないか」
「──っ」
「口を犯されて感じたか」
「嘘……よっ、そんなはずない」
「ならば、これは何だ」
男茎の先端が秘部を下から上へと撫でていく。ぬち、と濡れた音にエステルは目を見張った。
「とんだ変態か。それとも、天性の淫乱か。この身体を前にしたらゴーチエはひとたまりもなかっただろうな。あの執事はお前の愛人か? 物欲しげな目でお前を見ていたな」
「ち、違います!」
「お前は否定ばかりだ」
「あぁ──ッ!!」
何の準備もなく、太いものが秘部の中へ押し込まれていく。
身体を無理やり割り開かれていく痛みに、エステルはたまらず悲鳴を上げた。
「い……、痛……い……っ」
「これだけ……狭ければ……なっ!」
「ひあぁっ!!」
「子を産んだとは思えぬ身体だ。狭くてよく締まる」
「あ……あぁ……やめ……て、お……願い」
「処女のような初々しさだな。老いぼれたちはお前を存分に満たしてくれなかったとみえる」
くつくつとあざ笑う声を睨みつけた。
「スタンリーたちは……紳士……、あなたと……は、違う」
「俺があれよりも劣ると言うのか」
「あぁっ!」
肌がぶつかる音がして、身体の奥を怒張したもので突き上げられた。目の奥で細かい銀色の光が舞う。ずるずると粘膜を擦られながら、蜜口まで引き抜かれる。ひぃっと悲鳴を上げると、勢いをつけて最奥を抉られた。
「ひ──ぃ……っ」
鮮烈な痛みに、息すらできない。
ジェラルドは、何度も何度も大きな律動を繰り返した。そのたびに、頭の中が焼き切れるような痺れに襲われる。
(奥……が……、奥まで……届いて……る)
怒張した屹立に無理やり広げられた蜜道を、ごりごりと擦られる刺激にエステルは為す術もなかった。
開いたままの唇からは、ひっきりなしに嬌声とも悲鳴とも言える声が零れる。
五年前、たった一度きりの行為は荒々しさの中にも、エステルへのむき出しの愛があった。
けれど、ここにあるのはエステルを屈服させたいという支配欲だけ。
なぜ、こんな目に遭わなければいけないのだろう。
嫌われても、ジェラルドから敵視される覚えなどない。
それとも、彼はサシャ王の忠実な犬に成り下がってしまったのだろうか。エステルがサシャ王に仇なす可能性があれば、義妹であろうと牙を剥くとでもいうのか。
「い……ぁ、……あ……っ」
両手で腰を掴まれ、間断なく腰を抜き差しされる。腰骨に響く律動が痛くてたまらないのに、粘膜からはじわじわと痛みとは違う感覚も染み出ていた。
それは、徐々に身体に広がっていく。
ジェラルドが虐げている秘部の奥が、じわりと疼く。
(な……んで)
覚えのあるそれを、エステルは首を横に振って否定した。
(陵辱されて感じるなんて……あり得ない)
「あ……ぁ、……ぅ…ん、んっ」
快感に意識を向けては駄目だ。
そう思うも、ジェラルドが送り込んでくる振動と痛みに、心が乱れる。屹立の動きに合わせてぐちゅぐちゅと卑猥な水音が響いた。
「どうだ? 老いぼれとは違うだろう?」
「い……ぁ、……あっ、あ……」
「奥を突かれるのは苦手か。ゴーチエの逸物では、ここを慰めることはできなかったか」
「やめ……、あぁ……ぅん、ん」
「下の口は嬉しそうに吸い付いてくるぞ。──ここか」
「あぁっ!!」
背中をしならせ、顔を床に擦りつけた。じっとりと汗ばむ肌に乱れた髪が張り付く。床の木の匂いが鼻についた。
板間で揺さぶられているせいか、手も身体も擦れて痛い。
心ない言葉で心も傷ついている。
なのに、──どうして。
「あぁ……あ……っ、ん……!」
「どうした。陵辱されながら感じているのか?」
「ち……が……」
なけなしの矜持で肩越しに睨みつけると、ジェラルドが獰猛な双眸をぎらつかせた。
「あ……ぁ、あ──」
ずるりと、欲望が抜ける。
ジェラルドは隊員が置いていったものを手に取り、それをそそり立つ屹立に垂らした。扱きながらまんべんなく塗りたくり、同じものをエステルの秘部にも垂らす。とろりと粘りけのあるそれは火照った身体には冷たすぎた。
「ひ……何……」
「すぐにわかる」
愉悦が滲んだ声を怪訝に思うも、理由はすぐにわかった。
(身体……熱い……)
液体が触れた部分が熱を帯び始めたのだ。
「……ふ……ぅ」
「効き始めたか。さすが即効性を謳うだけはあるな」
嘯くジェラルドの声も興奮していた。
ジェラルドは再びそれを手に取ると、今度は蜜穴の周りに塗りつけた。
「や──……っ、あ……あぁっ」
薄い皮膚に強烈な痒みが生まれる。
「うそ……やめ……てっ」
ジェラルドは指を秘部にも差し込み、ぐるりと中にも擦り付けた。
「あぁ──っ!」
じんじんと猛烈な熱が湧き上がる。熱くて痒くてたまらない。
触れられてもいないのに、蜜が秘部から溢れてきた。
たまらず腰を揺らめかす。足を開いては閉じるを繰り返し、もどかしさをごまかした。
けれど、そんなものではもうどうにもならない。
血脈に乗って全身に巡り渡った肉欲が、エステルから理性を剥ぎ取っていく。
何が欲しいのかは、身体が知っていた。
覚えたてのあの快感だ。
「……にい……さま」
喘ぐように、ジェラルドを呼んだ。
浮かんだ涙で火照った頬を濡らしながら、ジェラルドに足を開いて見せる。
「中……かゆい……、掻き……たい」
腰を揺らすたびに、蜜が滴り零れた。
「義兄様、……お願い、掻い……て。早く……」
足で腰を高く持ち上げなら、挿れてほしいと訴えた。
「義兄さま……にい……さま……っ」
涙ながらに哀願を繰り返す。彼が自分にとってどういう存在かなど、今のエステルには関係なかった。
ジェラルドの長大で太いものが欲しい。
あれでなければ、この渇望は収まらない。
唐突に宿った劣情の炎に頭の中が今にも焼き切れそうだ。
口の中まで渇いて熱い。舌で唇を舐めた。
「──魔性か」
「あぁ──ッ!!」
入ってきた熱塊に、エステルは顔をのけぞらせながら絶頂に飛んだ。
「あ……ぁ、い……いっ、気持ち……い!」
「獣の所業が気持ちいいか!」
狂ったように、ジェラルドが腰を打ち付けてくる。
エステルも半狂乱になりながら、よがり泣いた。
「ひぃ──ぁ、あっ。それ……だめ……っ」
「お前は人形なのではない。途方もなくいやしい女だ。これから、それを身体に覚えさせてやる」
「やめ──。ひぁ、あぁ──!!」
狂ってしまう。快楽に溺れ死ぬ。
エステルはあふれ出る蜜で身体の至るところを濡らしながら「やめて」と「いい」を叫び続けた。
もう何度達したかもわからない。
股の下にできた水たまりに、ジェラルドがいっそう興奮した声を出した。
「いいか、よく聞け。お前を支配するのはこの俺だっ」
「やめ……あ……うっ」
「俺だけのやり方でお前を従わせてやるっ!」