ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

偽りの愛の誤算

偽りの愛の誤算

著者:
御堂志生
イラスト:
アオイ冬子
発売日:
2019年10月03日
定価:
726円(10%税込)
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愛ではない。私はただ、君の躰がほしいだけだ。

没落令嬢のクロエは、病気の母親のため、高級娼婦の道を選ぶ。初めての相手は国王の賓客で武器商人のミハイル。クロエより一回りは年上のはずなのに、驚くほどに若々しい美貌を持つ彼。クロエはじっくりと時間をかけて初心な躰を開かれて、極上の快楽に溺れていく。「愛してるよ、可愛いクロエ」それは、彼がこの国を去るまでの仮初の言葉。わかっているのに惹かれる気持ちを止められない。だが彼がクロエに近づいたのは、ある目的のためだった――!?
謎を秘めた武器商人×純朴な高級娼婦、仮初の恋が永遠の愛に変わる時――。

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登場人物紹介

クロエ

クロエ

元子爵令嬢。病気の母親のため、高級娼婦となる。小悪魔的に振る舞おうとするものの、純朴さが抜けきらない。

ミハイル

ミハイル

祖国を持たず、様々な国を渡り歩いている武器商人。クロエを気に入り指名するが、何か秘密を抱えているようで…。

お試し読み

「君はその見た目だけでなく、心映えも美しい女性だ」
 ミハイルの言葉は、あっという間にクロエの心に溶け込み、奥深くまで沁み込んでいく。
 強張った心が柔らかくほぐされ、彼に夢中になってしまいそうで……そんな不安を打ち消す間もなく、クロエは仰向けに押し倒されていた。
 ベッドのマットレスは思ったより柔らかかった。真っ白い染みひとつないリネンのシーツが、倒れ込んだ彼女の身体を優しく受け止めてくれる。
 彼女の唇を追いかけるようにミハイルは覆いかぶさってきて、三度、吐息を奪われてしまう。
 しかも、今度はこれまでとは違うキスだった。
「あ……んっ、んん、ふ」
 肉厚な舌先で唇をなぞられる。
 クロエがほんのわずかに唇を開け、息を吸った瞬間──その隙間をこじ開けるようにして、彼は舌を滑り込ませてきた。
 それは無遠慮なまでに生々しく蠢き、歯列を舐め、唾液を啜る。
 あまりの荒々しさにクロエは泣きそうになるが、寸前、彼は心得たように唇を離してくれた。
「激しくすると、私が怖いか?」
「よく……わかり、ません。でも……ミハイル様は、怖くありません」
 すぐ目の前にある彼の瞳がふいに和らぐ。
「それはよかった。では、もう少し先まで進もう」
「あ……それ、は……あぁ」
 モスリンドレスの襟についた紐がほどかれ、胸元が大きく開かれる。
 二の腕が剥き出しになるくらい襟を下げられ、白い素肌とともにこんもりと盛り上がった双丘が露になった。
 胸の頂に痛いほどの視線を感じる。
「あ、あまり……見ないで……」
 小さな声でそう言うだけで精いっぱいだ。
「なぜだ?」
「は、恥ずか、しいです」
「私を幸せにしてくれるのだろう? クロエ……私の望みは、君のすべてを手に入れることだ」
 熟れ始めたばかりの果実を慈しむように、彼は大きな手でやわやわ揉みしだく。
 ミハイルの手に揉まれ、柔らかな乳房は次々に形を変え、羞恥心を伴う違和感は、少しずつ快感へと変化していった。
(胸を揉まれるのって、なんだか、気持ちいい。いいえ、そうじゃなくて……恥ずかしいのと、気持ちいいが同じなのかしら?)
 少しずつ呼吸が荒くなり、クロエの口から甘い吐息が漏れ始める。
「ぁ……はぁ、ん……あぁ」
 目を閉じかけたとき、別の快感がクロエの全身を駆け抜けた。
 ミハイルが胸の頂にキスしている。
 それも、先端を口に含み、ぬめりのある舌でねぶり回され、そこからは、チュパチュパと恥ずかしい音まで聞こえ始めた。
「ミ……ハイル、さ……ま、そん……そんな、ふうに、舐め、な……いで」
 必死に訴えるが、彼は舌による愛撫をやめようとせず……その手はドレスの裾から内側に入り込んだ。
 熱を帯びた掌で内股を撫で上げられ、クロエの身体がピクンと震えた。
「ひょっとして、ドロワーズも穿いてないのか?」
 国王の依頼を承諾したあと、使者からこのモスリンドレスを渡された。
 その際、よけいなものは身につけないように、と注意まで受けたのだ。それには下着も含まれているのだろうと思い、シュミーズはもちろんドロワーズも着てこなかった。
 王宮に入るまでは外套を羽織っていたので、なるべく気にしないようにしていたが……。
(ひょっとして、ドロワーズは穿いてくるべきだった?)
 そんなことを思い立ち、クロエは蒼白になる。
 大げさなことを言っても、結局はただの娼婦だと思われたかもしれない。そんな不安が一気に襲いかかり、心と同時に身体から熱が引きそうになる。
 だが──。
「このドレスといい、およそ、陛下が気を回したのだろうが……無垢な君にはさぞ恥ずかしかったことだろう」
「それは……」
 うなずけば、国王を非難する形になってしまう。
 クロエが返事に迷っていると、それだけでミハイルに伝わったようだ。
「ああ、答えなくてもいい。その代わり、力を抜いてごらん」
 それほど力を入れているつもりはないのだが、男性に触れられているだけで、四肢が緊張で強張るのは仕方のないことだった。
 その直後、ドレスの下で手が動き、脚の間に指を押し込まれた。

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