血の呪縛
- 著者:
- 富樫聖夜
- イラスト:
- さんば
- 発売日:
- 2019年08月03日
- 定価:
- 748円(10%税込)
大丈夫。君は何も考えなくていいんだよ。
政略結婚から6年後、夫の死により祖国へ戻されたニナリーナは、元婚約者で幼馴染みの従弟・エリアスに求婚される。けれど彼は今や国王。肉体関係はなかったとはいえ、結婚歴のある自分は王妃にふさわしくない。彼への想いを隠して断るニナリーナだが――。「許すわけがないだろう? 僕以外の男のモノになるなんて」歪んだ笑みを浮かべたエリアスに組み敷かれ、純潔を奪われたニナリーナは、激しく嬲られながらもほの暗い悦びを感じていて……。
冷酷で一途な青年王ד血の呪い”に囚われた姫、淫らで甘美な執着愛!
ニナリーナ
親しい者たちからはニーナと呼ばれている。ずっとエリアスを愛しているが、彼の重荷になりたくないと苦悩する。
エリアス
ニナリーナの一歳年下の従弟で、姉弟のように育った。ニナリーナには笑顔を見せるが、それ以外に対しては冷酷。
「ニーナ、君がヒルシュに戻って一か月が経った。そろそろ君も落ち着いた頃だと思う。君が落ち着いたら言おうと思っていたことがある」
「ま、まって、エリアス、それは……」
「ニーナ、僕と結婚して欲しい。僕の隣に立って、王妃としてこれからも僕を支えて欲しいんだ」
──ああ……!
求婚の言葉にニーナの胸が震えた。言ってもらえたことへの嬉しさと、断らなければならない辛さに涙が溢れてくる。
血の呪縛のことなど知らなければ──。あるいは、ニーナの愛情が清らかで温かなものだけであれば、きっと彼女はこの求婚を受け入れていただろう。
けれど、ニーナの愛は「ヒルシュ王族の呪い」そのものだ。相手のすべてを支配しなければ気が済まず、嫉妬深く、独占欲に溢れた醜い愛だ。
……こんな愛はエリアスに捧げるのに相応しくない。幼い頃に心に傷を負った彼には温かくて広くて、包み込むような愛情が必要なのだ。ニーナの狭量な執着心ではなく。
ニーナは覚悟を決めると、断りの言葉を口から紡いでいった。
「いいえ、エリアス。私はエリアスの妻になることはできないわ。私は結婚歴がある身。王妃になる資格はないの。王妃には他の女性を迎えて。私では……だめなの」
「慣習なんて気にする必要はない。僕は君がいいんだ。ずっと前から隣に立つのはニーナだと決めていた。そもそも僕たちはおじい様が定めた婚約者同士だ。他に相応しい女性なんていない」
「それでもだめなの! 私はあなたと結婚することはできない。いえ、したくないの。だから、お願い。私をどこか別の場所へ……修道院に追放して」
「修道院なんて……」
「私は寡婦だもの。修道院に行くのが一番だわ」
ここでニーナは焦るあまり、決して口にしてはいけない言葉を言ってしまう。
「修道院で亡き夫の冥福を祈って一生を過ごすのがいいと思うの。修道院が許されないのであれば、政略の駒としてどこかの適当な方に降嫁させてください。エリアスとヒルシュのためになるのであれば、私は喜んで輿入れするわ」
「……へえ」
目の前にいるエリアスの様子ががらりと変わった。
「亡き夫に操を立てて修道院に行きたいってこと? そのくせ、僕と国のためなら他の男に股を開くわけ?」
「……エリアス?」
あけすけな言葉に驚いてエリアスを見上げると、彼の紫色の瞳は冷たく光り、口元には酷薄な笑みが浮かんでいた。
ニーナの背筋にゾクッとしたものが走る。
「だったら僕にも股を開けるよね?」
「きゃあ!」
いきなりエリアスの腕に抱き上げられてニーナは悲鳴をあげた。羽織っていたショールが床に落ちる。
「エ、エリアス、どこへ?」
ニーナを抱き上げたままエリアスはどんどん部屋の奥に向かう。そこにあるのは天蓋付きのベッドだ。
──まさか……エリアスは私を……?
「ま、まって、エリアス、だめ……!」
その言葉を無視して、エリアスはベッドの前にくるとニーナの身体をそこに下ろし、逃げられないようにのしかかりながら言った。
「許せるわけがない。許すわけがないだろう? 僕以外の男のものになるなんて、僕以外の男に操を立てるなんて」
「エリア……ス……」
紫色の瞳に狂おしい光をたたえながら、エリアスは宣言するように告げた。
「君は僕のものだ。それをその身体に刻み込んであげるよ、僕のニーナ」
「やっ……!」
白い夜着を剥ぎ取られ、瞬く間に下着も引き下ろされて、ベッド脇の床に投げ捨てられる。
もがいて抵抗しても無駄だった。男性にしては細身に見えるのにエリアスの力は強く、ニーナの細腕ではビクともしなかった。
ニーナを片手一つで押さえつけながら、エリアスは身に着けていた軍服を片手で器用に脱いでいく。ランプの明かりのもとで露わになっていくエリアスの裸体は筋肉がしっかりついており、ニーナの知る幼い頃の彼とはまったく違っていた。
一瞬だけ抵抗を忘れ、その力強い上半身に見入ってしまったニーナは、エリアスの手が軍服のズボンにかかったのを見て我に返った。
「まって、まって、エリアス! 私の話を聞い……きゃあ!」
エリアスの大きな手に胸の膨らみを?まれ、ニーナは悲鳴をあげた。
「君の口から聞けるのは、僕を拒絶する言葉ばかり。だったら話をするより僕は君の胎内に入りたい。君は身体の方がとても素直だから。ああ、ほら、ニーナ。ニーナの可愛い蕾が立ってきた」
ふにふにと柔らかい肉がエリアスの手の中で形を変える。胸の先がじんと熱くなり、視線を下ろすと、エリアスの言う通り、すっかり先端の突起は立ち上がっていた。
「あっ、やっ、これは……っ」
「ニーナのここはこうされると悦ぶんだよ」
「ひっ……」
尖った先端を摘ままれ、捏ねられてニーナは息を詰めた。
「昔からニーナは乳首が弱いんだ。帰ってきてからも、毎晩可愛がってあげていたから、ほら、すぐにコリコリになる」
「やっ、あ、あっ」
──どういう、こと? 一体、エリアスは何を言って……。
じんじんと胸の先が疼いて、痛いくらいに張りつめていく。連動するようにドクドクとお腹の奥が熱くなっていった。
──だめ、なのに。無理やり身体を開かれているのに、どうして?
ニーナは自分の身体の反応が怖くなった。
「歯を立てられながら吸われるのも好きだよね、君は」
エリアスは頭を下げてぷっくりと膨らんだ胸の先端をぱくりと咥えた。歯に挟まれ、甘?みをされながらきつく吸われたとたん、ニーナの身体はビクンと震えた。
「あ、あああっ!」
胎内の奥がキュンと疼き、じわじわと全身に広がっていく。
顔を上げたエリアスは悦に入ったように笑った。
「ちょっと痛いくらいに苛めてあげると悦ぶよね。うん、やっぱりニーナの身体は素直だ。そんなに股を擦り合わせて……僕の愛撫に感じてるんだね」
「エリアス……一体、何を言って……」
「ふふふ。昔からニーナは一度寝ると何をされても起きない。だから僕はこうして──」
「ひゃん!」
無意識のうちに擦り合わせていた両脚の付け根に、エリアスの手が差し込まれる。ニーナの身体がビクンと跳ねた。
「一緒に寝るたびにニーナの身体に触れていたんだ。小さい頃からね。だから、ニーナの身体は僕の手の感触を覚えている。帰国してからも、ニーナの部屋に忍び込んで触れていたんだ。気づかなかったでしょう?」
「ま、まさか……」
思いもよらないことを聞かされて、ニーナは目の前が真っ暗になるのを感じた。
──ずっと前から、エリアスは私に触れていたの? 子どもの頃から? 帰国してからも? 時々身体が疼いていたのは、そのせい?
「なんて、こと……あ、やめて、エリアス……!」
顔を下げたエリアスは再び疼く胸の先をぱくりと咥えて、歯を立て始める。と同時に両脚の付け根に潜り込んだ指が割れ目をゆっくりとなぞり始めた。
「やっ、ぁ、あ、やめっ」
侍女にすら触れさせたことがない場所にエリアスの指が触れている。羞恥のあまりニーナの目に涙が浮かんだが、身体の反応は止めようがない。
ぞわりとニーナの背筋に得体の知れないものが駆け上がった。奥から何かがとぷんと染み出してくる。
間もなく、エリアスが指を動かすたびにぬちゃぬちゃと脚の間から濡れた音が聞こえてくるようになった。
「濡れてきたね。ニーナ、気持ちいい?」
「や、そんなの……」
知識はあっても経験のないニーナにはこれが気持ちいいものかどうかは分からない。けれど、エリアスの指が蠢くたびに形容しがたい感覚が全身を貫く。いてもたってもいられず、ニーナは身をよじったが、半ばのしかかられた状態ではエリアスの下から抜け出すことは難しかった。
「エリアス、やめ……ん、あ」
突然、ビクンとニーナの身体が跳ねた。エリアスの指がつぷっと奥に入り込んだからだ。ちくりとした痛みが走り、ニーナは顔を歪ませた。
「狭いね。指一本がやっとだ。碧国の皇帝に可愛がってもらってからだいぶ経っているのかな?」
「そんな、ことは……」
そもそも碧国の皇帝とは謁見の時に顔を合わせたきりだ。こんなことはもちろんしていない。
「まぁ、いい。これだけ濡れていればすぐに解れていくだろう」
「あっ、やっ……!」
挿入された指がゆっくりと出し入れを開始する。ただ出入りするだけではなく周囲の壁を擦ったり探ったりしながら入口を広げていく。同時にエリアスは頭を下げてニーナの胸の先端に吸い付き、歯を立てた。
「ああっ……!」
奥からじわりと蜜が染み出してきて、エリアスの指の動きを助ける。探るように動いていた指が上側のとある一点を掠めたとたん、ニーナの腰がビクンと跳ねた。
「ひゃっ!」
「ここかな?」
「あ、ひぃん」
再びエリアスの指がその一点を探り当てる。ざらりとしたその場所に触れられるたびに腰が跳ねて、ニーナの口から悲鳴があがった。
「見つけた。ここが感じるんだね?」