ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

竜王の恋

竜王の恋

著者:
月城うさぎ
イラスト:
白崎小夜
発売日:
2018年09月03日
定価:
726円(10%税込)
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諦めろ。竜は番を手放さない。

目を覚ますと、セレスティーンは見知らぬ寝台にいた。彼女の前に現れたのは、人間離れした美貌の男ガルシア。彼は、神話の生き物とされる竜――それも竜王であると言う。さらには、セレスティーンを“番”と呼び、「竜族は番の精を糧とする」と、突然、濃厚なキスを仕掛けてきて――!? 家族のもとへ帰りたいのに、竜王の城は迷宮のように複雑で、逃げることができない。セレスティーンは、ガルシアに毎夜激しく貪られ、快楽を植えつけられるのだが……。
愛を知らない竜族の王×竜王から逃げたい番の娘、無自覚な独占愛!

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登場人物紹介

セレスティーン

セレスティーン

ある日突然、ガルシアに連れ去られる。家族のもとへ帰るため、城を脱出しようとするが……。

ガルシア

ガルシア

竜族の王。千年以上生きているらしい。セレスティーンを番と呼び、自身の城に軟禁している。

アッシュ

アッシュ

竜王の城の探索中にセレスティーンがみつけた兎らしき動物。道案内をしてくれている様子……?

お試し読み

「なにも考える必要はない。ただ身を委ねていればよい」
 太ももにすべらせていた手が秘められた箇所へのびる。濡れて色を変えているところを下着の上からそっと指で撫で上げた。
「潤みが増したな」
「ぁあ……っ」
 誰にも触れさせたことがないところを触れられ、羞恥心が一気に高まった。一体なにをされるのか見当もつかないのに、身体は貪欲になにかを求め始めている。高まる熱の解放か、それとも疼きを鎮めるなにかか。
「やぁ、ダメ……」
 水気を含み重くなった布がゆっくりと脱がされていく。
 肌が空気に触れて冷たい。セレスティーンは少しでも身体を隠したくて身じろぎをしたが、膝を立たせられ阻まれる。
「ッ!」
 立てた両膝の間に、竜王の顔が埋まっていく。やめてともがく脚は動きを封じられて使い物にならない。
「やめ──、ンァッ……!」
 先ほどまで口腔を蹂躙していたものが、蜜を零す場所を舐めあげた。
 とんでもなく卑猥な光景を目の当たりにして、セレスティーンは気を失いかける。
「イヤ、ダメ、しんじられな──っ」
 じゅるじゅると啜る音はきっとわざと立てられたに違いない。抵抗をすればするほど、セレスティーンの意思とは真逆のことをされているようだ。
 がっしりと太ももを抱えられたまま蜜を啜られ、身体の熱はさらに高まっていく。
 舐めるだけに留まらず、肉厚な舌が蜜壺へねじ込まれた。誰も知らない未開の地を、ガルシアの舌先が侵略していく。
「なに、なに……? やぁ……ッ」
「安心せよ、舌で破瓜はせぬ」
 吐息の刺激だけで、腰が揺れた。そんなところで話すなんてと抗議したくても、口から漏れるのは甘い嬌声だけだ。
 舌で破瓜はせぬという言葉の意味を考えることもできないが、安心せよというのは嘘だと思った。今だって熱に翻弄され、自分自身が保てなくなっている。目尻に溜まった雫が今にも頬を伝いそうだ。
 そんな姿は見られたくない。泣き顔を見られるなんて屈辱的だ。だが歯を食いしばろうとしても意図せぬ声が漏れてしまう。
 強制的に少女から女にされようとしているのだ。自分の意思など置いてけぼりの現状に憤りを感じる。
「まだ足りぬ……もっと存分に啼くがよい」
「ンン……、ぁ、アア……!」
 抵抗したいのに、ざらりと秘所を舐めあげられて、こらえきれない声が零れる。甘さを含んだ嬌声がとてつもなく恥ずかしい。こんな甘ったるい声は自分の声ではないと思いたい。
 すると、ゆっくりとガルシアが顔を上げた。口許の濡れた様がひどく淫靡で直視できない。
 今までセレスティーンの周囲にいた男性は、父親と祖父と弟のユアン。叔父と親族の壮年の男たち。それに兄妹のように育てられた同年代の男子が数名だ。
 彼らから親愛を感じることはあっても、性の対象として身の危険を感じたことは一度もない。いつかは一族の中から歳の近い男と結婚することになる、それも星のめぐり合わせ次第だと祖父が言っていた。まだ時期ではないので、誰かを選ぶ必要もなく、その相手が誰かもわからないとも。
 時期が来れば将来の伴侶もわかる──。その言葉を信じ、それが誰になるのだろう? と年頃の少女らしくほのかな期待を胸に抱いていたのに、こんな望まぬ形で運命が狂わされるなんて想像もしていなかった。
「そなたの精は雄を狂わせたいらしい。すべてを貪り尽くしたくなる」
 濡れた金色の双眸が妖しく光った。
 身体の疼きが増す。下肢を濡らす自分はなんてはしたないのだろう。
 荒い呼吸を繰り返すセレスティーンを見つめながら、ガルシアが衣服を脱ぎだした。身体の線を隠すゆったりとした服装だったが、現れた身体は芸術品のように美しい。
 ほどよく鍛えられた筋肉と均整の取れた体?。
 雄々しく天を向く雄の象徴に、セレスティーンの視線が奪われた。
 ──なに、あれ……。
 成人男性の性器を見たのは初めてだった。それも重力に逆らったものを直視するなど、乙女にはどういう構造をしているのかも理解ができない。血管が浮き上がっていて別の生き物のように見える。
 恥じらいよりも、恐ろしいものを見てしまったという恐怖心が湧き上がった。一瞬で身体の熱が冷めていく。
「なにを驚く。雄の性器を見るのは初めてか」
 頷くことすら躊躇われる。そんなもの、見たいとも思っていなかったし、きっと夫となる者と初夜を迎えるまで知らないままでいただろう。
 絵画に描かれるような神々しい美の持ち主は、動いているのが不思議なほど現実味がないのに、その雄々しい昂りだけはとても生々しく感じられた。
「雄と雌の性器が合わさることで性交が成り立ち、我は精をもらい受けることができる」
 ざっくりとした説明が脳に届く。
 合わさるということはつまり、散々舐められた恥ずかしい場所に、この性器が入り込むということか。
 ──正気の沙汰じゃない……。
 体格に見合う立派な屹立は、小柄な自分には不釣り合いだ。
 恐怖から自然と腰が逃げようとする。
「諦めろ。賭けに応じたのはそなただ。嫌ならさっさとこの城から逃げるがよい。できぬなら夜毎我の食事に付き合うしか、そなたに道はない」
「……っ」
 竜王の食事。精を与えることが賭けの対価。
 これから毎晩、夜を迎えるたびに身体を開かれたくなければ、早くこの城から出るしかない。
 勝手に攫ってきて理不尽だと憤りを感じても、敵の根城から無事に生きて帰りたいのなら、相手の要求を呑むしかないのだと改めて痛感させられた。
 ──これは、食事。食事なのよ。
 身体から力を抜いた。抵抗すれば、どんな目に遭わされるかわからない。
「……好きに食べるがいいわ」
「勇ましいのは、嫌いではない」
 ふたたび唇が塞がれる。とろりとした甘い蜜が喉の奥に流れ込んできた。
 先ほど感じたものよりもっと甘いなにか。それを飲み込んだ直後、鎮まっていた身体の熱が再燃し、ずくずくとした疼きまでもが思い出したように身体を苛む。
「……ヤ、なんで……ッ」
「媚薬を流し込んだ。雌の発情を促すためのものだ」
 竜族の唾液に含まれる甘い蜜。それが身体を強制的に発情させているのだと教えられる。
 なんて便利で、人の心を無視した行為だろう。先ほどより甘さが増した蜜は、より強力な媚薬ということか。
 それがガルシアの優しさなのだと思うには、セレスティーンは彼のことを知らなすぎる。
 抵抗は無駄だ。身体は快楽を求めている。
 ならば心だけは好きにはさせないと、セレスティーンはその星空を閉じ込めた瞳で竜王を睨みあげた。
「その眼差しも、悪くない──」

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