呪いの王女の幸せな結婚
- 著者:
- 水月青
- イラスト:
- アオイ冬子
- 発売日:
- 2018年07月02日
- 定価:
- 704円(10%税込)
僕は絶対不幸にならない。
だから、キスしてもいい?
周囲の人が次々と不幸になることから“呪いの王女”と呼ばれるリューディアは、大国の王子アンブロシウスと結婚することに。「僕は絶対不幸にならない」と自信満々な彼。会うたびに甘い言葉を囁かれて戸惑うが、たわいない話をし、彼の優しさと前向きさに救われ、次第に惹かれていく。だがある日、彼が落馬して怪我をしてしまう。自分のせいだと別れを切り出すリューディアだが……。「絶対に逃がさない」豹変した彼に押し倒されて、淫らな愛撫を施され――!?
自信満々な“幸運の王子”が“呪いの王女”に一目惚れ!?
リューディア
呪いの王女と呼ばれ、周囲の人たちから避けられている。なるべく人と関わらずに生きていきたいと思っていたが…。
アンブロシウス
生まれた時から幸運に恵まれており、幸運の王子と呼ばれている。リューディアに一目惚れして一生懸命言い寄るが…。
「僕には君だけだ。僕が君を幸せにする」
「アンブロシウス様……」
アンブロシウスの気持ちが嬉しくて感極まってしまった。
「だから安心して身を委ねてほしい」
「……はい」
胸がいっぱいで頷くのがやっとのリューディアは、アンブロシウスの広い胸に顔を埋めた。
きっと大丈夫。
この人となら幸せになれる。
だから大丈夫。もう怖くない。
ゆっくりとベッドに押し倒されながら、リューディアは自然と笑みを浮かべていた。
アンブロシウスはちゅっと軽く唇を重ねてから、じゃれるように首筋にキスをする。音を立てて繰り返されるキスがくすぐったい。
リューディアは首を竦め、小さな笑い声を漏らす。すると、アンブロシウスは手のひらで大きく円を描くようにリューディアの腰から腹部にかけて優しく撫で始めた。
首筋へのキスも舌を這わせるものに変わり、リューディアの口から熱い吐息が漏れる。舐めながら時折きつく吸われると、痛みと同時にむずむずとした痺れが背筋を走った。
そうしている間にもアンブロシウスの手は臀部から太もも、膝裏まで移動していた。手のひらでの愛撫だったものが、指先でそっと触れるものになっている。
その指が辿ったところがすべて敏感になっていくような気がする。
今日の夜着は脱がしやすいものをラウラが選んでくれた。下着はつけていないので、紐を解いて開けば全裸だ。
アンブロシウスはもったいぶるように時間をかけてリューディアの体を撫で回し、甘い声が漏れるようになってから夜着の前を開いた。
「綺麗だ、リューディア」
リューディアの裸をうっとりと眺めるアンブロシウスは、まだ肌を晒していない。
「アンブロシウス様も……」
一人だけ生まれたままの姿でいるのが恥ずかしくて、リューディアはアンブロシウスの夜着に手をかけた。すると彼は、色っぽい笑みを浮かべてそれを素早く脱ぎ捨てる。
「これでいいかい?」
思った通り、アンブロシウスには逞しい筋肉が無駄なくついていた。均整のとれた綺麗な裸体である。
この体に身を委ねるのだと思ったら、鼓動がさらに激しくなった。
「……はい」
またしてもリューディアは短く返事をすることしかできない。それでもアンブロシウスは優しく目を細めてキスをしてくれた。
その瞳から『愛しい』という感情が溢れているようで、リューディアはきゅっと胸が苦しくなる。
アンブロシウスの長い指は、今度は素肌の上をするすると撫でていった。首筋から肩に下りたそれは、胸の輪郭を確かめるかのように這う。
直接的な刺激はないのに、撫でられる度に気分が高まっていくのが分かった。アンブロシウスの手からは催淫剤のようなものが出ているに違いない。
「……あっ……!」
長い時間膨らみばかり触られていたせいか、指先が胸の突起を掠っただけでびくっと体が跳ねた。するとアンブロシウスは、突然そこを口に含んだ。
「ぁあ……んん……!」
強い刺激がいきなり襲ってきて、リューディアは僅かに腰を浮かせる。ちろちろと胸の突起を舐められるのは予想以上に刺激が強かった。
ラウラは、気持ちが良い人とそうでもない人がいると教えてくれたが、リューディアは敏感に反応するほうの部類だった。
突起の先を弾くように舐められ、ぴりぴりとした甘い痺れが胸から下腹部へ伝っていく。与えられる快感が、熱となって全部そこに集まっているような気がした。
アンブロシウスは時間をかけ、リューディアの反応を見ながら強弱をつけて丁寧に愛撫してくる。彼が触れるだけで気持ちが良くて、どんどん溜まっていく熱が腹部から全身を巡り、頭が侵されていった。
リューディアは無意識に脚をもじもじと擦り合わせる。
それに気づいたからか、焦らすように動いていた手がリューディアの両脚の間に入り込む。指が秘部にぐりぐりと押し付けられた。
「ちゃんと濡れているね。良かった」
言われて初めて気がついたが、確かに指の滑りが良いようだった。恥ずかしいけれど、アンブロシウスの愛撫に体が反応している証拠なので安堵の気持ちも少しある。
滑りの良くなった指は、秘部を上下に何度か動いた後、なぜかその上部で何かを探るように動き始めた。
じわじわとした快感に眉を寄せ、ぎゅっとシーツを握る。
自分でも触れたことのないそこを他の人の指で探られるのは、なんだか変な気分だった。
「……っ……!」
ある一点をぐりっと押されて、リューディアは声にならない悲鳴を上げた。脳天を突き抜けるような快感が、一瞬にして全身を駆け抜けたのだ。
「……あっあぁ……ん、やぁ……」
強過ぎる快感に身を捩りながら、リューディアは上ずった声を上げた。
胸の刺激だけでも強いと思っていたのに、それ以上の快感を与えられて何も考えられなくなる。小刻みの振動に徐々に腰が浮き、シーツを握る手に痛いほど力がこもった。
こんな快感は知らない。
頭が真っ白になって、アンブロシウスが与える刺激だけに意識が集中した。
胸の突起から口を離したアンブロシウスは、体ごとリューディアの脚の間に入った。そして膝裏を持ち上げて大きく開かせると、秘部に顔を寄せる。
彼の温かな舌が秘部を舐め上げた。
「んん……っ!」
そのまま何度も舌を上下させてから、上部にある花芯を舌先で押し潰した。びくびくっと体が大きく跳ね、リューディアはきつく目を瞑る。
敏感なそこを愛撫されてひっきりなしに零れる嬌声は、自分でも聞いたことがないほど甘いものだった。
気持ちが良いなんて考えることもできないくらい、痛いほどの快感に支配される。
「……っ……あ、ぁ……っ!」
ぐりぐりと舌先で嬲られ、時にきつく吸われて、嬌声が次第に途切れ途切れの悲鳴になっていった。
快感というものに上限はないようだ。頭がおかしくなるような刺激を与え続けられて、無理やり押し上げられる。
「……や、だめ、だめ……っ!!」
何が嫌で何が駄目なのかなんて分からない。それでも本能的にもう駄目だと思った。大きな波に攫われてしまう。
得体の知れない何かが背筋を駆け上ってきたと思ったら、突然、頭の中で弾けた。