氷の王子の眠り姫
- 著者:
- 荷鴣
- イラスト:
- ウエハラ蜂
- 発売日:
- 2018年02月02日
- 定価:
- 726円(10%税込)
君がいないと生きていけない。
ルーツィエが目を覚ますと、美貌の男がそばにいた。記憶を失っていた彼女に、彼――フランツは「君は僕の妻だ」と切なげに微笑む。ルーツィエは、魔女の呪いで2年間眠らされていたらしい。謎めいたフランツに惹かれていくルーツィエ。やがて、彼がこの国の王子で、自分にとって大切な存在であることを思い出す。彼を受け入れ、情熱的で幸せな一夜を過ごすルーツィエだったが、呪いにより、自分がいずれ灰になってしまうことを知り――!?
謎めいた美貌の王子×眠りからさめた令嬢、呪いを破る一途な愛。
ルーツィエ
辺境伯の娘。幼い頃フランツと出会い、彼の騎士になるのを目標にしていたが、魔女に呪われ長い眠りについていた。
フランツ
横柄で厭世的な王子だったが、ルーツィエに恋をしてからは、彼女の前限定で、優しく世話焼きな性格に。
「ルル、目を開けて」
彼の言うとおりに瞼を開ければ、情欲に染まる瞳とかち合った。彼に愛され、求められている気がして、心が沸き立った。
明かり取りから光の帯が降っていて、その光を背負った彼の面差しに、ルーツィエは胸を打ち震わせた。なんて神々しい人なのだろう。
「いまからのことはすべて見ていてほしい。君は、僕の想いを知るべきだ」
彼の薄い唇がぴたりとルーツィエのそれに重なって、割られた唇から肉厚の舌がしのびこむ。歯をひとつひとつ確かめるようになぞられ、上顎も下顎も味わい尽くされる。息がうまく吸えずに苦しいけれど、それは幸せな苦しみだ。自分の舌が彼の舌に弄ばれて、互いの唾液がまじり合う。丁寧で穏やかな接触だったが、どこか激しくさえあった。現に、奥には火が灯されて、いまにも勢いを増しそうだ。彼の顔がわずかに離れれば、ルーツィエは、あえかな吐息を漏らした。
深いくちづけは一度では終わらなかった。次に施されたのは貪るような、飢えた獣じみたキスだった。彼の激情を強く感じてルーツィエの身体を歓喜が貫いた。次第に息が荒くなる。
軽々と抱き上げられて、どこかへ移動させられる。その間も唇は離されることはなく、ルーツィエは与えられる熱に溶かされた。
寝台に横たえられれば、彼は慣れた手つきでルーツィエの肌着の紐を解いていく。すぐに焼きつくような眼差しに貫かれ、肌がぞわりと粟立った。纏っていたものはあっという間に、なくなった。
思わず、小さな胸を隠そうと手で押さえれば、彼にそっと阻まれた。ルーツィエの顔の横に手をついて上から見下ろす彼は、眩しげに目を細めて「綺麗だよ」と囁いた。
「そんな……あまり見ないで……。すごく、小さいの」
「僕はこの胸が世界で一番好きだよ」
とたん、胸がきゅうと締めつけられて、喘いで息を求めれば、彼はルーツィエの気持ちを察したように穏やかに言った。
「優しくする。……努力するから」
心臓が破れるくらいに動悸が激しくなり、緊張しきっていたルーツィエは、彼の「努力」の言葉に力を抜いた。思わず小さく笑ってしまう。
「努力?」
しなくてもいいのに。欠点などない完璧な人なのに。
すると、彼はどこかあどけなく微笑した。
「うん。しなければ君を壊してしまいそうなんだ。いつも自分を抑えつけていたからね。暴れ出したらどうなるか予測できない」
また、唇が降りてきて、ルーツィエは唇で受け止めた。
角度が変わり、互いのやわらかさ、厚みを確かめながら彼の手が肌を優しくすべってゆく。鎖骨から胸の膨らみを辿って腰のくびれを通り抜け、お腹にとどまり、そのまま太ももへ。彼から与えられるぬくもりは、真心が感じられるものだった。「怖くない、怖くない」と未知への不安をほぐされているようだった。
ルーツィエはキスに夢中になりながら、彼の手を受け入れた。両手に脚を割り開かれても、恥ずかしさを?み殺し、それに応えて大きく開く。間に彼の身体が収められると、りんごのように真っ赤になったが、何でもないふりをした。しかしながら、己のはしたない格好と秘部をあらわにしている事実に、全身が羞恥にわなないた。
重なる唇が、絡み合う舌が、擦り合わされて淫らな音を立てている。その合間に聞こえるのは衣擦れだ。
フランツが、マントを放り、腰紐をするりと解いた。見た目はしなやかな体?だけれど、はだけたコットから見える裸身は、しっかりとした筋肉を纏い、記憶にあるものとは違う強さを持っていた。
彼は一気に下衣まで脱ぎ去り、ルーツィエの秘部に下腹を押し当てた。硬く滾ったものの感触に、ルーツィエは目を見開いた。
唇を離してキスを終えたフランツは、彼女の手を取り、その甲に口を押し当てた。
「君の脚の間に触れているもの。これが君の中に入るから」
あまりに想定外なものに唖然としていたルーツィエは彼をただ見返すことしかできない。
「ルル?」
「……どうしよう。すごく……大きいのではないかしら。心の準備が」
「そうでもないよ、見てみる?」
返事をする間もなく誘導されて、たどたどしく目を向ければ、彼の容姿には似つかわしくないものがそそり立っていた。それは太い血管が這う奇妙なもので、しかしながら強い生を、欲望をまざまざと見せつけるような雄々しさがある。
こんなの無理、入らないと思い、こくりと唾をのみこめば、だしぬけに彼に唇を塞がれ、また、深いキスがはじまった。
「ん……う」
彼の鍛えられた?き出しの肌がルーツィエの柔肌に合わさった。腰に手が回されて彼の熱を押し当てられる。恐れを抱いたルーツィエは、浅い息を繰り返した。
「ルル……」
早鐘を打つ小さな胸が、彼の手に包まれた。直後、指で捏ねられ、はじまる愛撫に、ルーツィエはこんなにも敏感な部分があるのだと知った。
「……あ」
ため息まじりに出た声の甘さに、慌てて唇を引き結ぶ。こんなのは自分じゃない。
すると、胸の先をいじくる手とは別に、大丈夫とでも言うように、お腹を撫でられた。
続けていたくちづけを中断したフランツは、ルーツィエの耳元で小さく言った。
「声を出していいんだよ」
「でも……すごく変な声だわ」
「変じゃない。かわいいよ」
耳たぶが食まれて、ルーツィエはまた甘やかな声を出してしまう。満足そうに微笑んだ彼は、耳をくまなく舐めまわし、やがて舌をべろりと這わせて首筋に降り、鎖骨に到達すると、そこに、ちゅっと短く吸いついた。白い肌に赤い所有の花が咲く。
その花を嬉しそうに見つめた彼は、次々と跡を残していった。
彼の唇は、ルーツィエのささやかな胸にある薄い薔薇色の突起に辿り着き、そこにキスをした後、口腔に誘いこむ。舌で先を転がして舐れば、彼女の細い腰がびくんと跳ねた。
「あっ。待っ……」
「待てない」
それは驚きと戸惑いの連続だった。経験したことのない類の刺激に、身体の奥がじくじくと熱を持ち、胸に触れられているにもかかわらず、下腹が疼いた。
「んっ、んっ」
未知の感覚を恐れて逃げを打つ身体を、彼は自身の身体で固定する。快楽に慣れずに震える胸は、やわやわと甘?みされて、もう片方は、挟んで爪にいじられる。
可憐な粒は形を変えて熟れていき、ルーツィエは身体の奥に溜まった熱のやり場がなくて、腰を艶めかしくくねらせた。
「そろそろかな」
名残惜しそうに胸を解放したフランツは、ルーツィエの揺れる腰に手を添えた。
「脚はそのまま開いていて」
はじめての交合にぼんやりしている彼女は、様々な場所にくちづけられても、彼が下にずれても、素直に脚を開いたままで、彼を待つ。そして次の瞬間、鋭く息を吸いこんだ。彼の唇がありえない箇所──秘部にあったからだ。
「嘘っ。あ、……だめ、そこ、あ」
腰を引こうとすれば、ますます彼の腕にかいこまれ、雁字搦めにされてしまう。
「……は、だめっ」
「だめじゃない。それに、はじめてではないから大丈夫だよ。君を清めている時に、ここには触れたことがある。こうして……君のすべてが知りたくて、確認したんだ」
秘部に彼の唇の動きと、息が伝わってくる。
「そこで話さないで……」
信じられない思いで脚の間に目をやれば、下腹部は彼の白金の髪で隠されていた。しきりにまさぐられておののいていると、閉じた襞がぱくりと開かれ、縦に沿って舐めあげられる。ルーツィエは、顎を上向け、嫌、嫌、と首を振った。