孤独な富豪の愛する花嫁
- 著者:
- 奥透湖
- イラスト:
- 芒其之一
- 発売日:
- 2017年09月04日
- 定価:
- 704円(10%税込)
これ以上、俺の心を惑わすな。
およそ150年間、“妻”を迎えることがなかった大富豪エンゲイト家。セルマは、義母に命じられ、その奇妙な家の当主・クリストファーに嫁ぐことになる。“家族”に憧れるセルマは、夫と心を通わせる努力をするが、彼は不愉快そうに眉を顰めるばかりでそっけない。だが一方で、夜は欲望の滲む目でセルマを見つめ、無垢な身体に快楽を覚え込ませていく。繰り返される淫靡な夜に溺れていくセルマ。だが、彼はとある理由から最後まで抱いてくれなくて……。
孤独を選んだ大富豪×家族に憧れる娘、結婚から始まる恋物語!
セルマ
愛人の娘であるために、義母や義姉に虐げられて育った。とある児童書の影響で“家族”に憧れを抱いている。
クリストファー
不老不死の化け物と噂されているが、実際は25歳の青年。約150年続いた決まりを破り、セルマを妻にするが……。
赤い壁に囲まれた部屋の中、淫らな水音が響く。
ベッドの上で限界まで脚を開かされ、最も敏感な部分をざらついた舌で舐められながら、長い指で内側を犯される。
「ふっ……ああっ」
「ここが感じるのか」
声を耐えようとすれば、内腿に強く歯を立てられて喘がされ、脚を閉じようとすれば、強い力でそれを阻まれ、無理やりに開かされた。
セルマの身体はクリストファーの手と唇に蕩けさせられてしまう。足の先から、脛、膝、腿と這い上がってくる愛撫に、愛のない行為と分かっていても、更なる快感を待ち望んで秘所がひくついた。
「俺だけの……」
指を挿し入れられて、大きく仰け反る。ごつごつした指が、セルマの一番感じる部分を探り当てると、そこを強く擦り上げた。
「ああ! あッ……ん」
脚の間から顔を上げたクリストファーからシーツから浮き上げた腰を掴まれる。窓から入る月明かりの中に彼を見て、セルマは息を止めた。
浮く腰が両側から支えられ、肌に唇を当てられ、歯を立てられる。セルマの全身がびくりと揺れた。
「あああああっ!」
「……こんなところも感じるのか」
歯を立てた場所に舌を這わされて、唇で皮膚を食まれる。びくびくと大きく震え、声を堪えられない。
クリストファーは脚の間に手を入れ、腰を舐めながら濡れた襞の中に指を突き入れた。
「あ! あ……! ダメ……!」
「なにが?」
「あああ、お願……い、もう……」
首を反らせて嗄れる声で懇願するが、クリストファーには聞き入れてもらえない。
「駄目だなんて、嘘をつくな」
吐息の声で囁かれ、セルマは中と肌を同時に攻められる。うっすらと汗の浮く肌が、寝衣の乱れで露になっていく。乳房が部屋の空気に晒されると、クリストファーは一瞬手を止めた。
与えられ続けて、受け止め切れない快感に苦しさを覚えていたセルマの身体が、ベッドの上に落ちる。激しい息をする彼女の寝衣の中に、クリストファーは手を入れた。
「クリストファーさま……」
露になった胸の膨らみに、男の手のひらが置かれ、柔らかな丘を崩すように揉みしだかれる。
「んっ……」
肉を強く?まれる痛みに思わず声を漏らすと、クリストファーはすぐに手の力を抜いた。しかし彼の愛撫はやまない。長い指の間に胸の先端を挟まれながら、手のひらで揉み込まれると、セルマの腰の奥がまた熱を持ち始めた。
「は……あ……」
敏感になった先端の刺激に耐え切れず、セルマはクリストファーの手を?む。
「どうした」
「痛むのです……お願いです。強くはしないで……」
息を漏らしながら懇願するセルマを、クリストファーはじっと見た。
「ああ、そうなのか」
そう言うと、彼は更に手の力を緩め、柔らかな膨らみを優しく揉み、頂を口に含んだ。近ごろの彼は、セルマの痛みや苦しみに対して敏感だ。
それは、あの一夜のことを悔いているからかもしれない、とセルマは思った。