新妻監禁
- 著者:
- 山野辺りり
- イラスト:
- 氷堂れん
- 発売日:
- 2017年09月04日
- 定価:
- 682円(10%税込)
ああ……やっと君を取り戻した。
最愛の夫を殺され、窓のない部屋に監禁されたセラフィーナ。彼女は、犯人であるフレッドに繰り返し凌辱され、望まぬ快楽を教え込まれていた。心は拒絶しているのに、身体は従順に応えてしまう。それに耐え切れず、殺してほしいと漏らす彼女だが、その言葉を聞いた途端、フレッドはなぜか激昂し――!?彼を観察するようになったセラフィーナは、激しい欲望に隠された、彼の苦悩と優しさに気づいていく。そして、夫殺害の真実も思い出すのだが……。
夫を殺した男×囚われの新妻、檻の中の狂愛!
セラフィーナ
結婚して間もなく、夫をフレッドに殺される。フレッドに憎しみを抱きつつ、彼の目的がわからず困惑もしている。
フレッド
セラフィーナの夫を殺害した後、彼女を連れ去り監禁する。彼女を凌辱する一方、不可解な気遣いも見せてきて……。
「こんなに赤く熟れて……いやらしいな」
「見ないで……!」
容赦なく開かれた脚の付け根に、焦げる視線を感じた。恥ずかしいなどという言葉では補えない羞恥に焼かれ、頬どころか全身が真っ赤に染まる。セラフィーナが懸命に動かした手足は、虚しく宙を?いた。
「暴れるな。また、縛られたいのか?」
「い、嫌……!」
以前、そうされた時には痛みがあったわけではないが、自由を奪われることへの恐怖を植えつけられた。無防備な状態にされ抱かれるのは避けたい。セラフィーナが怯えを滲ませると、フレッドは?んだままのふくらはぎへキスをしてきた。
「……それもいいな。いっそセラフィーナ専用の首輪や手枷、足枷を作ろうか。君の白い肢体にはきっと映える」
「じょ、冗談はやめて……」
とんでもない提案に首を振れば、フレッドは目線を絡めたままセラフィーナの脚に舌を滑らせた。じりじりと、見せつけるように時折唇で吸い上げながら、上を目指して進んでくる。卑猥な園へ近づくたびに、肌に赤い花が点々と咲いた。まるで道標のように、セラフィーナの繁みへと向かって。
「やぁ……っ、お願い、駄目……!」
「いつもしているじゃないか。嫌いではないくせに」
「ふ、んッ、ぁあ……あっ」
少し腰を持ち上げられたせいで碌な抵抗もできないまま、花弁の奥に隠れる芽を舌で転がされた。すっかり硬くなったそこは、快楽を享受することに貪欲になっている。脚を閉じようとしたセラフィーナの腿を彼の髪が擽り、淡い感覚さえもが愉悦を煽る要因に変わった。
「ひ、ぁ、あ……」
くちゅくちゅと粘度のある水音が奏でられる。身悶えるたびに甘?みされ、全身が汗ばんだ。柔らかな舌全体で淫芽を押し潰されたかと思えば、軽く硬い歯を立てられ、両極端な感触に?き乱される。同時に蜜を垂らす場所へ差し込まれた指が、セラフィーナの内壁をねっとりと撫でた。
「それは、駄目……っ、も、いやぁ……」
もどかしく緩やかな動きに煽られて、意思とは無関係に欲求不満が募ってしまう。浅い場所を往復するばかりでは、散々覚えこまされた刺激にはまるで足りず、もっとと強請るようにセラフィーナの内部は収縮した。
「いい、の間違いだろう? ほら、こんなに僕の指を締めつけてくる。自分でも分かっているはずだよ。素直に気持ちがいいと認めればいいのに」
「違う……! 私は……っ」
否定の言葉は重ねるほどに嘘めいて聞こえた。それは、乱れる息や甘さを含んだ声、尽きることのない水音からも明らかだ。フレッドの言う通り、膨れ上がる一方の淫悦に押し流され、閉じねばならない膝も突っぱねねばならない腕も最早役には立っていない。おざなりの抵抗は、この先を強請っているのも同然だ。
彼の頭を押し退けるはずのセラフィーナの両手は、フレッドの髪の柔らかさを堪能するだけだった。
「んっ、ぁ……ふ、ぁッ」
一際大きな波に呑まれ、背がしなる。跳ね上がった腰は、淫らにも彼の口へ押しつける形になった。
「どろどろだ。憎い男に犯されて善がる気分はどう? 君のことだから、逆に楽しめるのかもしれない」
「……楽しんでなんていないっ! 一生……いいえ、永遠に憎むわ。たとえ身体を穢されても、心は汚れたりしないもの……!」
この上ない侮辱に涙を振り払って叫べば、刹那の沈黙が落ちた。表情をなくしたフレッドが、感情の窺い知れない瞳でこちらを見つめている。何かが抜け落ちた昏い眼差しには、茫洋とした闇だけが広がっていた。
「───それでいい。君は永遠に憎しみに囚われていればいい。忘れるな、セラフィーナの夫を殺したのは、この僕だ。この手で、君の眼の前であの男を殺してやった。怯えた顔を覚えているだろう? 清々したよ。今でもあいつの断末魔の叫びが、心地よく思い出せる」
「人でなし……!」
心底楽しそうにヴィンセントの最期を語るフレッドを、血を流すほどに睨みつけた。もしも憎悪で人が殺せるのならば、きっととっくに彼は死んでいる。
黒々とした汚いものが、セラフィーナの中に沈殿してゆく。いつかそれが器から溢れたら、自分は壊れて躊躇いもせず、自らの手を汚す気がした。
いや、ひょっとしたら今の自分を正常だと信じていることが、既に狂っている証拠なのかもしれない。そうでなければ、復讐も果たせず仇の男に囚われたまま生き恥を晒している理由が分からなかった。
「僕は人の心など、とっくに捨てている。愚かなセラフィーナ。そんな言葉で、傷つけられると思ったのか? 挑発しているつもりなら、浅はかだな」
「や、ぁああ……っ」
「ほら、淫乱な君が欲しくて堪らないものだ。存分に味わうといい」