永遠の蜜夜
- 著者:
- 鳴海澪
- イラスト:
- さんば
- 発売日:
- 2016年11月02日
- 定価:
- 682円(10%税込)
罪に濡れてもおまえが欲しい。
幼い頃から慕っていた、兄のクリストファーロと結ばれたアントニエッタ。「これで本当に僕のものだ……」普段は理性的で優しい彼の獣じみた欲望を肌で感じ、彼女は女としての喜びを知る。一方で、兄を禁忌の関係に引きずり込んでしまったことに罪悪感も覚えていた。だが彼はこの関係に罪はないと言う。――アントニエッタは知らなかった。二人に血の繋がりがないことも、アントニエッタを手に入れるためならどんな罪も厭わない、彼の異常な愛執も……。
アントニエッタ
大貴族の令嬢。両親の愛を知らない。唯一、自分のことを慈しんでくれたクリストファーロを愛している。
クリストファーロ
事故死した本物の嫡男の代わりに屋敷に連れてこられた。貴族を憎んでいたが、アントニエッタだけは愛している。
「何も気にしなくていいんだ……君が気にすることは、本当に何もない」
何故か秘密を打ち明けるようにクリストファーロの声が密やかになる。
「……僕と君は何をしても罪にはならない」
「……お兄さま……ええ……そうね」
クリストファーロはきっと、兄と妹であることを忘れろと言っているのだろう。
アントニエッタは揺れる視界の中でうっとりと微笑んだ。
「……罪でもいいの……私……お兄さまにしてほしい……」
震える息を吐いたクリストファーロはそれ以上何も言わずに、アントニエッタの熱い身体に触れ始めた。
すでにはだけていたキャミソールを肩から落とし、乳房に触れる。
「ん──っ……」
クリストファーロの手のひらを感じただけで、ため息が洩れる。
微かに唇で笑みを作ったクリストファーロが細い両手首を優しく捉えて、アントニエッタをそのまま寝台に横たえた。
「お兄さま……」
初めてのことに本能的に身体を捩ったアントニエッタを自分の身体で押さえたクリストファーロは彼女の両手首をそっと寝台に縫い止める。
「怖がるな、アントニエッタ……僕を信じて任せてくれ」
「怖くなんてないわ……お兄さまだもの……」
身体から力を抜いて瞼を閉じると、濡れた唇が首筋から鎖骨の窪みへおりていく。
薄い肌を滑る熱い唇と舌が華奢な骨を咥えて、ねっとりと舐めた。
「ん──」
バルベリーニ家の侍医に触れられたときに生じた嫌悪とはまるで違うぞくっとした感じが這い上がり、自然と声が洩れた。
彼女の反応に笑ったような震える息が聞こえて、いっそうアントニエッタの身体の熱が上がった。
自分の身体が感じた熱がひどく淫らなのが恥ずかしく、なんとか今の感覚を押しやろうとする。
だがその熱が引く前に、薔薇色の乳首に唇が触れた。
「あ……や──」
強烈な羞恥の裏に気がついてはならないような甘い刺激を感じて、小さな乳首がきゅっと硬くなる。
その尖りをクリストファーロの唇が啄むように咥えた。
「あ……っ」
先ほど感じた甘い刺激が強くなり、下腹部が急に熱くなる。
「駄目……いや……私……どうして……ぁ」
つい少し前まで疎ましかった身体の熱が快感に変わっていくことが怖い。
「あ……ぁ……いや……こんなこと、恥ずかしい……お兄さま……ぁ」
咥えられた乳首から伝わる淫らに湿った疼きで声が掠れてしまう。
薬で?き立てられた熱をなんとかしてほしいと言ったけれど、こんなふうに恥ずかしい思いをしなくては治まらないのだろうか。
もっと感じたいと思う気持ちと激しい羞恥で、アントニエッタはいっそう乱れる。
「かわいい……アントニエッタ……僕に全てを見せてくれ」
クリストファーロの唇の動きを肌に感じるだけで、全身が粟立つ。
「……ぁ……はぁ」
「ずっと待った……長すぎて気が狂いそうだった」
熱いため息を吸い取るようにアントニエッタに触れたクリストファーロが、乳房の上で舌を動かし始める。
ざらつく熱い舌が乳首を執拗に舐めるたびに、下腹の熱の塊が大きくなり、アントニエッタは唇を?んで呻きをこらえる。
「こらえなくていい、声を出せ、アントニエッタ」
「……でも……ぁ……お兄さまに……私……ぁ」
クリストファーロの淫らな勧めに逆らうように首を横に振ったが、乳房が張り詰めて刺激がどんどん身体中に広がってきた。