十年愛
- 著者:
- 御堂志生
- イラスト:
- 駒城ミチヲ
- 発売日:
- 2016年10月05日
- 定価:
- 682円(10%税込)
償ってもらおう、その躰で。
厩番のアーサーと身分違いの恋をして結ばれたグレース。だが彼は突然姿を消してしまう。それでも彼を信じ、10年間愛し続けていた彼女の前に、彼は隣国の王となって現れた。彼への愛が抑えきれないグレースは、貪るようなキスを受け入れ、身を委ねてしまう。しかし情事の後で向けられたのは蔑みの視線。さらには身に覚えのない罪で責められ、償いを強いられる。彼の仕打ちに傷つくグレース。だが彼女には彼に伝えなければならない秘密があって……。
グレース
子爵令嬢。アーサーのことを一途に愛し続けていた。彼に憎まれていることを知るが、愛しさは消えず……。
アーサー
厩番だったはずが、隣国の王としてグレースの前に現れた。グレイスのことをなぜか憎んでいる様子……?
「あっ! やっ、待っ……て、あぁっ」
彼の行為はあまりにも性急に感じて、グレースは腰をくねらせた。
だがその動きは、むしろ逆効果だったようだ。昂りを捻じ込むことに協力しているようで、ズッ……ズズッと蜜道の奥へと進んでくる。
やがて、ふたりの躰がぴったりと重なり、グレースの胸は喜びで満たされた。
初めて結ばれたときのことが次々と浮かんできて、グレースはもう、アーサーのこと以外、何も考えられなくなる。
(ダメ……なのに、でも、やっと会えたアーサーを突き放すなんて……わたしにはできない)
十年前に比べて、痛みは少なかった。
アーサーを信じたくて、迎えに来てくれるのを待ち続けたくて……だが、本音を言えば、ほとんど諦めていた。
グレースのささやかな願いは、家庭教師として働きながら、一生独身でいること。そして、アーサーを愛し続けることだけだった。
それだけでよかったのに……。
流れ者の御者の息子、厩番の親子──そのアーサーが一国の王としてグレースの人生に舞い戻ってくるなんて。
グレースはかすかな痛みに耐えつつ、アーサーの腕を?む。
「相変わらず、いい躰だ。……グレース、そろそろ正体を現せ。おまえの本性を見せてみろ」
ググッと奥まで押し込まれ、アーサーの雄身で蜜窟の天井を突き上げられた。
(彼は、いったい……)
躰の奥を刺激され、深く考える余裕などなくなる。
「あ、くっ……うぅ」
彼の言葉の意味を尋ねたいのに、口を開くと呻き声しか出てこない。
グレースは必死で首を振るが……それすらも、彼を怒らせてしまいそうで怖い。
「おまえの躰は、無垢なままのようだ。グレース……グレース、くっ!」
彼女の名前を重ねて呼んだあと、アーサーは容赦のない抽送を始めた。
蜜襞を抉るようにこすり上げ、音を立てながら躰を打ちつけてくる。彼のためなら、どれほどの苦痛も我慢できる。
アーサーがすべてを求めてくれるなら……。
愛する人の望みを叶えたい。その思いだけで、グレースは唇を?みしめて堪えた。