サボテン王子のお姫さま
- 著者:
- 八巻にのは
- イラスト:
- 弓削リカコ
- 発売日:
- 2016年12月03日
- 定価:
- 682円(10%税込)
変人でもいい、好きですよ。
サボテン愛が行き過ぎて、周囲から変人扱いされているグレイス。だがある日、勤務先の眉目秀麗な若社長から突然のプロポーズ!? なんと彼は、昔、サボテンをプレゼントしてくれた幼なじみのカーティスだった! 紳士的なのにどこか強引。何もかもが完璧な彼に昼夜を問わず甘く執拗に求められ、蕩けていく心と身体。けれど、この結婚は贖罪のため!? カーティスの過去と後悔を知ったグレイスは彼を支える決意をするが、とある事件に巻き込まれ――!?
グレイス
とある事情からサボテンにしか心を開けないまま成長し、今に至る。外見はかわいいのに、中身が残念。
カーティス
グレイスの幼なじみ。ずっとグレイスのことが好きなのだが、なかなか伝わらない様子……。
「これはもしかして、マーガレットさまの差し金ですか?」
そう言ってカーティスがつまみ上げたのは、グレイスが纏っている夜着だ。
じっと見つめる彼の視線に、グレイスは今更のように煽情的な夜着が恥ずかしくなってくる。
「そうなの、おばあさまがくれたの」
「あなたのおばあさまは策士ですね。その姿は、とても素敵だ」
カーティスの囁きに鼓動が大きく跳ね、グレイスの思考が一瞬止まる。
「でもその、私あまり色気がある方じゃないと思うけど。胸も大きくないし」
口から飛び出したのはそんな言葉で、自分で言いながら少し悲しくなる。
グレイスは幼い頃から食が細く、胸や腰の肉付きがあまりよくない。
女らしさがないわけではないが、女性にしては短い髪のせいで、少し前まで少年と間違われることもあったくらいなのだ。
「胸の大きさだけで、女性の魅力は語れませんよ」
「それは、まっすぐなサボテンより、造形に癖のあるサボテンの方が素敵だと思うのと一緒?」
「あなたのたとえは独特すぎます」
「私はむしろサボテンにたとえないと理解できなくて」
「わかりました。それでは、あなたにもわかりやすいように、丁寧に説明して差し上げましょうか」
言うなり、カーティスは夜着の上からグレイスの胸の頂に優しく触れる。
それから唇を優しく舐められると、身体の奥から少しずつ、甘い疼きと熱がこみ上げる。
「……んっ…ッ」
触れられただけなのに胸が痺れて、グレイスの頂は少しずつ硬くなっていく。
「確かに胸の膨らみはほどほどですが、こうして硬く勃つ頂は大変愛らしい」
薄い夜着をずり上げ、今度は直にカーティスの指が触れる。
「大きさは関係ありません。こうして私に応えてくれる胸は、とても魅力的です」
カーティスの右手に直接胸を揉まれると、先ほどよりずっと疼きが高まってしまう。
それを見抜いたように、カーティスの声がどこか嬉しそうに弾んだ。
「感じてくれているんですね」
右手で片方の胸を優しく揉み上げながら、カーティスは胸の頂にそっと舌を這わせた。
「……ふぁっ…あっ……だめ…」
指がもたらすのとはまったく違う、ざらりとした感触が肌の上を滑ると、グレイスの喉が大きく反った。
「だめと言いながら、どんどん硬くなっていますよ」
恥ずかしい台詞を挟みながら、カーティスがグレイスの胸を優しく吸い上げた。
「そこ…やめ…」
そのまま前歯で優しく食まれると、やめてと懇願する声がひときわ大きくなる。
甘い吐息混じりの声と共に、胸の上を撫でるカーティスの前髪を遠ざけようと彼に触れたけれど、いざ髪に指を差し入れてみると、遠ざけたいのか引き寄せたいのかわからなくなってしまう。
胸を舐められることも、そのたびに響く淫らな水音も恥ずかしくてたまらないのに、身体の奥から広がる痺れは気持ちよくて、それを失いたくないと思ってしまうのだ。
「カーティス……だめ……」
言葉では抵抗しながらも、グレイスの腕は抱き寄せるようにカーティスの頭に回されていた。
指で彼の柔らかな髪を撫でていると、カーティスの舌使いはよりいっそう激しくなる。
「んっ…やぁ…ああっ…あっ…」
舌で嬲られ、指でしごかれ、頂だけでなく、胸全体を形が変わるほど揉まれると、戸惑いや拒絶の言葉はやがて消えていく。
「…いいっ…あ……ンッ」
巧みな舌や指によって快楽を引き出されていると、なぜだか触れられてもいない腰まで震えてしまう。
言うことを聞かない身体にわずかな恐怖を覚えていると、カーティスの腕が愉悦に震えるグレイスの腰を強く抱き上げる。
そのまま、グレイスをうつぶせにすると、カーティスはその無防備な腰に舌を這わせ始めた。