押しかけ騎士は我慢しない
- 著者:
- 秋野真珠
- イラスト:
- 国原
- 発売日:
- 2016年08月03日
- 定価:
- 704円(10%税込)
僕を放っておかないでよ。
食堂「黒屋」の四代目主人アデリナは、酔っ払いに絡まれていたところを、貴族の青年ディートハルトに助けられる。アデリナよりも六つ年下の彼は、大人びた見た目とは裏腹に、子どもみたいにあまえたがり。そしてなぜかアデリナを気に入り「黒屋」の用心棒になると言い、勝手に居候を決めてしまう。彼の強引な愛撫と逞しい身体に溺れていくアデリナ。いつしか彼が隣にいることが当たり前になっていた。だがそんな矢先、ディートハルトは姿を消してしまい……!?
アデリナ
食堂「黒屋」の主人。両親亡き後、店を続けていくことに必死で、いつしか行き遅れと呼ばれる年になってしまった。
ディートハルト
子爵家の五男で末っ子。家族に甘やかされて育ったせいか、大人びた外見とは裏腹に子どもみたいな性格。
「アディ、悲しかったら泣いて」
「…………」
アデリナの視線が今度ははっきりとディートハルトをとらえ、何度か瞬きをして涙を止めようとしていた。それにディートハルトは笑った。
「嬉しかったら、笑えばいいんだ。だから悲しいときはちゃんと泣けばいい……あの猫は、可哀想だったね」
「──……っ」
「アディはあの猫のために、泣く権利がある」
アデリナが小さく首を横に振ったのは、まだ彼女自身を責めているからかもしれない。
「まだ泣きたくない? じゃあ、もっと頑張らないとね」
「……えっ」
アデリナが驚いた声を上げたのは久しぶりのような気がした。
はっきり意識が戻ってきたことがわかったが、ディートハルトは彼女の脇の下に手を入れ、その身体を持ち上げて膝の上で回した。後ろから支え、椅子に座らせるようにして、自分の上に座らせる。
「ほら、こうしたら……触りやすくなった」
「あ、あっん!?」
後ろから乳房を掬い上げるように?むと、アデリナは前かがみにして身体を隠そうとする。けれどディートハルトはそれを強く後ろへ引いて許さない。
「駄目。全部触って弄ってあげる。アデリナがたくさん啼けるようにね」
「え、あ、あっあんっや、あ……っ」
片手を秘所に伸ばし、充分潤った中からもっと雫を?き出すように指を送る。
胸を捏ねるように撫でられ、同時に秘所を責められることで、アデリナの身体はまたさらに熱くなり始めた。それと同時に、頭も熱くなっているのか、頬が赤く染まっている。
柔らかな髪を分け、真っ赤な耳たぶを食んで、首筋から鎖骨にかけてを舌で辿り、何度も啄んだ。
「ん、あっや、あ、あぁんっ」
ぐちゅ、とわざと大きな音を立てて秘所を弄ると、アデリナが甲高い声で啼く。その音が耳に心地良かった。頬に透明な滴がまた溢れて、ディートハルトは笑った。
「もっと泣いたらいいんだよ、僕しか見ていないんだし」
「あ、あっあっや、やめ、あ、そこ……っん──っ」
もっとおかしくなればいいと、ディートハルトは執拗に愛撫を繰り返した。未だ一度も達していない自分の性器はすでに破裂しそうに膨れ上がり限界にも感じたが、なかなか快楽に陥落しないアデリナを見ているともっと我慢していたくなる。
挿れてしまえばきっともっと気持ちいいのだろう。それはそれで、アデリナは泣いてくれるはずだ。
でもこれは、強情なアディを解すための大事な──
ディートハルトはそこまで考えて、こういうことを何と言うのだったかと、思いを巡らせる。
「あ、ひぁんっあんっ」
「──まぁ、いいか」
自分の上で乱れるアデリナを見ている今は、それ以上の思考は無駄だった。
難しいことを考えるのはさっさと諦めて、ディートハルトは時間をかけてアデリナを泣かせることに集中した。