激甘ハネムーンは無人島で!?
- 著者:
- 桜井さくや
- イラスト:
- 成瀬山吹
- 発売日:
- 2016年05月02日
- 定価:
- 682円(10%税込)
ほら触って。全部君のものだよ。
ふっくらした体形と愛らしい微笑みで、いつもアンジュを癒やしてくれていた、年下の婚約者ラファエル。けれど彼は突然、ろくに理由も告げず船旅に出かけてしまう。二年後、ようやく戻ってきた彼は、別人のように逞しくなっていた! 二年間にいったい何が!?「港々に愛人がいる」という彼の噂が気になるも、ごまかすように押し倒されて、巧みな愛撫と激しい交わりでうやむやにされてしまう。昼夜を問わず熱烈に求められるたびに、疑心暗鬼になるアンジュだが……。
アンジュ
おっとりした性格の令嬢。婚約者のラファエルとは幼い頃から一緒に育ち、弟のように感じていたが……。
ラファエル
アンジュより四つ年下の婚約者。幼い頃はふっくらした体形だったが、二年の船旅の後、逞しい身体つきに。
「アンジュ、言いたいことがあるならはっきり口にして」
ラファエルは困惑した様子で問いかける。
なぜ彼のほうがそんな顔をするのだと憤り、アンジュはドアノブを?む手に力を込めた。
「……だったら言うわ。今日は違う部屋で過ごさせて」
「どういうこと?」
「今日はあなたと離れて過ごしたいと言ってるの…ッ!」
「……少し…、落ち着いて話をしようか。……ほら、皆も心配してるよ」
「え? ──あ」
その言葉にハッとして、アンジュは周囲に目を向けた。
扉を開けて口論していたから、通りかかった使用人たちに見られてしまっている。
皆、驚いた様子で、そして、とても心配そうにこちらを窺っていた。
「皆に恥ずかしいところを見せてしまったね。ちゃんと仲直りするから心配しないで」
彼はアンジュを抱きしめたまま、その場にいた使用人たちに笑いかける。
人好きのするいつもの明るい笑顔だ。それで皆は単なる夫婦喧嘩だと思ったらしい。ラファエルの言葉にほっとした様子を見せ、それぞれの持ち場に戻っていく。
ラファエルはそれを見届けると扉を閉め、アンジュを抱く腕に力を込めて内鍵をかけた。
「喧嘩はやめよう?」
「あ…っ」
甘い声音で首筋に口づけられ、アンジュは小さく肩を揺らす。
服の上からそっと胸を触られて、彼が何をしようとしているのかに気がつき、その腕の中で身を捩った。
「今はしたくない…っ」
「そんなこと言わないで。母上にも仲良くするように言われたばかりだよ」
「だからって、こういうことをしなくたって」
「俺がわがまま言ったから? 言いすぎたなら謝るから機嫌を直して。アンジュ、お願いだよ。違う部屋で過ごすなんて、そんな悲しいことを言わないで仲直りしよう?」
「んん…っ」
ラファエルはアンジュを抱き上げ、嫌がる唇を自身の唇で塞いでベッドに運ぶ。
舌先で上顎をなぞられて顔を背けようとすると、今度は強引に舌を捕らえられる。
組み敷かれた身体はベッドの上で波打ったが、のしかかられて逃げ場をなくし、その間にさらに激しく唇を求められた。
「アンジュ…ッ」
「ん、んぅ…っ、ま、待って。あぁ…っ」
絡められる彼の舌はいつになく執拗で息苦しい。
空気を求めてなんとか顔を背けると、離れた唇は間髪を容れず首筋に吸いつき、骨ばった大きな手で胸の膨らみを、円を描くように弄られた。
服の上からでも彼の手のひらの熱が伝わってきて、アンジュの口からは微かな喘ぎが漏れてしまう。それを耳にした彼は豊満な胸に頬を寄せ、左手は同じ動きを続けたまま、脇腹の感触を確かめていた右手を徐々に下肢のほうへと滑らせていった。
「あっ、あう…ん」
服越しとはいえ、お尻から太ももに向かって撫でられて、アンジュはビクビクと反応しながら先ほどより甘い喘ぎを口にしていた。
──私、どうしてこんなときまで感じてるの……?
嫌がっていたくせに、服の上から少し触れられただけで溶かされてしまう。
ラファエルの唇が、指先が、熱を持って動くたびに肌をざわめかせてしまう。
なんて淫らな身体になってしまったのだろう。初めてのときから毎日のように何度も身体を繋げているうちに、少し触れられるだけでこうなるようになってしまった。
「アンジュ、好きだよ……」
甘い囁きが頭の芯を刺激して、一層溶かされそうになる。
幼い頃から数え切れないほど言われてきたその言葉が今日は少し胸に痛かったけれど、触れられると切なさが募るのはいつもと同じだった。
「ん、はぁっ、あぁ…っ」
「朝より…、少し強張ってるね」
いつの間にかスカートの中に潜り込んでいた手でドロワーズの紐を解かれ、内股をくすぐりながら脱がされるだけで息が上がったが、それでも今朝起きてすぐに抱かれたときより反応が鈍かったようだ。ラファエルはアンジュの秘部に指を這わせて瞳を曇らせていた。
しかし、そこで止めようという気はないらしい。
彼は眉を寄せて身を起こすと、アンジュの脚を大きく左右に開かせ、何の迷いもなく身体の中心に顔を埋める。そのまま陰核にちゅっと口づけ、舌先を使ってぴちゃぴちゃと淫らな音を立てて秘部を舐め始めたのだった。
「ひあぁ…ッ!」
アンジュは背を反らし、甲高い嬌声を上げる。
同時に彼の指が膣口を軽く突き、さらなる刺激に身を捩らせた。
「いや、それはいやなのっ、ソコは舐めないでっ」
「どうして? ほら、気持ちいいことしかしないよ?」
「あっあっ、でも、だめなの…ッ」
「アンジュのナカ、こんなに熱くなってるのに?」
「あぁう…ッ」
アンジュはポロポロと涙を零して首を横に振る。
これまでも口や舌を使ってこの場所を愛撫されたことはあったが、なんとか羞恥を押し込めて受け入れてきた。
けれど、今日は嫌だ。こんなところに顔を寄せられると、羞恥に堪えているうちに、快感に流されていつも途中から何もわからなくなってしまう。
そんなふうになりたくない。今日はこれ以上、流されたくない。
なのに敏感な芽をいたぶられ、その周りも丹念に舐められて、ぴちゃぴちゃと音が聞こえるだけでお腹の奥が切なくなってくる。いつの間にか入れられた指が内壁を擦り、中でバラバラに動くのが堪らなかった。