僕だけのシュガードール
- 著者:
- 沢城利穂
- イラスト:
- ウエハラ蜂
- 発売日:
- 2016年05月02日
- 定価:
- 660円(10%税込)
本物はこんなに熱くて柔らかいんだね。
人形のように愛らしいと評判のクリスティーナの初恋は、芸術にしか興味のない変わり者のギルバート。伯爵家の次男である彼は正体を隠し、謎の人形師として人気を博していた。しかしある日、彼女はギルバートの弟と婚約するよう父から命じられてしまう。家のために初恋を忘れようとするが、ギルバートは会うたびにキスをして口説いてきて……。彼の情熱的なアプローチに翻弄されて、身も心も蕩けるような熱い一夜を過ごしてしまうクリスティーナだが……。
クリスティーナ
父親に溺愛され、めったに屋敷の外に出たことがない深窓の令嬢。幼い頃にギルバートと出会い、恋心を抱くが……。
ギルバート
伯爵家の次男。家の事業を手伝わず芸術活動にあけくれる変わり者。謎の人形師として人気を博している。
「逃げないで。愛しているんだ……このまま僕のものになって」
「で、ですが……ギルバート様と結婚するかまだ父から許しをもらっていないのに、そういう関係になる訳には……」
「先ほど僕を愛していると、その口が言ったばかりじゃないか」
「ですが……」
もっともらしい言い訳をしてみたが、ギルバートに言質を取られて靴を脱がされてしまい、ますます心許ない気分に陥った。
「さぁ、もう靴はないのだから、諦めて僕のものに……なるんだ」
「あぁっ……!」
ドレスのホックを手際良く外されて、肩にかかるドレスを一気に引き下ろされる。
その途端に双つの乳房がまろび出てしまい、クリスティーナは羞恥に全身を染め上げた。
おずおずと見上げてみれば、ギルバートはため息ともつかない息をつき、微かに揺れる乳房を凝視めていて、クリスティーナはあまりのことに目をギュッと閉じる。
「想像していたとおりの白さだけれど、想像よりも大きいね。それに可愛らしい乳首は人形たちよりもっと淡いベビーピンクだったんだ……」
「……ぁ…」
外気に触れたせいでぷっくりと膨らむ小さな乳首を指先でつつかれて、そのまま乳房も覆われた瞬間、思わず声をあげてしまい、クリスティーナは口唇を引き結んだ。
その間にドレスを完全に引き下ろされて、下着一枚という格好で、身体の隅々まで人形との違いを検分された。
顔を覆って震えていても、ギルバートはまだ人形との違いを見つけるように、両手で身体のラインをじっくりと撫でていく。
「何度作っても納得がいかない訳だ。本物はこんなに温かくて柔らかくて……ずっと触っていたいほどなめらかな手触りなんだ」
「も、もうあまり見ないで……恥ずかしいです……」
「恥ずかしがることはない。一緒に天国の扉を叩こう……」
「ぁ……」
衣擦れの音がするのに気づいて恐る恐る見上げてみれば、覆い被さっていたギルバートも服を脱ぎ捨てていた。
まるで彫刻のように厚い胸板と、引き締まった腹筋を見ただけで胸がドキドキと高鳴る。
そしてトラウザーズを寛げた瞬間に、生まれて初めて反り返る男性を目の当たりにして、クリスティーナは慄きながら寝返りを打ち、身を固くした。
しかしギルバートは再び覆い被さり、びくっと反応するクリスティーナの肩にチュッとキスをして、身体を重ねてくる。
まるでふたつのスプーンが重なるように身体を密着され、肩から首筋、そして耳朶へとキスを繰り返される。
その間、心臓がとび出しそうなほどドキドキして、身体を通してギルバートに伝わっているのではないかと心配になった。
「愛している、クリスティーナ……」
「ぁ、ギルバート様……」
本当にこのまま、ギルバートに純潔を捧げることになるのだろうか?
愛しているからといって、結婚前に身体を捧げてもいいものなのか──。
そこでふと『親の都合で結婚させられるのだもの。純潔くらい好きな人に捧げてもいいと思わない?』という友人の言葉が頭を掠めたが、悩んでいる暇はなかった。
「愛している、僕のクリスティーナ……」
「あっ……」
ギルバートが触れた口唇や身体が、甘く痺れるように疼くのはどういう仕組みなのか。
不思議に思っている間にも、彼の大きな手が身体をじっくりと撫でてくる。
そして肩から耳朶までに仕掛けられる柔らかなキスにも慣れてきた頃になって、ギルバートが愛を囁きながら再び乳房に触れてきた。
しかも今度は乳房の柔らかさを確かめるように、優しく円を描いて揉みしだき、指の間に挟んだ小さな乳首も、同時に刺激してくる。
「んっ……っ……」
ギルバートの指が優しく動く度に、乳首からなんだか甘く淫らな感覚が湧き上がってきて、クリスティーナは戸惑いに瞳を泳がせ、彼の腕から逃れようとした。
しかし乳房を揉みしだかれ、乳首を上下に速く擦られると、抵抗しようとする力がなぜだか抜けてしまう。
「んっ……や、ぁ……」
「いや、じゃないだろう。こんなに可愛らしく膨らませて……僕の愛撫を悦んでいる」
「やっ……っ……」
違うと首を横に振り立ててもギルバートは許してくれず、乳首をきゅうぅっと摘まみ上げてくる。
「あっ……」
軽い痛みがあったもののそれ以上に心地好く感じてしまい、身体が自然と仰け反る。
そんなクリスティーナの痴態を凝視めながらギルバートはふと笑い、胸に顔を寄せていき、乳首を口の中へちゅるっと吸い込んだ。