繋がれた欲望
- 著者:
- 真山きよは
- イラスト:
- 蔀シャロン
- 発売日:
- 2016年03月03日
- 定価:
- 660円(10%税込)
私はきみを穢したくない。
没落貴族の娘ノエルは、婚約者ルシアンの援助で修道女学院に入り、慎ましい生活を送っていた。「結婚までは清い関係で」と誓う、理性的で優しい彼の愛を感じ、幸せにつつまれる日々。だがある日、まるで別人のように欲望をあらわにした彼に激しく抱かれて純潔を失ってしまう。以来、彼による淫らな行為はエスカレートしていき、身も心も蕩かされていくのだが……。ルシアンにはノエルの知らない驚くべき秘密があって――!?
ノエル
没落貴族の娘。幼いころから大好きだったルシアンと結婚できる日を心待ちにしている。
ルシアン
ノエルの婚約者。ノエルの家が没落した後も、婚約関係を解消せず彼女を助けつづけていた。
「いけません……わ」
ドキドキと鼓動をはやめる身体をきつく戒めるように、ノエルはかすれ声でつぶやくと首をふる。
「だって、約束……結婚式をあげるまでは、清いままでと……」
「ああ、そのつもりだった。だが気が変わったのさ。きみが嬉しそうに懐いていた、あのいとこどののせいでね」
「ギルバートお兄さまの? いったいどういう──あ、あぁっ!」
タイとシャツのボタンを外し、すべてを脱ぎさったルシアンがのしかかってくる。
浮きあがった鎖骨や、彫刻のように引き締まったしなやかな筋肉。神々しいほどに美しい体?が、乙女のやわらかな肌に重なっていく。
「あれは油断ならない男だ。人を値踏みするような目でずっと観察していた。私がきみをすこしでも不幸にすれば絶対に許さない、とでもいうように」
「そ、それはきっとあなたが社交界で人気なのをご存じだから……でもすぐに誤解だとわかってくださるわ……あ…、あぁっ」
ころりとした乳首を吸いあげられ、舌先で激しくなぶられて、ノエルは身悶えた。
「まだわからないのか? 好きなのさ……まちがいなく、彼はきみのことが好きなんだ。おそらくずっと前からだ。再会したのをいいことに、私が伴侶にふさわしくないと判断すれば、すぐにでもきみを奪うつもりでいる」
「あ……まさか、そんなことありませんわ。んんっ……お兄さまはずっと、年上ですし……私、おふたりが仲良くなってくれれば嬉しいと、あ……そう思って……っ」
「無理だな。婚約者に横恋慕している男など、式に招待してやったのがせめてもの情けだというのに。きみの花嫁姿を見せてつけてやれば、諦めもつくだろうと思ったまでだ」
緑の瞳が、ひときわ燃えたつような暗い輝きをおびた──嫉妬というにはあまりにも苛烈な雄の情念に、ノエルはただ圧倒される。
「誰にもやらない。絶対にだ。だから、きみをいまここで私だけの花嫁にする」
押し重ねられたルシアンの腰に、ノエルの白い脚が彼を挟むようなかたちでひらかれていく。
「あ、あ……おねがい、考えなおして……っ」
「ほんの数か月時期がはやまるだけのことを、なぜ怖れる? 本当はきみも味わいたくてたまらないんだろう、これを」
濡れて息づく花園に、ずっしり硬い雄肉が当たっている。あの蛇の鎌首のような先端で、ぬちゅ、ぬちゅ、と蜜口を焦らすようにつつかれて、全身が燃えるように熱くなった。
「んんっ……ちがう……、こんなの…いけな……」
「張り型で慣らしたあとだ、ちょうどいい。私の願いをなんでもきくと、さっき誓ったはずだろう」
「それ、は……あ、あっ……」
あやすように腰を揺すられながら乳房をやわやわとくすぐられ、ぬるりと首筋を舐められる。
そのとき、ふと彼の左腕に残る白っぽい傷痕に気がついたノエルは──幼い日、森で守られたことを思い出して、ひどくせつなくなった。
そう、愛している。心の底から彼だけを。優しくて勇敢な、ノエルだけの騎士を。
「……ルシアン……わたし……っ」
きつく抱きしめられ、生身の熱い肌と肌とが触れあうあまりの心地よさに、ああ……、と溜め息がこぼれる。
「ほら、きみのいやらしい蜜で私ももうぬるぬるだ……」
ノエルのあふれさせた愛液にまみれてぬらつく肉棒が、ぐちゅぐちゅと花びらにそって大きく前後にスライドする。ルシアンの喉からも心地よさそうなうめきがもれた。
そしてノエルもまた、ぷっくり勃起した紅玉をぬらり、ぬらりと執拗に擦られ、たまらなく甘い痺れに酔わされていく。
「あっ…! ん、いやぁ……ルシアン、そんなにしたら……っ」
「もう待てない。愛しているんだ」
懊悩しているかのような真摯な声音に驚き、ノエルはルシアンを見つめる。
と、息もつけないほど激しく唇を奪われ、思わずすべてを忘れて彼にしがみついた瞬間──潤みきった蜜壺に熱い楔が侵入してきた。