旦那様は溺愛依存症
- 著者:
- 水月青
- イラスト:
- shimura
- 発売日:
- 2015年08月03日
- 定価:
- 682円(10%税込)
もっとあなたに与えたいのです。
子爵令嬢のティアは、美貌の侯爵リクハルトにとつぜん求婚される。初対面でいきなりキスされて思わず引っぱたいたら、なぜか猛烈に好かれてしまったのだ。彼の策にはまり結婚することになったティアだが、毎夜情熱的に求められ、しだいにほだされていく。けれど、彼からの贈り物が日に日に高額になっていくのが気になって……。なぜかリクハルトは贈り物をすることでしか、ティアを繋ぎとめていられないと思っているようで!?
ティア
父の期待に応えるために淑女を装っているが、実はおてんばな子爵令嬢。リクハルトの気持ちに戸惑いぎみ。
リクハルト
若き侯爵。感情をまっすぐにぶつけてくれるティアを気に入り求婚するが……。
「気持ち良いですか?」
真顔で問われても、「はい」とは言いづらい。それに、初めてのこの感覚が本当に『気持ち良い』のかどうか、ティアには判断できなかった。
返事に困って目を逸らすと、視界の端にリクハルトの口が弧を描くのが見えた。
「良かった。ちゃんと感じているみたいですね」
何を見てそう思ったのか、彼はなんだか嬉しそうだ。
彼の顔を見ると、いつになく優しい表情をしている。
ティアはハッと気づく。今お願いしたら、腕の拘束を解いてくれるかもしれない。
「リクハルト、腕を自由に……」
「駄目です」
最後まで言わせてもらえなかった。
「どうして外してくれないの?」
「困っているティアが可愛いからです」
「…………悪趣味」
まさかそんな理由で縛られているとは思わなかった。
叩かれて喜ぶくせに、いじめるのも好きな性癖とは。
いじめられて喜ぶほうなのか、いじめて喜ぶほうなのか、はっきりしてほしい。ティアが訝しげな目で彼を見ると、リクハルトは目を細めて嬉しそうに「そうです」と頷いた。
「僕は悪趣味なんですよ。以前ティアに叩かれた時も興奮しましたけど、涙目で謝ってくる顔にもひどく興奮しました。でも、今のほうがもっと興奮しています」
それはあまり知りたくなかった情報だ。
自分の性癖を告白する彼の顔は嬉々として見えるのに、瞳は捕食者のように鈍く光っているように見えた。
この先、リクハルトの前では泣かないようにしよう。そう心に決める。
「そんな顔しなくても、無理に泣かせたりはしませんよ」
くすりと笑われ、自分はそんなに不安な顔をしていたのだろうかと気になった。
リクハルトはティアの額に唇を押しつけてから、真正面から視線を合わせ、にっこりと満面の笑みを浮かべた。
「ティアはもう僕の妻ですしね。大事にします」
「大事にするなら、腕……」
「外しません」
また即座に断られると、彼は手で包み込んだままだったティアの胸に顔を寄せてきた。そして赤い舌で胸の突起をぺろりと舐める。
湿った舌が突起に絡まり、彼の口の中に吸い込まれた。さらに彼の口腔でぬるぬると舐められ、押し潰すように圧迫される。
「ん、あぁ……っ……ふ…ぅん……」
手で弄られた時より強い刺激が背筋を駆け抜けた。その感覚についていけず、ティアは思わず足をばたつかせる。
すると、リクハルトはティアの両脚を割ると、その間に体を滑り込ませた。下腹部にのっかる彼の重さで、体が固定されてしまう。
リクハルトはわざとちゅっちゅっと音を立てて突起を吸った。そうしながら、反対の胸の突起を指の腹で撫でる。
「や……だ……、やだ……ん……リクハルト……!」
両方の胸に与えられる刺激が、思考を奪っていく。
そのうち、突起を弄っていた手が脇腹へと動いた。先ほどはくすぐったいだけだったその指の動きが、今はぞわぞわとした快感を生み出している。
耐えられず体を捻った。けれどリクハルトの重さのせいで背中がほんの少し浮いただけだった。