氷の略奪者
- 著者:
- 沢城利穂
- イラスト:
- ウエハラ蜂
- 発売日:
- 2015年03月03日
- 定価:
- 660円(10%税込)
兄さんには渡さない。
親の決めた婚約者からたびたび凌辱されていた子爵令嬢ヴィクトリア。公爵である彼から実家へ資金援助を受けているヴィクトリアは、誰にも相談できないまま、彼の淫らな命令に従い、何年も尽くしてきた。「彼は愛し方を知らないだけ」そう自分に言い聞かせて耐えるが、ある日、彼の弟マティアスから「洗脳を解いてあげる」と突然キスをされ、心が揺らぐ。優しいマティアスの強引な愛情に癒やされていくヴィクトリアだったが……。
ヴィクトリア
子爵令嬢。婚約者であるリキャルドの良き妻となるためだけに育てられ、他の生き方を知らない。
マティアス
リキャルドの母違いの弟。ある日突然、ヴィクトリアにキスをしてきて……。
「嬉しいよ、もうこんなに感じてくれていたんだね」
「いや……」
「なにも恥ずかしがることはない」
「あっ……」
指を折り曲げた瞬間にくちゅっと粘ついた音がたち、ヴィクトリアは羞恥に頬を染めた。
胸を優しく愛撫されただけでシーツに染みを作るほど濡れていたなんて、淫らな女だと軽蔑されたかもしれない。
そう思ったら不安になっておずおずとマティアスを見上げると、ふと微笑み返された。
「俺の愛撫でこんなに感じてくれてすごく嬉しい」
リキャルドならこういう時にもっと酷い言葉で追い詰めてくるのに、嬉しいと言われて胸の奥が熱くなった。
「あっ、あまり言わないで……」
「本当にいやなら言わないけど、少し恥ずかしいことを言われたほうが感じるだろ。ほら、このくちゅくちゅ音がしてるのはなに?」
「いやぁ……」
指摘されたとおり少し恥ずかしいことを言われるとより感じてしまい、蜜口がきゅん、と甘く疼いた。
するとマティアスはクスッと笑い、溢れ出す愛蜜を掬い取り、陰唇を掻き分けるように撫で上げ、その先にある秘玉をくりっと擦り上げた。
「あぁ……!」
ぬめった指先で包皮に包まれている秘玉をころころと転がされているうちに、どんどん気持ちよくなってきて、ヴィクトリアは腰を突き上げるように跳ねさせた。
それでもマティアスが熱心に弄るせいで、秘玉が昂奮にぷっくりと顔を出すと、さらに熱心に擦り上げられる。
「気持ちいいんだね、ヴィクトリア……ここを弄られるのが好き?」
「やぁ……あ、あっ、あぁ……」
「ほら、どこが気持ちいいのか教えてよ」
「いやぁ……あぁ、訊いちゃいや……」
秘玉を弄りながら少し淫らな質問をされるだけで、蜜口がきゅんきゅんと甘く疼く。
それを知っていながらマティアスは秘玉をくりくりと弄っては、蜜口もじっくりと撫でてきて、ヴィクトリアから快感をもっと引き出そうとする。
「あぁん、マティアス……私もう……」
かつてこれほど丁寧に愛された記憶がないヴィクトリアは、どうしていいのかわからずに首を横に振りたてた。
特に秘玉をこんなに優しく、そして少し意地悪く弄られるのも初めてのことで、限界を訴えるようにつま先がくぅっと丸まる。
身体も徐々に強ばってきてシーツを掴んで堪えていたのだが、蜜口の中に指を挿入されてくちゅくちゅと抜き挿ししながら秘玉を弄られると、もう我慢が利かなくなってきた。
「あぁ、マティアス……本当にもう……!」
「我慢しないで達っていいんだよ」
そう言いながらさらに烈しく抜き挿しをされて、ヴィクトリアは戸惑いながらも身体を強ばらせた。
そして秘玉をくりっと擦り上げられた瞬間、我慢できずに達してしまって──。
「あぁぁあん……っ……あっ……っ……!」
あまりに強い絶頂に息すら止まり、快美な刺激に浸った。
そして息を吹き返した途端に胸が上下するほどの呼吸を繰り返していたのだが、ひくん、ひくん、とマティアスの指を締めつける度に小さな絶頂が訪れて、ヴィクトリアは身体を強ばらせて快感が退いていくのを待った。
(これが本当の絶頂なの……?)
思わずそう心の中で呟いてしまうほど、感じたことのない深い絶頂だった。
四肢まで痺れるほど感じたのも初めてのことで、しばらくは夢見心地でいたのだが、身体が落ち着いてきたのを見計らったマティアスが、また指を抜き挿しし始めた。