黒紳士の誘惑
- 著者:
- 山田椿
- イラスト:
- KRN
- 発売日:
- 2014年12月26日
- 定価:
- 682円(10%税込)
欲しいんだろう? 本当は。
伯爵令嬢リリィローズは、ある日、音信不通の父が多額の借金をしていたことを知る。そこへ隣国の資本家ノーランが現れ、救いの手を差し伸べてきた。その柔らかな物腰に気を許して彼を頼るが、態度が急変。いじわるな命令をされ、淫らな服を着るよう要求されて…。渋々従うリリィローズだが、めげない彼女を愉快そうに眺めるノーランとの距離は次第に縮まっていき…。そして、ひょんなことから彼と情熱的な一夜を過ごすことに!?
リリィローズ
伯爵令嬢。音信不通の父が多額の借金をしていると知り、家を守るためノーランを頼るが……。
ノーラン
隣国の資本家。リリィローズに「力になる」と言い出すが、そこにはある狙いが……!
「た、助け……」
「病気の男を呼んだところでなんの役にも立たないぞ」
醒めた声が小馬鹿にしたように告げるが、意識が混濁してきたリリィローズにはただの雑音にしか聞こえない。
瞳を開けていても目の前の顔すら判別できなかった。
「俺は誰だ、リリィローズ」
片手に頬を挟まれて、彷徨っていた目線を男のほうへ固定される。
「ちゃんと顔を見ろ。俺は誰だ?」
「あ……ノー、ラン……」
ぼやけた像をなんとか結んで、混濁する意識のなかリリィローズが答える。
「そうだ。俺の指をこんなにいやらしく食い締めて。もっと奥まで突いて欲しいんだろ?」
「そ、な……い、や……」
「こんなときにまで虚勢を張るな。俺に頼めばいますぐ楽にしてやるぞ。体の疼きから解放されたくないのか?」
男は腰を屈めると、リリィローズの耳もとにそっと唇を寄せた。
「俺を欲しいと言ってみろ。俺なら君を助けられる」
本当だろうか。彼に頼めば、身の内を苛む熱から救ってくれるのだろうか。
リリィローズの答えを引き出そうと、ふいにノーランの指が激しく動き出す。
「っ、……ぁ……あ……」
抽挿が激しくなればなるほど、奥の方が余計にせつなくなってくる。
いまや膣孔は蜜で溢れ、その蜜が頭の芯まで侵食し、理性や羞恥までぐずぐずに蕩かし始めていた。
「どうするリリィローズ? このまま続けるか、それとも途中で放り出されたいか?」
ふたたび指が抜かれると、全身から汗が噴き出し、体の内側でなにかが這いまわるような掻痒感に襲われた。
「あぁあ……」
「俺の名を呼べ、リリィローズ。そうすればすぐ楽になれる」
甘美な誘惑がかろうじて残っていた理性を奪う。
理性を失った肉体は、なにかを求めるように肉襞の収縮だけを強めていた。
「……た……っ、……て……」
言葉になりきれない吐息が唇から漏れる。
「よく聞こえないな、リリィローズ」
男は冷淡に嗤うと、指を奔放に動かし始めた。
「あっ、あ……あぁ……」
卑猥な淫水はくちゅくちゅと泡立って、そこから溢れる蜜液が臀部にまで零れる。
それでもまだ、求める場所にはほど遠い。
「ひ、ぁあ……ノーラン、助け……は、や……く!」
たまらず叫ぶと、男がうっとり微笑んだ。
「良い子だ、いますぐ楽にしてあげるよ」
熟れきった秘裂に昂ぶる熱が押しつけられた。
熱く滾った肉棒はひくつく蜜口をかきわけるようにして強引に根元まで埋め込まれる。
「ひっ、ぁああ……っ」
引き裂かれるような鈍痛と続いて訪れた圧迫感に、リリィローズは思わず目の前の体に取り縋った。碧い瞳はいまにも壊れてしまいそうに儚げに揺れる。
「助けてノーラン……すごく……苦しいの……」
「ああ、大丈夫だ。いま楽にしてやるから」
なだめるように囁いて、ノーランはしがみつくリリィローズの体をそっと押し倒した。
「可愛いな。まるで恋してるみたいじゃないか。いつもそうやって俺に甘えてくるといいのに」