服従のくちづけ
- 著者:
- 伊郷ルウ
- イラスト:
- みずきたつ
- 発売日:
- 2014年10月03日
- 定価:
- 660円(10%税込)
ご褒美に、快楽をあげよう。
事故により両親と兄を亡くした伯爵令嬢ルーシアは、叔父に家を追い出され途方にくれていたところを、青年子爵アイザックに助けられる。彼と出会ったのは2年前の王宮舞踏会。優しく紳士的なアイザックに初めての恋をした。だが今、彼はかつてと異なる冷たい瞳で「服従を誓え」と要求してきて――? 恋心を忘れられないまま、昼夜を問わず執拗に身体を弄ばれ、胸が張り裂けそうになるルーシア。でも、彼のその行動にはとある理由があって……?
ルーシア
元伯爵令嬢。両親と兄を亡くし、初恋の人アイザックのもとへ行くことになるが…。
アイザック
誠実で真面目な若き子爵。ルーシアに対して服従を要求するが、その裏には秘められた思いがあって…?
「君に悦びを教えてあげるだけだから、そんな顔をしないで」
顔を寄せてきたアイザックに驚くほど優しい声で囁かれ、ルーシアは激しく戸惑う。
甘い響きを持つ優しい声音は、舞踏会で胸をときめかせたときと同じだ。それなのに、アイザック自身はまったくの別人になってしまっている。
(目を瞑っていれば……)
アイザックの声だけを聞いていれば、恐怖から逃れられそうな気がしたルーシアは、硬く目を閉じて彼から手を離した。
少しのあいだ我慢すればいいだけだ。そうすれば、妹はこれからも療養所で過ごすことができる。とにかく療養所の費用を工面してもらうことが先決なのだ。
「観念したのかい? いい子だね」
満足そうな甘声に耳をくすぐられ、目を閉じたままこそばゆさに肩を窄める。
「あっ」
ドロワーズの上から柔らかな茂みを撫でられ、下腹がヒクリと動く。
薄い布越しに掌の温もりが伝わってくる。下腹全体に温かさが広がっていくのは、とても不思議な感覚だった。
「んっ……」
茂みの上を彷徨っていた手が太腿のあいだに滑り落ち、ドロワーズの合わせ目を掻き分けてくる。
自分でも触れたことがない場所をまさぐられ、ルーシアは唇を噛みしめた。
「震えているね。怖いのかな?」
頬に軽くくちづけてきたアイザックに片腕で抱き寄せられ、乱れた金の髪をそっと撫でられる。
優しい扱いに恐怖が薄れていく。目を閉じて胸に抱かれていると、安堵感を覚えた。
彼の態度がこのまま変わらなければ、最後まで堪え忍ぶことができるかもしれない。そんな気持ちにすらなってきた。
「っ……」
ドロワーズに隠されていた秘めた場所を、ついに彼の指先に捕らえられる。
反射的に両の太腿をきつく締めつけたけれど、さしたる抵抗にもならなかった。
指先は重なり合った花唇をかすめ、柔らかな茂みへと向かい、花芽のような小さい突起の上でピタリと止まった。
「んふっ」
触れられたとたんに広がったのは、かつて味わったことのない甘酸っぱい痺れだ。
それは、けっして嫌な感覚ではなく、自然と脱力してしまうような心地よさがあった。
これが快感というものなのだろうか。指先が触れただけで気持ちよく感じてしまったのが信じられず、わけのわからない羞恥に囚われる。
「無垢なだけあって、ここが感じやすいようだね」
場所を知らしめるかのように指先で花芽を叩かれ、またしても蕩けるような痺れが駆け抜けていく。
「ああぁ……」
思わずもれた声は、自分でも驚くほど甘ったるく、恥ずかしくて耳を塞ぎたくなった。
アイザックにはいやらしい声を聞かれたくないし、乱れた姿を見られたくない。それでも、彼の腕から逃れることはできないのだから、感じてしまわないよう意識を他に向けるしかなさそうだった。
「いい声だ」
楽しそうに言って耳たぶを噛みしてきた彼が、花芽の上で指先をツッと滑らせる。
なにかを捲り上げるような指の動きに眉根を寄せた瞬間、痛みにも似た強烈な痺れが花芽で弾け、ルーシアは大きく腰を跳ね上げた。
「やっ……あああぁ……」
痛みを覚えた気がしたのに、全身が甘く痺れ、花芽が熱っぽく疼いている。
「うっとりした顔をして、そんなに気持ちがいいのかい?」
アイザックの言葉に羞恥を煽られ、甘声がもれる唇をきつく噛む。
けれど、それもほんの一時しか続かない。彼が剥き出しにした花芽を指先で撫で回し始めたのだ。
「ああぁ……ああ……」