愛の種
- 著者:
- chi-co
- イラスト:
- みずきたつ
- 発売日:
- 2014年02月03日
- 定価:
- 660円(10%税込)
ようやく、あなたが手に入る。
他国から神聖視される飛鳥族の姫として大事に育てられてきた沙良は、病気の弟の治療を条件に大国ガーディアルの王であるシルフィードと結婚する。年上の優しい彼を兄のように慕う沙良だったが、国での彼は、冷血な王として臣下や民たちから恐れられていた。そのうえ沙良の血筋を利用しようとしていると聞かされて…。沙良の不安を打ち消すように、愛の言葉を囁くシルフィード。彼の愛撫に蕩かされていく沙良だったが――。
沙良(さら)
飛鳥族の第二姫。幼い頃から交流のあるシルフィードと結婚することになるが…。
シルフィード
大国ガーディアルの若き新王。沙良に対しては優しいが、実は…。
「フィー、兄さまっ」
「……夫となったのですから、兄さまではなく、フィーと呼んでもらいたいのですが」
こんな状態の時にそう言われても、すぐに頷くのは至難の業だ。
「でも、あなたがそう呼んでくれるのは嬉しいので、徐々に慣れたらお願いしますね」
「に、兄さま、私っ」
「痛くないですから、私に任せてください」
そう言いながらシルフィードは寝台のどこかに手を伸ばし、いつの間にか小さな小瓶のようなものを手にしていた。
(それ……)
沙良が視線を向けているのがわかったのか、シルフィードは蓋を開け、とろりと粘ついた液を手のひらで受け止めながら説明をしてくれる。
「これは、あなたの中を柔らかくする香油です。本当は私の舌と指で慣らしたいのですが、初めての今夜はあまり痛みを感じさせたくはないので」
(慣らす?)
それが頭の中で行為と共に結びついたのは、冷やりとしたものが股の間にたらされ、そのもっと奥の性器に指先が触れた時だった。
「あ……あぁっ」
排泄の時以外、自分でも直接触れたことのないそこは、しっかりと閉ざされていて容易にシルフィードの指を受け入れない。それでも、シルフィードは香油の滑りを利用して何度も何度も表面を撫で擦り続ける。
最初の衝撃が過ぎた沙良は、身体の中に他人の指を受け入れるなんてとても考えられなくて、それでも、その相手が夫のシルフィードと思うとあからさまに拒否もできず、結局どうしても身体に力が入ってしまった。
「沙良姫」
懇願するように名前を呼ばれ、くちづけられる。
「ん……ふぅっ」
くちづけには慣れてきたが、下肢に感じる違和感はどうすることもできない。
すると、シルフィードはさらに香油を付け足し、今度は先ほどまでよりも強引に指を動かし始めた。
その感触に少し慣れてきたかと思った次の瞬間、不意に割れ目の中に指先が入り込んだ。
「い……っ」
「沙良姫、力を抜いてください」
(い、入れ、ないで……っ)
グニッと、身体の中心部分に指が侵入してくる。それがとてつもなく大きく感じてしまい、沙良はとうとう涙をこぼしてしまった。
「に、兄、さま……っ」
優しいシルフィードは、沙良が泣いた時はいつも慰めてくれる。今回も、そんなに怖がるのならと止めてくれるのではないかと期待してしまったが、今夜のシルフィードはとても意地悪だった。
「大丈夫、あなたの身体はちゃんと私を受け入れてくれていますよ」
その言葉が嘘か本当かはわからない。それでもシルフィードが沙良を騙すはずがない。
(で……もっ)
中で指が襞を擦り、その拍子に背筋に激しい衝撃が走る。
クチュクチュという音が香油のせいか、それとも沙良自身の愛液の音なのか判断がつかないまま、ぬるっともう一本の指が先のそれに沿わされて入ってきた。
苦しくて、開けたままの唇からは小刻みな呼吸が漏れる。身体の中がこのまま裂けてしまうのではないかとさえ思うほどだった。
「痛みますか?」