君と初めて恋をする
- 著者:
- 水月青
- イラスト:
- 芒其之一
- 発売日:
- 2013年08月03日
- 定価:
- 660円(10%税込)
焦り過ぎはダメですよ?
容姿端麗、文武両道、“完璧人間”と評判の伯爵令息クラウス。だが彼には一つだけ、ひた隠しにしている秘密があった。それは、彼がいまだ童貞であること。そんなある日。泥酔した翌朝目覚めると、男爵令嬢のアイルがなぜか裸で横たわっていた!「これは事後か? 事後なのか?」動揺する彼にアイルは微笑む。「下手でした」と。さらに自分が練習相手になると言い出して…。恋を知らない純情貴族とワケアリ小悪魔令嬢のすれ違いラブコメディ!
アイル
妖艶な美女として貴族男性に人気の男爵令嬢。裕福な男に声をかけてはすぐに捨てるという噂があるが…。
クラウス
将来有望な伯爵家の次男。“完璧人間”と評されるが、童貞というコンプレックスを持つ。
「いや……!」
知らないうちに変化していた自分が怖くて、アイルは身を捩る。その動きをクラウスは片手で簡単に押さえ付け、
「抵抗するな」
と、冷たい口調で言った。
高圧的な物言いは、やはりアイルの知っているクラウスのものではない。アイルは、豹変してしまった彼に戸惑いと恐怖を感じ、きつく目を閉じる。
閉じた視界の中で、クラウスがベッドの下方へと移動するのが分かった。
何をするのかと不思議に思った次の瞬間、突然両足を割り開かれ、濡れた感触が秘部を襲う。アイルは弾かれたように目を開け、慌てて下半身に顔を向けた。
そこには、アイルの秘部に舌を這わせているクラウスの姿があった。
下から上へと何度も舌が往復すると、直接的な快感が全身に駆け抜ける。アイルはシーツを握り締め、その刺激をやり過ごそうとした。けれど彼の舌が陰核をとらえた瞬間、大きく体が跳ね、その突き抜けるような快感から意識を逸らすことができなくなってしまう。
クラウスはアイルの両足を限界まで押し広げ、陰核に吸い付いた。尖らせた舌先でぐりぐりと押し潰され、自分の意思とは関係なくびくびくと体が震える。
「……あぁっ…んん……」
無理やりされているというのに甘く甲高い声が勝手に出てきてしまうのが嫌で、アイルは手の甲で口を覆った。その様子を見たクラウスは、
「ひどくしても感じるんだな」
そう言って仄暗い目をアイルに向けた。
彼がなぜそんな顔をしているのか、どう考えてもやはり分からない。
アイルの体に熱を与えているのは当人のくせに、ひどく冷めた表情をしている彼を見ていたくなくて、アイルは顔を背けた。
クラウスは愛液で濡れた割れ目を、わざとぐちゅぐちゅと音を立てて指の腹でなぞる。そして時折ぐりぐりと陰核を刺激し、快感に翻弄されるアイルの様子を静かに観察した。
乱暴に快感を高められ、アイルは泣きたくなる。
クラウスはいつも優しくアイルに触れた。反応を気にしながら慎重に愛撫をして、嫌がる素振りを見せたらすぐにやめてくれた。それなのに今のクラウスは、一方的にアイルを弄り、好き勝手に事を進めている。
それがひどく悲しかった。
アイルはクラウスを信じていたのだ。誠実で生真面目な彼が、嫌がる女性に無理やり手を出すはずがない。そう思っていた。
実際に、アイルとの練習の時は暴走することなくいつも余裕な態度を保っていた。
何が原因でこうなってしまったのか分からないが、クラウスはアイルに怒りを感じているのだ。だからこんなにも乱暴にアイルに触れる。
「どう、して……?」
泣くのを堪えてクラウスを見ると、彼は何も答えずアイルの膣内に太い指を押し込んだ。突然の異物感に、アイルは息を飲む。
「……く、ぅ…ん…」
不本意ながら愛液が溢れ出しているため痛くはなかったが、ぐりぐりと内壁を押すように動かされると、苦しさと一緒にじんわりとした痺れが湧き上がってきた。
息を吐き出して感覚を分散させることに意識を集中させ、アイルは唇を噛み締める。そしてこういう時の対処法を冷静に思い浮かべた。
大丈夫。隙をつけば逃げられる。
そう自分に言い聞かせ、今はただクラウスの動きに身を任せた。
「……ふ…ぁ…あん……」
長い指が膣内をほぐすように何度も出し入れされる。そして何かを探るようにぐるりと回されたと思ったら、その直後、脳天を突き抜けるような快感が走り、アイルの背を仰け反らせた。
その部分をクラウスは容赦なく刺激してくる。その強過ぎる快感に、アイルは声にならない声を上げて、手が白くなるほどに強くシーツを握り締めた。
こんなにも強烈な快感が長く続いたら、自分はいったいどうなってしまうのか。アイルの脳内を恐怖が支配した。
それを振り払いたくて、懸命に手足に力を入れてベッドの上方にずり上がる。とにかくクラウスの手から逃れたかった。彼に与えられる快感を振り払いたくて、服を着たままの筋肉質な体を押しのけようと手を伸ばす。
クラウスは膣内から指を引き抜くと、アイルが伸ばした手を掴み取った。そして指を絡ませると、強い力でアイルの体を引き戻す。
ずるずるとクラウスのもとに引き寄せられるのを、足を突っ張って止めようとしたが、やはり力では敵わない。アイルはクラウスに組み敷かれ、片手で動きを封じられた。