淫惑の箱庭
- 著者:
- 松竹梅
- イラスト:
- 和田ベコ
- 発売日:
- 2013年06月03日
- 定価:
- 682円(10%税込)
くれてやろう、愛以外なら何でも。
アルクシアの王女リリアーヌは、隣国ネブライアの王ルチアーノとの結婚を間近に控え、穏やかな日々を送っていた。しかしある日、野蛮といわれる国、キニシスの皇帝レオンに自国を滅ぼされ、強引に体を奪われてしまう。傲慢なレオンを憎みながらも、一方では優しい手に違和感を抱くリリアーヌ。体を重ねるごとに、彼の真実に近づいていって……。
リリアーヌ
アルクシアの第一王女。災厄から民を守る“白銀の姫”として信仰の対象にもなっている。
レオン
キニシスの皇帝。アルクシアを滅ぼしリリアーヌを連れ去るが……。
ルチアーノ
ネブライアの王でリリアーヌの婚約者。
「んんっ!……い、やぁ……もう、やめて……!」
「断る。私の子を孕む前に体が傷ついては、たまったものではないからな。……じっくりと開いてやるから、諦めろ」
諦めろと言われて「はい、わかりました」と切り替えられると思っているのか。
罵ろうとするが、口を開けば甘ったるいような声が出てしまう。
「ひんっ、あっ、ああっ、やっ、いやぁ……」
もう嫌だ、入ってこないでほしい。必死で祈って下腹部に力を込めても、緩んだ隙を見計らって奥に忍び込んでくる。
ぬらりと入ってきた肉が中で形を変え、ざわめく襞をなぞり、もっと蜜をよこせと催促してくる。
「また奥から溢れてきたぞ……。ひくひくと震えて、男を誘っている……」
「あっ、んんっ……、そんなわけ、ない……」
否定しているそばから、かきだされた蜜が会陰を伝い、柔らかな臀部にまで垂れる。自身の体が示す淫らな反応に、突っ伏して泣きたい気分になった。
「では実証してみせよう……」
不穏な提案の内容を問う前に、レオンの節くれ立った指が進入してくる。一本だけだったが男性経験のないリリアーヌにとってはかなりの違和感で、つい下腹部に力が入ってしまう。
「はっ、あ……!」
「力を抜け」
「んくっ、そんなこと、言われても……っ」
眉間に皺を寄せ、苦しげな息をするリリアーヌを見て、レオンがくすりと笑う。
また馬鹿にされたと思ったリリアーヌが睨みつけると、予想外の優しい響きが僅かばかり体の緊張を解かせた。
「お前は本当に……」
だがその言葉は終わりまで紡がれることはなく、レオンの唇が再び花芯に触れる。
粘膜の部分で挟んでしごかれ、ぞくぞくとした痺れが腰から這い上ってきた。
「ああぁっ! あっ、んんっ! あぅっ、やっ……だめっ、だめ!」
意識が剥かれた花芯に集中している隙に、中の指が蠢き始める。
最初は緩く内側を撫でるだけだった動きが、次第に出入りを繰り返すようになり、少しずつ慣らされていく。
慣れると違和感以外のものを体が覚えてしまい、もともと舌での愛撫で敏感になっていた膣壁は顕著に反応した。レオンの指に絡まり、もっととねだるように蜜を吐き出す。
「あっ!? あぅっ! な、なに? そこ……はぁっ、あっ……いやぁ!」
内側のある一点を擦られた時、脳天にまで突き抜ける激しい痺れを感じた。
全身からどっと汗が噴き出して、爪先がきゅっと丸まる。
「ここか……」
「あうっ!」
初めての感覚が恐くてたまらない。痛みだったならまだ耐えられたのに、これは痛みとは違う何かだ。
反射的に逃げ出そうとした腰が元の位置にまでずり下ろされ、容赦なく感じる一点を攻められる。
「あっ! あんっ、やぁ、やだぁ! しんで、しまうっ……しんで……んあぁっ!」
腹の奥から広がった痺れに全身が浸食される。
痙攣するそこを押し上げられる度に、ぐちゅり、ぐちゅん、と大げさな音が響いた。
「もっと乱れろ……」
どこか急いたような衣擦れの音がする……。涙で滲んだ視界の中、ぼんやりと瞬く。
するといつの間にか裸になっていたレオンと目が合い、ふわりと微笑まれた気がした。