ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

こじらせ伯爵の結婚戦略
  • yondemill

こじらせ伯爵の結婚戦略

著者:
外堀鳩子
イラスト:
アオイ冬子
発売日:
2018/05/02
価格:
660円(税抜)
 

僕は、君の前では世界で一番ばかになる。

危ないところを助けてくれた軍人にひとめぼれをしたラーラ。お近づきになりたいのに、うまくいかない日々が続いていた。そんな中、美貌の貴婦人アラベルが現れる。すぐさま親友になるふたりだが、アラベルの接触は、軽いキスから淫らな愛撫へと次第に過激になっていき……。実はアラベルは、ラーラの大嫌いな幼なじみ、アデルの女装姿だった! 幼い頃からラーラが大好きなアデルは、彼女の恋路を邪魔しつつ自分を好きになってもらえるよう画策していて……。

一途すぎる伯爵×恋に恋する令嬢、結婚をめぐるから騒ぎ!

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登場人物紹介

ラーラ

ラーラ

純粋で大らかな性格だが、アデルのことだけは大嫌い。アラベルがアデルの女装姿と知らず仲良くなるが…。

アデル

アデル

昔からラーラが大好きなのに、ついいじわるをして泣かせてしまっていた。留学後は心を改め、紳士的に振る舞うが…。

お試し読み

 部屋に入るなり、アラベルはラーラの口にむしゃぶりついた。その荒々しさに、彼女は戸惑いを覚えたけれど、熱くて心地がいいとも感じた。抱き上げられた身体は、そっと長椅子に降ろされて、そして覆いかぶさるアラベルの唇が、またラーラの口に押し当てられた。何度も何度もくり返されるくちづけは、不思議とちっともいやとは思わなかった。
 ラーラは目をとろりととろかせながら言った。
「アラベルのキスの味は、なんだかベルガモットみたい」
「ラーラの味は、檸檬のようで……いえ、はちみつね。甘い」
「それってレモネード?」
「ラーラはレモネードが大好きですものね。もっと、わたくしに味わわせて?」
 ラーラは舌を絡ませたり、ちゅくちゅくと吸われながら、どうしてアラベルはラーラがレモネードが大好きなことを知っているのだろうと思った。
「おいしい」
 けれど、口蓋をねぶられている間に、どうでもよくなってくる。ひたすらアラベルに施される刺激が気持ちいい。
「なんだかぞくぞくするわ」
「わたくしもよ」
「ねえ、アラベル。わたしたち、キスはもううまくなった?」
 ちゅ、とふたりはまたくっついた。離れたときに、アラベルはぺろっと自身の唇を舐めた。
「そうね、わたくしはあなたとのキスが気に入っているわ。ラーラは?」
「わたしも気に入っているわ」
「わたくしたちが気に入っているのなら、それでいいのよ。正解はないの。わかった?」
「わかったわ」
 ラーラの鼓動はとくとくと早鐘を打っていた。女同士にもかかわらず、こんなにもどきどきするのはなぜだろう? 身体も心も高揚する。とても。
「わたし、アラベルがもっともっと大好きになったわ」
「わたくしは最初からあなたが大好きよ、ラーラ」
 ラーラとアラベルが見つめ合っていると、部屋の扉が控えめに叩かれた。返事をすれば、召し使いがお湯の入った水差しと着替えを持ってきてくれた。
 召し使いが退室すれば、ラーラはちら、とアラベルを確認し、「先に着替えちゃうわね」と断った。
「ラーラ、着替えるって……?」
「あのね、わたしったらすっごく汗っかきなの。ヘンリーも汗っかきだからわたしたち兄妹は似ているのね。それでね、あせもができては大変だからって、お母さまから『外出したらすぐに着替えるのよ』って言われているの。汗でべとべとだから身体を拭くわ」
 言いながら、ラーラは慣れた手つきでエンパイアドレスに手をかけて、りぼんをするする解いていく。アラベルは同性にもかかわらず、金色の目をまるくしたまま固まっているようだった。
 絹のドレスが足もとにふぁさっと落ちて、下着姿になったラーラは、ぽいっとブラシエールやペチコートも脱ぎ去って、あっという間に全裸になる。それから水差しのお湯をたらいに入れると、布を浸して、身体をぐいぐい拭き出した。
 もくもくと湯気の立つ中、香油の匂いが鼻をつく。今日はベルガモットのようだった。
「ねえアラベル、どうすれば汗は出なくなるのかしら? あなたはとても涼しげだもの。わたし、このままだと恥ずかしいわ。未来の旦那さまに汗っかきだなんて絶対に知られたくない。ドレスが染みになったりするのは格好悪いと思うの。なるべく汗が目立たない色を選びたいけれど、ヘンリーが言うには未婚の娘は白に近い色じゃないとだめなんですって。そんな決まりが……、ん? アラベル、聞いている?」
 アラベルは、見る者を焼き焦がすようなぎらつく瞳で、ラーラの裸を凝視していた。
 熱く射貫く視線にたまらなくなり、ラーラは思わず布で身体を覆う。女性同士だというのに、だんだんすごく恥ずかしくなってくる。
「……アラベル、あなたも身体を拭きたいの?」
 ラーラが尋ねると、彼女はこくんと頷いた。
 すっと優雅に椅子から立ち上がったアラベルは、ラーラの真ん前までやってきた。
「拭きたいわ」
 ラーラがアラベルに布を渡すと、受け取った彼女は何を思ったか、その布をラーラの肌に這わせてきた。胸を通る布にラーラはぎょっとする。
「ま、待って、わたしの身体はもう拭いたわ。自分の身体を拭いて。着替えもあるから」
「わたくしは汗をかいていないわ。……ラーラ、少し試してみたいことがあるの」
「……え? ──あっ!」
 そのとき、アラベルの人差し指がラーラの胸の突起をかすめて、妙な刺激が身体を走る。
(なに、これ……?)
 ラーラが驚いた顔でアラベルを見つめれば、彼女はうっとりと笑った。
「ねえラーラ。わたくしたちは先ほどキスの練習をしたわよね」
 無言で頷けば、アラベルは続けて言った。
「親友同士がする練習にはそれから先のことも含まれているの。むしろここからが重要と言えるわね。わたくし、それについてもラーラと勉強しておきたいわ。ラーラは?」
 ラーラは一瞬躊躇したが、キスもアラベルと一緒に覚えたし、他の練習もしてもいいかもしれないと思った。それに、アラベルは親友だ。
「わたしも、アラベルと一緒に勉強したいわ。でも、なにを勉強すればいいの?」
 布をぽちゃんとたらいに入れたアラベルは、形のいい指をラーラの胸先につんとのせた。
 乳白色の肌に色づく桜色は、アラベルの指でふにふにと押される。
「まずここをほぐさなければならないの」



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