ソーニャ文庫

歪んだ愛は美しい。

世界で一番危険なごちそう
  • yondemill

世界で一番危険なごちそう

著者:
水月青
イラスト:
弓削リカコ
発売日:
2016/04/05
価格:
620円(税抜)
 

料理じゃなくて俺を食え!

食べることが何よりも大好きな商家の娘レイリアは、伯爵家の嫡男ウィルフレッドのことが大の苦手だった。幼い頃、彼にさんざん意地悪をされて泣かされて、なにより「世界一のごちそう」を横取りされた恨みはまだ消えていないのだ。その彼と二年ぶりに再会したレイリアだが、宝石泥棒と疑われたあげく、淫らな身体検査までされてしまい――!? 彼はそれから毎日のように、濃密なキスと愛撫でレイリアに「嫌がらせ」をしてくるのだが……。

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登場人物紹介

レイリア

レイリア

商家の末娘。食べることが何より好きで、ウィルフレッドのことが苦手。

ウィルフレッド

ウィルフレッド

伯爵家の嫡男。才気と美貌に恵まれ、女性たちから人気がある。レイリアにだけはいじわるな様子。

お試し読み

「ねえ、どうしてキスをするの? 会わなくなる前も一年くらいはしていなかったのに」
 ずっと訊きたかったことだった。キスでの嫌がらせは年々減少していたというのに、再会してからのウィルフレッドは頻繁にレイリアにキスをする。
 しかも、触れるだけのものではなく、舌を絡ませる大人のキスだ。
 ウィルフレッドは胸に抱き寄せたレイリアをじっと見つめ、大真面目な顔で答えた。
「年頃になったらキスをすると勃つようになったからな。自重していたんだ」
 最低だ。そんな思春期特有の事情など、聞きたくなかった。
 嫌がらせが嫌がらせで済まなくなったのだろう。男は木の股を見るだけでも興奮する生き物だと姉たちが言っていたが、ウィルフレッドも例に漏れずそうだったということだ。
「じゃあ、今もしなくていいのに……」
 レイリアはむっと口を尖らせる。
 女なら誰でもいいのなら、レイリアを相手にしなくてもいいではないか。ウィルフレッドはモテるのだから、よりどりみどりだ。
 だからと言って、本当にウィルフレッドが他の人とキスをしたら……と考えるだけで胸が苦しくなるのだが。
「嫌なのか?」
「嫌よ」
 ウィルフレッドが軽く眉を上げて訊いてきたので、レイリアは即答した。
 気持ちが伴わないキスなんて嫌に決まっている。
 嫌がらせでされるなんて、真っ平ごめんだ。ウィルフレッドの思惑どおり、毎日泣いてしまう自分にも嫌気が差す。
「でも、気持ち良いだろ?」
 からかうようにウィルフレッドは笑った。
「気持ち良くなんか……!」
 ない。と続くはずだった言葉は、ウィルフレッドの唇に奪われた。
 ウィルフレッドが食むように口づけてくるだけで、レイリアは反射的に唇を開くようになってしまった。これも連日彼が激しく口づけてくる弊害だ。
 慣れた感じでするりとウィルフレッドの舌が入ってくる。まずはレイリアの舌を吸い上げ、次に歯列をなぞり、最後に上顎に舌を這わせる。それがウィルフレッドの癖だとキスをするようになって分かった。
 上顎を刺激される頃には、レイリアの体はふにゃふにゃと力が抜けてしまっている。
 キスは気持ちが良い。
 こんなふうになってしまうのは、相手がウィルフレッドだからだ。ウィルフレッドじゃないときっと気持ち良くなんてならない。けれどウィルフレッドは……。
 レイリアは、苦しい思いをそっと胸に隠した。
 ウィルフレッドの意地悪は筋金入りなのだ。彼はレイリアが好きでこんなことをしているのではない。
 ただ、レイリアを泣かせたいだけなのだ。
 ──ウィルの馬鹿。
 レイリアの気持ちも知らないで、体が熱くなるようなキスをしてくるウィルフレッドが憎らしい。
 それでも彼を押しのけられないのは、レイリアもして欲しいと思っているからだ。
 ウィルフレッドに熱を込めた瞳で見つめられるのは心地良い。
 この瞬間は、彼はレイリアだけを見ているから。レイリアが感じているのと同じように、彼も欲望を感じていると実感できるから。
 くちゅくちゅと音を立てて、舌が絡まり合う。レイリアは懸命にウィルフレッドの動きに応えた。
 すると、ウィルフレッドがきつくレイリアを抱き締めてきた。背骨が痛くなるほどきつい抱擁に、レイリアは苦しくなって喘ぐ。
 だが、それを甘い声だと勘違いしたらしいウィルフレッドは、貪るようにレイリアの口を深く塞いだ。何度も何度も角度を変え、官能的な口づけを繰り返す。
 唇からじわじわと広がっていった熱が下腹部に集まる。そして甘い疼きがそこから全身に広がっていった。
 自然と背筋が反り、胸もお腹もウィルフレッドの体にぴたりとくっつく。彼の足がレイリアの両脚の間に割り入ってきて、秘部に押しつけられた。
「……ぁあ……ぅんん……」
 敏感な部分をぐりぐりと擦られて、熱が一気に背筋を這い上がってくる。ウィルフレッドの胸板に刺激されている胸の突起も、ぴりぴりとした快感に支配された。
 数日前まではこんなに敏感な体ではなかったのに……。
 恨めしい気持ちで、ウィルフレッドの背中に爪を立てる。すると、ウィルフレッドがびくりと震えた。そして、はっとしたように唇を離す。
 お互いの唾液で濡れた唇が腫れぼったくなっていた。レイリアは瞳に溜まった涙を隠すようにウィルフレッドの肩口に顔を埋める。
「今日はここまでだ」
 掠れた声が頭上から響いた。
「別に、これ以上なんて期待していないけど」
 顔を上げずにレイリアは返す。
 強がりを言ってしまった。本当は、涙を見ても珍しく暴走しないウィルフレッドに、少し物足りなさを感じてしまっている。
 ──私の体を元に戻してよ。ウィルの馬鹿。
 何度悪態をついても足りない。
 レイリアはウィルフレッドの匂いを吸い込みながら、そっと目を閉じた。

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